世界初※1、放射線増感剤が犬用医薬品として発売へ!
~利尻のウニ、深海のスギノリから発見された制がん成分が 四半世紀の時を経てついに製品化~
株式会社エム・ティー・スリー(東京都港区 代表取締役社長:宮崎 年恭)は、がんの3大治療のひとつである放射線治療の効果を高める放射線増感剤『レブリチン(R)』の開発を進めてきましたが、2023年9月15日に農林水産省より動物用医薬品製造販売承認※2を取得しましたのでお知らせいたします。
放射線治療は、手術で完全摘出できない悪性腫瘍(以下、がん)に対する優れた治療手段として、人医療ではもちろん獣医療においても近年急速に発展している治療法です。一方で、照射回数に限度がある、がんが大きくなると放射線が効きにくくなるなど様々な課題があり、治療の効果を高める“増感剤”の実用化が人医療、獣医療ともに求められてきました。これまでにも様々な候補物質が研究対象となってきましたが、副作用等の問題からこれまで医薬品として認可された例はなく、『レブリチン(R)』は有効成分の発見から25年以上の紆余曲折を経て、放射線増感剤として世界で初めて承認された動物用医薬品となります。
『レブリチン(R)』は、天然物(ウニ、スギノリ)を由来とし、安全性が高く、がん細胞に滞留して放射線の効果を高める一方で、正常組織への影響は少ないという特長をもちます。
株式会社エム・ティー・スリーは、今回の日本での承認申請と並行してアメリカでも同医薬品の臨床研究を実施しており、今後はアメリカ、ヨーロッパ、アジアなど世界各国での販売、そして将来的には人医療への展開を視野に入れ、この画期的な製品を必要とするすべての人々や動物たちに届けるために引き続き活動してまいります。
※1日本、FDA、EMAで承認された動物用医薬品として。人用医薬品においても放射線増感剤として承認された薬剤はない。
※2 レブリチンの承認内容は、「犬の鼻腔内腫瘍(ステージ3またはステージ4の腺癌に限る。)における放射線治療の効果の増強」です。当製品は要指示医薬品であり一般販売はしておりません。本剤は、放射線治療に十分な知識・経験をもった獣医師のもとで、本療法が適切と判断される症例にのみ使用されます。
注:本リリースの内容は、当社および当社製品の発売に関する情報を報道関係者の皆様にお伝えするためのものです。リリースには要指示医薬品の情報を含みますが、これらは報道関係者への情報提供を目的としたものであり、プロモーション、広告、医療上のアドバイスを目的としたものではありません。記載されている内容は、発表日現在の情報です。
■犬用放射線増感剤「レブリチン(R)」について
製品名 :レブリチン注射用 40mg
有効成分:スルホキノボシルアシルプロパンジオールカルシウム
効能効果:犬の鼻腔内腫瘍(ステージ3またはステージ4の腺癌に限る。)における
放射線治療の効果の増強
製品特長:(1) 革新性 :世界初※1、日本発の放射線増感剤
(2) 相乗効果 :腫瘍内の酸素分圧を高め、放射線治療の効果を増強する
(3) 高い安全性:腫瘍に長く留まる一方、腫瘍外では素早く代謝される
天然由来の有効成分
発売日 :2023年10月吉日
株式会社エム・ティー・スリーは、世界初※1、日本発のレブリチン(R)および関連製品を、必要とする全世界の犬や猫、最終的には人に届けることを目指します。レブリチン(R)が製品化されるまでには長い道のりと研究者達の努力がありました。詳細は補足資料にまとめておりますのでぜひご確認ください。
また、レブリチン(R)は米国での臨床研究をすでに開始しており、2022年には米国FDAの希少疾患に対する薬の開発をサポートするMUMS(Minor Use and Minor Species)指定制度※3に日本企業からの薬としては唯一※4登録されています。次のステップとして米国での早期承認を目指しており、その後はヨーロッパやアジアへの展開を視野に活動してまいります。
※3 https://www.fda.gov/animal-veterinary/minor-useminor-species/designations-list
※4 本日現在
がんに侵されたワンちゃんと、最善を尽くしたいご家族のための薬です
■代表メッセージ
私はレブリチン(R)の有効成分の発見者である佐原教授と麻布大学の同門であり、折に触れてその可能性を聞き、陰ながらその実用化を祈念していました。しかし現実は厳しく、様々な障壁からその開発が頓挫していることを知りました。この画期的な新薬が埋もれてしまうことは、医療の未来を閉ざしかねないと考え、自らが開発を引き継ぐために、2018年に株式会社エム・ティー・スリーを創業しました。
