猛暑予測の今夏、6割の人が行う予定の暑さ対策における節電、 効果を実感する対策とは
積水ハウス株式会社は、昨今の節約への関心の高さを踏まえた夏場の快適な生活空間のご提案を目的に、全国の20~60代の男女を対象に「暑さ対策における節電調査」を実施しました。
積水ハウスの研究機関の住生活研究所では、暮らしにおける「幸せ」のさらなる追求のために「住めば住むほど幸せ住まい」研究として様々な調査を実施しています。今回は、2023年の夏の気温が全国的に平均並みか高いと予報されている中、電気代が暑さ対策に与える影響や実態などを調査しました。
~調査サマリー~
・2023年夏は7割以上が電気代を気にしている。気にしている人のうち、約4人に1人が節電を実施しない意向
・昨年夏に約8割が効果を実感した節電対策は「窓からの日差しを遮る」!一方で効果の実感が低い対策は?
・省エネで快適な住宅「ZEH」の言葉を知っているのは全体で26.8%、創エネ設備のある家庭で54.5%
「ZEH」は認知度に課題がありつつも、知れば知るほど居住意向が高まる「ZEH」の様々な魅力とは!
昨年夏の節電対策の実態や実際に効果を感じた対策、節電対策と夏の睡眠の質との関係などから、本格的な暑さを迎える前に整えておきたい住まいで快適に過ごすための4つの「幸せTips」もご紹介します。
■アフターコロナの夏、「外出(屋外)したい派」が昨年より20ポイント増。理由には「電気代」の声も
2023年の夏(以降、今年の夏)は、2023年5月より新型コロナウイルス感染症が5類感染症へ移行したことを受け、コロナ禍後の外出制限が求められなくなったこともあり、日中の過ごし方の意向で「外出(屋外)したい派」は54.7%でした。これは、昨年の夏(2022年に実施した「住まいにおける夏の快適性に関する調査」*1より)と比較し20ポイント以上増えました。また、コロナ禍前の意向と比較しても20ポイント近く増える結果となりました。
「外出(屋外及び屋内)したい派」の理由としては、「外出による楽しみ」「運動不足対策」などが多く挙がりましたが、「家計(光熱費)の節約」や「自宅の電気代懸念」など家にいるとかかるお金に関する理由が15%以上となりました。特に女性の方が「家計(光熱費)の節約」(20.6%)や「自宅の電気代懸念」(18.3%)と男性より多く回答しています。
■2023年夏は7割以上が電気代を気にしている。気にしている人のうち、約4人に1人が節電を実施しない意向
家計の負担に大きく関係する電気代は、今年の夏を自宅で過ごす上で72.8%が気にすると回答したにも関わらず、電気代節約のための暑さに関する節電対策を実施すると回答した人は60.6%に留まり、昨年調査の節電実施率(76.4%)と比較して15.8ポイント減少しました。電気代を気にしている人の中でみても、約4人に1人が節電対策を実施しない意向があることが明らかになりました。
電気代節約のため、暑さ対策における節電をする人の中でも、「極限まで節電対策をしたい」8.3%、「対策はできる限り行い節電したい」35.3%、と『積極的な節電』の回答は43.6%でした。一方、「対策は心掛けるが無理はしない」の『無理しない節電』の回答は48.2%、暑さ対策における節電の意向は『積極的な節電』と『無理しない節電』でほぼ半々に分かれる結果になりました。また、夏の日中『自宅で過ごしたい派』は、『外出したい派』と比較して『無理しない節電』を回答する割合が14.9ポイント高く、自宅で長時間過ごすので節電は気になるけれど快適に過ごせることを重要視していることが推測できます。
■昨年夏に約8割が効果を実感した節電対策は「窓からの日差しを遮る」!一方で効果の実感が低い対策は?
