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グアーガム分解物のセカンドミール効果  朝・昼の摂取で夕食時の食後血糖値の上昇を抑制  第10回日本時間栄養学会学術大会で発表  ~東京工業大学・広島大学・太陽化学らによる研究グループが検証~

2023.08.17 10:00

東京工業大学 リベラルアーツ研究教育院 高橋 将記准教授、広島大学大学院 医系科学研究科 田原 優准教授、太陽化学株式会社(本社:三重県四日市市、代表取締役社長:山崎 長宏)らによる研究グループは、グアーガム分解物のセカンドミール効果として、朝食・昼食時の摂取による夕食時の食後血糖値の上昇抑制作用を明らかにし、第10回日本時間栄養学会学術大会で発表します。



学術大会開催日:8月26日(土)

発表演題:「グアーガム分解物の摂取による夕食時の血糖値抑制効果に関する研究」

酒井 哲志(*1)、藤平 杏子(*2、*5)、大橋 海音(*1)、福家 冴佳(*1)、WANG CHUNYI(*1)、FEI WEI(*1)、安部 綾(*3)、田原 優(*4)、高橋 将記(*1)(*1:東京工業大学 環境・社会理工学院、*2:日本学術振興会特別研究員、*3:太陽化学株式会社ニュートリション事業部、*4:広島大学大学院 医系科学研究科、*5:東京工業大学 リベラルアーツ研究教育院)

https://tenthchrononutriti.wixsite.com/home



1. 研究背景について

生活習慣病の1つである糖尿病は日本では国民病とも言われており、「糖尿病が強く疑われる者」の割合は男性で約2割、女性で約1割に上ります。糖尿病のリスクを高める原因の1つが食後高血糖で、糖尿病だけではなく血管系疾患の発症進展リスクにもつながることが示されています。このため、食後高血糖を抑制する食物繊維やポリフェノールなどの食品成分が注目されています。さらに、食事成分の吸収や代謝には体内時計が大きく影響するという時間栄養学の研究が進み、食べるタイミングも重要であることが明らかになりつつあります。例えば、朝食時よりも夕食時の方が食後高血糖を引き起こしやすいことや、あらかじめ血糖値の上昇を緩やかにする食事を摂ると、その後の食事での急激な血糖値の上昇が抑えられるという、セカンドミール効果などが明らかにされています。また、食品機能性成分の食後血糖値上昇抑制作用も食べるタイミングにより異なる可能性があります。グアーガム分解物※1(Partially Hydrolyzed Guar Gum、以下 PHGG)は、グァー豆由来の水溶性食物繊維で、グア豆食物繊維とも呼ばれる食後の血糖値上昇抑制作用を持つ素材の1つです。そこで、本研究では、PHGGのセカンドミール効果として、朝食と昼食時におけるPHGGの摂取が夕食時の血糖値に及ぼす影響を検証しました。



2. 研究方法について

健常若年男性9名を対象として、PHGGを摂取する試行(PHGG試行)、プラセボを摂取する試行(プラセボ試行)の2試行を行うダブルブラインド・クロスオーバー試験※2を実施しました。対象者には朝食時、昼食時に規定食とともにPHGGあるいはプラセボをそれぞれ5gずつ、夕食時には規定食のみを摂取させました。持続型血糖測定器※3を用いて朝食、昼食、夕食時それぞれの食前、食後30分、60分、90分、120分の血糖値を測定しました。また、各食後における曲線下面積(AUC)※4ならびに最大値を算出し、群間比較を実施しました。



3. 主な研究結果について

グルコース濃度、AUCならびに最大値について、朝食時ならびに昼食時の全てのタイムポイントで、両試行に有意差は認められませんでしたが、夕食時において、プラセボ試行と比較してPHGG試行では食後60分後の血糖値が有意に低く抑えられ、また、血糖値の最大値も低く抑えられる傾向が認められました。



4. 考察と今後の展望

本研究では、朝および昼にPHGGを摂取することで、夕食時の食後血糖値の上昇が抑制されるという、セカンドミール効果が明らかになりました。問題になりやすい夕食の食後高血糖のコントロールにPHGGが活用できる可能性が考えられます。PHGGは、腸内細菌叢による短鎖脂肪酸※5産生促進、糖の吸収抑制などの機序で血糖値上昇を抑制させる可能性が示されています。これらの作用は、摂取数時間後におこるため、この作用時間の差異が朝食・昼食時の摂取で夕食時の血糖値上昇抑制がみられた理由だと考えられます。今後は個人差も含め、詳細なメカニズムを明らかにするため、研究を継続して参ります。



■用語説明

※1 グアーガム分解物

インド・パキスタン地方に生育するグァー豆の種子に含まれる高分子食物繊維グアーガムを分解した水溶性食物繊維。グァー豆の食物繊維やグア豆食物繊維とも呼ばれる。善玉菌の餌になりやすく、優れた腸内環境改善作用を有する。


※2 ダブルブラインド・クロスオーバー試験

被験者、評価者の両方が、被験者がどの群に割りつけられているかを知らない状態で、被験者を異なる群に割りつけ、各群に試験食品かプラセボ(見た目や味などは試験食品と区別がつかないが、機能性成分を含まないコントロール食品)を一定期間摂取させた後、休止期間を経て、もう一方の食品を摂取させ、試験食品の有効性や安全性を比較する試験。被験者、評価者の思い込みや先入観の影響を排除でき、被験者の個人的な変動要素も排除できる、質の高い試験方法とされている。


※3 持続型血糖測定器

センサーを腕に取り付けることで24時間、数日間連続して血糖値を測定できる測定器。


※4 曲線下面積(AUC)

AUC(Area Under the Curve)は、グラフの曲線の下に含まれる面積を指す。血糖値のAUCは、血糖値の時間経過に対する曲線の下の面積を計算したもので、血糖値の総合的な変動を表す指標として使われる。


※5 短鎖脂肪酸

食物繊維やオリゴ糖などを腸内細菌が発酵してつくる有機酸。消化管のエネルギー源となり、バリア機能を強化し、消化管の運動を調節するなど、腸内環境の維持に重要な役割を果たす。また、全身のエネルギーとして使われたり、糖代謝・脂質代謝を調節したりとさまざまな機能を有する。



■太陽化学株式会社概要

商号  : 太陽化学株式会社

代表者 : 代表取締役社長 山崎 長宏

所在地 : 〒512-1111 三重県四日市市山田町800番

設立  : 1948年1月

事業内容: 乳化剤、安定剤、鶏卵加工品、機能性食品素材等の開発、製造。

資本金 : 77億3,062万円

URL   : https://www.taiyokagaku.com/



伝統的な天然素材から、最先端技術を応用した新規素材まで様々な食材・工業用途向素材を取り扱うと共に、研究開発型企業として、無限の可能性を秘めた機能性食品素材の創造に取り組んでいます。

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