-悪性腫瘍に対する治療技術を追求し、医薬の限界を拡げる-
私たちの社名Malignant Tumor Treatment Technologies(M.T.3)にはそのような決意がこめられています。
ついに、創業のきっかけであるレブリチン(R)が発売となります。これからが当社の本当の幕開けです。レブリチン(R)を日本から世界に届けるべく邁進してまいります。
<代表略歴>
国内外のヘルスケア企業において、がん、造血器腫瘍、免疫疾患、再生医療、および細胞治療分野における治療薬、診断薬、治療機器、診断機器、および診断アプリケーションの研究開発、臨床開発、および事業開発の経験を有する。
<科学顧問>
坂口 謙吾 博士(理学) :東京理科大学 創域理工学部 名誉教授
菅原 二三男 博士(農学):東京理科大学 創域理工学部 名誉教授
<共同研究者>
佐原 弘益 博士(医学):麻布大学大学院獣医学研究科長 教授、麻布大学獣医学部 教授
■会社概要
株式会社エム・ティー・スリー
代表取締役社長: 宮崎 年恭
創業日 : 2018年1月1日
所在地 : 東京都港区南青山2-2-8 DFビル10階
事業内容 : 医薬品、研究用薬の研究、開発、製造、販売
(補足資料)
■レブリチン(R)開発の経緯、実用化までの長い道のり
1. 有効成分SQAPの発見
レブリチン(R)の有効成分SQAPの元となる天然物(ウニ、スギノリ)由来のSQMGとSQAGは札幌医科大学の佐原(現麻布大学)ら、東京理科大学の坂口、菅原らによって発見され(SQAPは、SQMGやSQAGを大量生産可能な形に人工合成したものである)、研究の結果、弱い制がん作用を持っていること、放射線照射との併用で放射線治療の効果を高めることが突き止められた。
SQAPは脂肪酸とグルコース(俗な表現をすると天ぷら油とブドウ糖)からなる極めて単純な構造であり、両方とも栄養成分である。正常細胞においては単なる栄養素として短時間で代謝され排出されるが、がん細胞においては24時間程度貯留する傾向があることがマウスを用いた試験で示された。画期的な発見であったことから、発見者3名を中心とした研究グループは、人用医薬品としての開発実用化を目指した。しかし、医薬品開発の手順は極めて複雑で時間を要する上、莫大な開発費用が必要という大きな障壁にぶつかった。開発実用化を複数の企業に打診したが、放射線増感剤というカテゴリーが医薬品に存在せずマーケットが不明という理由から参入企業は皆無であった。
2. 動物用医薬品開発に至る道のり
研究グループは、その後数年をかけて国や民間のファンドを探し研究開発を進めたが、制がん剤の開発は人に投与できるまでには非常に制限事項が多く、天文学的な費用と時間を要するため、進行は困難を極めた。そんな折に、「がんになるペット動物が今は非常に多く、アメリカでは動物用制がん剤の開発が盛んである。日本でも動物病院と共同したらどうか」とのアドバイスを受け、佐原らが所属する麻布大学獣医学部及び附属動物病院に相談した。そこが日本獣医がん学会の本部だったこともあり順調に話が進んだ。そして手続きを踏んで動物の末期がん患者の放射線療法の際にSQAPを補助療法として加えたところ予想を超えた効果を示し、人の場合なら生存が不可能なくらいに巨大化した腫瘍が顕著に縮小した。
こうして、SQAPの開発は、まずは動物用の放射線増感剤『レブリチン(R)』として、動物用医薬品としての承認を取得することを第一の目標に据えることになった。
3. さらなる困難と株式会社エム・ティー・スリーの創業
上述の通り劇的な効果が見られたものの、開発費の問題が想定以上に大きく立ちはだかり、臨床研究は残念ながら少数例のみで中止せざるを得なかった。
がん領域を専門分野としてキャリアを積んで来た宮崎は、同門である佐原らからSQAP開発における窮状を聞き、この画期的な化合物を何とか世に出すべく自らその開発を引き継ぐことを決意、2018年に科学顧問として坂口・菅原、共同研究者として佐原を迎え、株式会社エム・ティー・スリーを創業した。
その後、幸いにもいくつかの企業から出資を得ることができ、2019年より犬の鼻の中にできるがん(鼻腔内腫瘍)を対象とした臨床試験を開始、2023年9月、発見から四半世紀の時を経て、農林水産省より、動物用医薬品として世界初の放射線増感剤『レブリチン(R)』の承認※2を受けた。
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