昨年の夏に暑さ対策における節電を実施した人に実施した内容を聞いたところ、最も多いのは「エアコンの設定温度を上げる」49.7%、続いて、「エアコンとサーキュレーターや扇風機を併用する」33.8%、「エアコンを稼働する時間を減らす」32.2%、「エアコンを稼働させる部屋(台数)を減らす(家族で一つの部屋に集まる)」27.2%でした。手軽にできるエアコンの運転に関する対策が多く見受けられました。
なお、暑さ対策における節電を行う上での困りごとや悩みごとを聞いたところ、回答が多いのは「暑さを我慢できない」35.0%、「効果がわからない」21.5%、「効果的な節電対策がわからない」19.8%と節電対策の効果について気にしている人が多いことがわかりました。暑さを我慢してまで対策しても、効果を実感できないと気が滅入りますよね。
実際に節電対策の効果を実感した割合が高いのは「窓からの日差しを遮る」78.5%、「窓の断熱性向上」75.0%など、実施した人が少ない対策が目立ちました。多くの人が節電対策として取り組んだ、「エアコン稼働時間の削減」は59.3%、「エアコンの設定温度を上げる」は51.5%、と節電の効果を実感している人が他の対策と比較して少なく、エアコンの稼働調整だけでは、大きな効果の実感は得られにくいと考えられます。エアコンの稼働調整と一緒に、少しの工夫で効果も実感しやすい「窓からの日差しを遮る」「窓の断熱性向上」対策に取り組んでみてはいかがでしょうか。
■一晩中エアコンを稼働する人は約4割!暑さに関する節電対策が睡眠の質に影響か
暑さ対策における節電で多くあげられたエアコンの稼働調整について、夏季のエアコンの稼働を止めるまたは稼働頻度を下げるタイミングは「朝」36.6%、「就寝中」33.8%の順となりました。特に、節電対策に取り組む人は「朝」45.9%、「就寝中」40.3%と全体と比較して約10ポイント高い傾向にありました。
就寝中のエアコンの稼働実態について詳しくみてみると、おやすみモードの利用も含め、一晩中エアコンをつけている人は38.4%で、タイマーを使用して数時間で切る人は37.2%、就寝時にエアコンをつけない人は23.8%になりました。就寝時エアコンを止める、またはタイマーで止める理由としては「節電対策」39.7%が最も多く、次いで「身体が冷える」28.5%、「身体がだるくなる」24.6%、「身体に悪い」24.3%と続き、身体に対する影響が多く見受けられました。
次に、夏の睡眠の質を聞いたところ、「ほとんど毎日快適に眠れた」と回答した人は、一晩中エアコンをつけている人では26.0%でしたが、タイマーを利用して数時間で止める人では11.8%にとどまりました。また、就寝時エアコンをつけない人の13.4%が「ほとんど毎日快適に眠れなかった」と回答しており、全体と比較すると7.2ポイント高い結果となりました。就寝時にエアコンをつけることで感じるメリットとして、「暑さを我慢しなくてよい」60.1%、「深い眠りが得られる」35.7%、「夏バテを防げる」31.7%が上位に挙げられたことから、エアコンの運転が夏の睡眠の質に大きく影響することがわかります。とはいえ、就寝時エアコンをつけるデメリットとして約6割が「電気代が気になる」と回答しており、エアコンの電気代を上げずに質の高い睡眠を得るための工夫がポイントになるようです。
■省エネで快適な住宅「ZEH」の用語認知度は26.8%、創エネ設備のある家庭では54.5%と認知の偏りが判明
これから住まいを検討される人に節電の観点からもおすすめしたいのが「ZEH」です。「ZEH」とは、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略称で、快適な暮らしはそのままに、省エネと創エネを組み合わせることで、暮らしのエネルギー収支「ゼロ」*2 を目指す住宅です。昨今、世界規模で脱炭素社会への取り組みが進められるなか、「ZEH」は地球環境に対して負荷の少ない住宅としても注目を集めていますが、「ZEH」の認知度は、「内容まで詳しく知っている」4.6%、「知っている」6.6%、「名前は聞いたことがある」15.6%、と合わせて26.8%で、「知らない」は73.2%に上りました。一方で、創エネ設備のある家庭での用語認知度は半数以上で、創エネ設備のない家庭(20.7%)とで認知の偏りがあることがわかります。
*2 平成30年(2018年)5月に経済産業省資源エネルギー庁「ZEHロードマップフォローアップ委員会」がとりまとめた評価方法に基づいています。
