利用者だけでなく、働く従業員の安心安全に 必要不可欠なBCP策定を期限までに
~介護施設・事業所におけるBCP策定義務化経過措置満了まであとわずか~
尾西食品株式会社(本社:東京都港区 代表取締役社長 古澤紳一 ※以下、尾西食品)は、防災食・備蓄のリーディングカンパニーとして、”アルファ米”をはじめとする非常食を製造・販売。専門家のアドバイス、被災者の声を通して日常の防災意識を高める活動を進め、2021 年3月より、公式サイトにて防災コラムの発信をしております。
今回は、令和3年度介護報酬改定に伴い義務化された介護施設・事業所における業務継続計画(BCP)策定の経過措置期限満了を2024年3月末に控え、介護保険制度を始めとする高齢者介護・福祉施策を担っている厚生労働省老健局高齢者支援課の課長補佐坂野泰之氏に、BCP義務化まで1年を切った現状と課題、今後の施策についてお話を伺いました。
厚生労働省老健局高齢者支援課
課長補佐 坂野 泰之 様
〜BCPの策定状況と課題について〜
――経過措置満了まで1年を切った BCP策定状況と課題について教えてください。
令和3年度に実施した老人保健健康増進等事業では、自然災害発生時のBCPを策定済の介護事業者は26%程度という数字でした。当時は義務化の経過措置期間がまだ始まったばかりということもあり、この数字が一概に低いとは言い切れませんが、一方で「策定の目途が立っていない」という事業所が一定数あったことは、課題であると思っています。「何をやったら良いのかわからない」「時間がない」「職員が不足している」というのが、BCP策定が進んでいない主な要因ですが、厚生労働省のホームページで研修材料や雛型を提供していますので、是非活用して欲しいと思っています。
BCP義務化経過措置の最終年度にあたる今年は、改めて全国10,000の介護事業所を対象にBCPの策定状況等の調査を実施します。併せて都道府県や市町村にも支援状況などを調査しますので、その結果を見て改めて対策を講じていきたいと考えています。
――BCP策定は進んできているという感触はお持ちでしょうか
様々な研修や支援を通じて策定は進んでいるとの期待はある一方で、気になるデータもあります。昨年、国から補助金を受けて非常用自家発電設備を整備した社会福祉施設等に対し、会計検査院がBCPの策定状況等を確認したのですが、対象事業所574のうち、419が未策定との結果が出ました。調査対象の抽出が偏っている可能性もありますが、数字だけを見ると若干の懸念がある事は否めません。今年度の調査結果を慎重に分析したいと思っています。
――調査結果によっては、義務化のスケジュールを見直す可能性はありますか
スケジュールの見直し云々については、社会保障審議会介護給付費分科会の中で議論していただくものではありますが、個人的には、策定率が低いという理由で期限を延ばすことは難しい判断だと言わざるを得ません。義務化に向けた猶予期間が3年もあった訳ですし、「何年再延長すればBCP策定が進むのか」といった根拠が無い以上は、延長するという事にはならないと思っています。
何か災害が起きてからでは遅いですし、しっかりと備えておくことは、利用者のためだけでなく、事業所や従業員のためにもなります。BCP義務化まで残り約8ヶ月となりましたが、厚生労働省のホームページや事業所の横の連携などで情報収集をしてもらって、しっかりとBCPの策定をして欲しいと思っています。
合わせてBCP策定が運営基準に組み込まれているという意味についても理解して欲しいと思っています。BCP策定有無は指導等の対象になります。来年4月以降は、BCP策定有無だけをもって判断するものではありませんが、その他の運営基準の充足状況も含めて総合的に判断され、自治体の判断によっては勧告などの厳しい処分がなされる可能性があることは否定できません。こうした事も踏まえて是非期限までの策定をお願いします。
〜BCPの策定の促進策について〜
――今後BCP策定に関する更なる支援は考えていますか
介護サービスの種類によって策定状況に開きがあり、特に通所系・訪問系の事業所で策定が進んでいないということも認識しており、BCP策定を促進するための人的支援や補助金といった要望があるのも承知しています。但し、限られた経営資源の中でしっかりとBCPを策定している事業所があるのも事実ですので、公平性を考えれば、出来ていないからと言って、現時点から新たに人的支援や補助金といった支援を行うのは難しいと考えています。
――備蓄品の購入に際しての支援は考えていますか
このご要望が根強くあるのも承知していますが、厚生労働省としては、備蓄品の購入は介護報酬の中で賄っていただくものと考えています。例えば食料品を例に取ると、日常で消費する食料品と非常用の食料品との間の線引きは難しく、非常用として購入した食料品を日常で食べる事は可能であり、こうした面からも備蓄品の購入費用を国から補助金として出すということは難しいと考えています。
〜BCP の中における食品備蓄の重要性について〜
――介護施設・事業所の業務継続における食品備蓄について教えてください。
ガイドラインの中でも3日分の食料備蓄の必要性をお示ししていますが、費用や保管場所の問題で厳しいとの声もあります。しかしながらサービスを提供する側の職員の分も含めて食料や水を整えなければ、いざというときにサービスの提供や、業務の継続はできなくなりますので、厳しい中でもどのようにすれば課題解決できるのか、或いは出来る限りの整備をした上で、不足する分を段階的に整える計画まで、今一度しっかり検討していただきたいと思います。介護施設・事業所も介護人材不足ですから、人材確保のためにも、しっかりとした食事を職員のために用意していることは、業務継続の確保だけでなく、いざという時も従業員が安心してサービス提供できるという職場の魅力を発信することにも繋げられると思います。
厚生労働省 介護施設のBCP策定 (厚生労働省公式ホームページへのリンク)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/douga_00002.html
本文はこちら https://www.onisifoods.co.jp/column/detail.html?no=19
■尾西食品株式会社
・事業内容:長期保存食の製造と販売
・代表取締役社長:古澤 紳一
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