「ZEH」用語説明後に「ZEH」への居住意向を聞いたところ、居住意向率が、用語説明前に「ZEH」について「知らない」人が21.9%、説明前から「名前は聞いたことがある」人が50.0%、説明前から「内容まで詳しく知っている/知っている」人が92.9%の結果になりました。「ZEH」について知っている人ほど住みたい意向が高いことから「ZEH」への理解の深さがポイントになりそうです。
「ZEH」に住みたいまたは既に住んでいる人に理由を聞いたところ、最も多い回答は「光熱費削減が可能」59.1%、続いて「環境にやさしい」39.2%、「1年中快適に過ごせる」38.0%、「売電できる(収入につながる)」28.1%でした。節約や収入につながる要素は魅力的なことがわかります。
「ZEH」を検討する上で、懸念点を聞いたところ最も多いのが「費用が高そう」36.0%、「ZEHがよくわからない」23.8%、「本当にエネルギー料金が“0”になるか心配」22.6%、「保証やメンテナンス制度に不安がある」22.2%、「効果が不透明」17.6%、「新築(戸建て)でしか対応できない」16.4%という結果になりました。「ZEH」の理解が浸透していないことや、費用面、メンテナンスに対する不安を感じている人が多いように見受けられます。
「ZEH」は「新築(戸建て)でしか対応できない」と思われている人もいますが、戸建住宅だけではなく、集合住宅でも「ZEH」の設計は可能です。積水ハウスでも戸建住宅のみならず、賃貸住宅や分譲マンションなどの集合住宅でも「ZEH」を推進しています。例えば、積水ハウスの賃貸住宅シャーメゾンでは、入居者にメリットのある「住戸毎に太陽光発電を接続する入居者売電」を基本仕様として、太陽光発電の電力使用で購入電力が減り、さらに余った電力は入居者の売電収入*3となって、光熱費の削減につながります。また、積水ハウスの「ZEH」は、開口部を大きく取りながらも断熱性能を高めることで、明るく開放的な空間と、光熱費だけでなく、室内の温度差が少なく体への負担も軽減できる性能を両立しています。「ZEH」は初期費用が心配と思われる人も多いですが、長く住まう住宅はライフサイクルで捉え、光熱費や売電収入などのランニングコストの削減や快適に健康で過ごせるなどのメリットを考慮することが重要です。これからの暮らしを考えながら「ZEH」について、まずは知ることから始めてみませんか。*3 入居者売電住戸のみ
■4つの「幸せTips」で夏を快適に過ごしながら節電を
調査では、夏の電気代を気にする人の中でも節電対策をしない人が見受けられました。節電対策をすることで快適性が低下してしまう不安や、節電の効果を実感しづらいことなどが実行の足かせになっているようです。一方で、「窓の断熱性を向上させる」「窓からの日差しを遮る」など、昨年の実施率が低い、少し手間がかかる印象のある節電対策の効果を実感したという回答が多くありました。
積水ハウスでは「窓の断熱性向上」「窓からの日差しを遮る」対策はもちろん、夏の就寝時の快適な空間のご提案をしています。また、積水ハウスでは「ZEH」を推奨しており、2022年度の新築戸建住宅における「ZEH」の比率は93%と過去最高を更新しています。ここでは本格的な暑さを迎える前に整えておきたい住まいで快適に過ごせる空間と合わせて、知っておきたい「ZEH」のことについて、4つの「幸せTips」としてご紹介します。
■夏の住まいを快適に過ごす4つの「幸せTips」
(1) エアコンの負荷を抑える環境づくり:暑さ対策における住まいの節電の第一歩は日差しを遮ることです。家の中に熱がこもっている状態でエアコンを稼働させると、余計に電気代がかかってしまいます。熱がこもるのを防ぐために窓からの日差しを遮るのは、室内よりも屋外の方がより効果的です。
伝統的なすだれやよしずを、窓だけでなく壁まで広げて、昼間の暑さを遮りましょう。住宅では、シャッターやシェードなど屋外側で日差しを遮るアイテムがあり、ブラインドシャッターは、日差しを遮るだけでなく、通風やプライバシー配慮のメリットもあるのでおすすめです。
(2) 睡眠空間のエアコンは連続運転で:猛暑時は、夜間の睡眠中にも熱中症のリスクがあるので、エアコンをつけたままで眠ることをおすすめします。電気代をできるだけかけないようにするには、室内の熱こもり対策をした上で、扇風機やサーキュレーターで室内空気を撹拌すると良いでしょう。
室内の温度ムラがなくなるので床付近が寒くならず、体や足元などが冷えすぎることも防げます。エアコンをタイマーで止める場合は、起床1時間前にオフタイマーを設定してはいかがでしょう。自然に室温が上昇し、目が覚めやすくなります。
(3) インテリアからも涼しさを:インテリア小物も、季節に合った見た目や機能性のものに「衣替え」するのがおすすめです。クッションのカバーやラグなどは、接触冷感の生地、麻やい草などのサラッとした素材を選ぶと、触れたときの清涼感で夏を心地よく過ごせそうですね。
実は、防暑を考えるとき、温度だけでなく湿度も重要な要素です。天然素材でつくられたものには調湿作用があるので、蒸し暑い夏の湿度を抑えて涼しく感じられます。家全体の湿度を調節可能な「全館調湿システム」などを導入できると、より快適さが得られます。
(4) 「ZEH」で毎日「快適にエコ」、エネルギー収支“0”へ:積水ハウスのZEH「グリーンファースト ゼロ」は、開放的な空間での快適な暮らしを維持しながら、我慢や無理な節約でなく、高い断熱性と省エネ設備により消費エネルギーを大幅に削減し、太陽光発電システムや燃料電池などの創エネでエネルギー収支“0”を目指します。
太陽光発電システムを設置するには相応の費用はかかりますが、光熱費削減効果はかなり大きなものです。新築時に導入すれば長期的に見れば費用回収も十分に可能です。最近では余った電力を売電ではなく「蓄電池」に貯め、それを日没後に使い電力自給率を高め電気代削減につなげる事や、災害停電時に電気が使えるなど、安心の防災設備として役立てることもできます。
また、調査では、節電の困りごととして効果が見えないことが挙げられましたが、エネルギー管理タブレットで太陽光発電システムなどの発電・売電状況などを都度確認することができます。『エアコンってこんなに電気を消費するんだ』『電子レンジはこのくらいか』など使用電気量を見える化することで、節電意識はもちろん、環境についても考えるきっかけになります。節電しながらおのずと環境に配慮した暮らしも実現できます。
ぜひ皆様も4つの「幸せTips」を参考に、今年の本格的な夏を迎える前に暮らしの節電対策について見直してみてはいかがでしょうか。
■住生活研究をはじめとする住まいの専門家 河崎由美子メッセージ
暑さ対策となるとついつい扇風機やエアコンなどの家電に頼りがちです。電気代が気にはなるものの、自分や家族の体調を守るためには仕方がない面も大きいです。光熱費の高騰を気にせず、電気をもっと気軽に使って年中快適に過ごせたらどんなに安心でしょう。住まいが自前で電気を創り出す設備は、近年の技術革新が目覚ましく、住まいを建てたい人が誰でも採用しやすい設備になってきています。「ZEH」もその1つ、是非興味をもって情報収集をしてみてください。
我が家では昨年実施した省エネ型クーラーへの買い替えに続き、今年は単板ガラスだった窓を高性能の遮熱断熱ガラスに入れ替えてみました。意外に簡単に交換できるものです。今年の夏の夜は、万全の体制で、上手に空調を使いながら、快眠するのが楽しみです。
河崎由美子
フェロー R&D本部
1987年入社。高校入学までの12年間を海外で過ごした経験や子育て経験などを生かし、総合住宅研究所でキッズデザイン、ペット共生、収納、食空間など、日々の生活に密着した分野の研究開発全般に携わる。
執行役員、住生活研究所長を経て2023年4月より現職。一級建築士。
<「暑さ対策における節電調査 (2023年)」調査概要>
調査期間 :2023年4月7日~10日
集計対象人数:500人
集計対象 :全国の20~60代の男女
<記事などでのご利用にあたって>
・引用元が「積水ハウス株式会社 住生活研究所」による調査である旨と、引用元調査「暑さ対策における節電調査 (2023年)」の記載をお願いします。
・積水ハウス ウェブサイトの該当記事( https://www.sekisuihouse.co.jp/company/research/20230713/ )へのリンク追加をお願いします。
<住生活研究所について>
積水ハウスが2018年に開所した、日本の企業として初めて「幸せ」を研究する研究所です。
人・暮らしの視点で、ライフステージ・ライフスタイル、そしてこれからの住まいのあり方の調査・研究を行っています。今後迎える「人生100年時代」には、暮らしにおける「幸せ」のさらなる追求が重要と考え、時間軸を意識した「住めば住むほど幸せ住まい」研究に取り組んでいます。研究を通して、幸せという無形価値、つまり「つながり」「健康」「生きがい」「私らしさ」「楽しさ」「役立ち」といった幸福感を高め、家族やライフスタイルの多様な変化に対応する幸せのかたちをお客さまへご提案することを目指しています。
ウェブサイト : https://www.sekisuihouse.co.jp/company/rd/humanlife/
これまでの調査リリース: https://www.sekisuihouse.co.jp/company/research/
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