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【地方創生クロストーク】 ひろぎんグループ×property technologiesグループ

「住まい」がつなぐ地方創生のビジョンとは

property technologiesは、2022年12月、東京証券取引所グロース市場へ上場を果たし、その引受幹事団の一社としてひろぎん証券にご参加いただきました。地方銀行グループが県外事業者と積極的に地元経済の活性化に取組み、さらにその県外事業者の引受幹事団として上場企業誕生を後押ししたことは全国的に見ても珍しい事例といえます。このような事例が生まれた両グループをつなぐキーワードは「地方創生」です。地方創生では様々な企業組織・団体のパートナーシップが重要ですが、両グループはいかに絆を深めていったのでしょうか。

写真左から 株式会社広島銀行 銀山町支店長 下平 哲也様、株式会社ひろぎんホールディングス 取締役常務執行役員 / ひろぎん証券株式会社 代表取締役社長 苅屋田 史嗣様、株式会社property technologies 代表取締役社長CEO / 株式会社ホームネット 代表取締役社長 濱中 雄大
従来の「銀行」「金融」という枠を超え、幅広いニーズや課題に対応できる「地域総合サービスグループ」として地域活性を目指すひろぎんホールディングス 取締役常務執行役員であり、ひろぎん証券 代表取締役社長の苅屋田 史嗣様、広島城東地区幹事店である広島銀行 銀山町支店の支店長 下平 哲也様と、中古住宅リノベーションを手掛け全国15拠点に支店を展開し、地域に根ざした経済活動を活性化しているホームネット※ 代表取締役社長であり、property technologies代表取締役社長CEOの濱中雄大の三者で、「地方創生」、「地域活性化」を軸とした鼎談を実施しました。
※property technologiesの主要グループ会社。買取・仕入した中古住宅をリノベーションし、再び販売する「買取再販業」を全国15の主要都市にて展開する。

――はじめに、2022年12月にホームネットの持株会社であるproperty technologiesは東京証券取引所グロース市場へ上場を果たしました。ひろぎん証券様としても引受幹事団に加わっていただきましたが、ひろぎん証券様の目線でこれまでをふり返りながら、上場の日を迎えた想いをお聞かせください。

ひろぎんホールディングス 取締役常務執行役員 / ひろぎん証券代表取締役社長 苅屋田 史嗣様(以下、苅屋田様)

濱中様と私には不思議な”縁”があります。まず広島県尾道市、同郷の出身であるということです。そして、私が広島銀行の東京支店長時代(2018~2020年)に、ホームネット様とお取引させていただいたことです。ファイナンスはもちろんですが、2019年にホームネット様が広島支店を開設するお手伝いをさせていただきました。このようなことを踏まえまして、ホームネット様が急速に成長されていく姿を非常に頼もしく見守っていました。

広島とも所縁のある全国展開をされている企業グループなので、地元の投資家にもぜひ、property technologies様の株を持っていただきたいとの強い想いがあり、ひろぎん証券が引受幹事団に加わって投資家への販売のお手伝いをいたしました。
苅屋田 史嗣(かりやだ ふみつぐ)様 株式会社ひろぎんホールディングス 取締役常務執行役員 ひろぎん証券株式会社 代表取締役社長  1965年広島県尾道市生まれ。1987年に広島銀行に入行し、2015年営業統括部長、2018年執行役員東京支店長、2020年4月常務執行役員・ひろぎん証券顧問を歴任。2020年6月ひろぎん証券代表取締役社長(現職)、2020年10月ひろぎんホールディングス取締役常務執行役員(現職)に就任。

――濱中社長、ひろぎん証券様が幹事団に加わる経緯を、当時を振り返りながらお気持ちを教えてください。

property technologies 代表取締役社長CEO / ホームネット 代表取締役社長 濱中 雄大 (以下、濱中)

苅屋田様がおっしゃってくださった出会いもそうですが、私は広島県人です。会社は東京につくりましたが、広島県出身としての想いというものがありました。広島支店を2019年に開設してから今ではホームネットの支店は15拠点になり、東京・大阪などマーケットの大きい地域を除いた中核都市の中では広島支店がNo.1です。そのような社内の位置づけもありますが、自分が生まれ育った街である広島に支店を出せて、開設時から広島銀行様、ひろぎん証券様に関わっていただき、苅屋田様との出会いを含め大変嬉しく思っています。

故郷への恩返しも含めて、様々な意味で広島と関わっていきたいと考えています。また、広島に関わらずホームネットが支店を出している15の地域には様々な意味で関わっていきたいです。
濱中 雄大(はまなか たけひろ) 株式会社property technologies 代表取締役社長CEO 株式会社ホームネット 代表取締役社長 1966年広島県尾道市生まれ。1988年大手不動産会社に入社。最年少営業本部長として全国拠点の新規展開を牽引。2000年12月に独立し、株式会社ホームネットを設立。2020年11月持株会社の株式会社property technologiesを設立し、現職。2022年12月に東京証券取引所グロース市場へ上場

――濱中社長が地方に寄り添っていこうと考えたきっかけは何でしょうか。

濱中

ホームネットの中古ビジネス(中古マンション買取再販業)スキームだと、7、8割の企業が東京で事業を行っています。2010年にホームネットがこの中古ビジネスに関わったときには、地方に出て支店展開をしていく企業はほぼいませんでした。他社が地方出店をしていない中で、我々は2014年から支店展開をはじめていきました。大阪を筆頭に、名古屋、福岡、仙台と主要都市に進出していき、2年前から、沖縄や熊本など、他社が出店していない地域にも支店を出しています。
ホームネットの考え方として、地域に根付いて商売をさせていただければ、きちっとした利益確保ができるというものがあり、この10年近くかけて実証してきました。また、それは営業社員の自信にもつながっていると考えています。

新たに支店開設した場合、まず営業社員の確保から始めます。地元の人材を採用して支店づくりをし、商品である中古マンションの仕入に際しては地元の金融機関様にお願いをして資金を支援いただきます。商品を購入した後は、付加価値をつけるためリノベーション工事を施しますが、そこに関わる施工業者様も地元の方にお願いし、最終的な販売も地元の仲介会社様にお願いをします。また、販売完了後の買主様の住宅ローンも、地元の金融機関様につけていただいております。このように、その地域で完結する商売を各地域で取り組んでおります。

この取組みをご理解いただいて、今や全国で77の金融機関様に取引いただいております。毎期増えていく必要資金の相談に乗っていただくのはもちろんのこと、金融機関様からお取引先を紹介していただき、マッチングも活発に行っているため、ビジネスの幅も出てきました。地域に根ざす企業としてやってきた中で、実績がかなり積みあがってきたなと感じています。

――下平様の目線から、県外事業者が地元の金融機関様から積極的な資金支援を受けることは珍しいことでしょうか。

株式会社広島銀行 銀山町支店長 下平 哲也様 (以下、下平様)

珍しいことだと思います。我々の銀山町支店でも御社以外には県外事業者様とのお取引はございませんので、非常に珍しいケースだと思います。
下平 哲也(しもひら てつや)様 株式会社広島銀行 銀山町支店長 1971年広島県三次市生まれ。1994年に広島銀行に入行し、2016年4月 江田島支店長、2018年4月三島支店長を歴任。2020年4月船舶ファイナンス部付出向、2022年4月銀山町支店長(現職)に就任。

――下平様が支店長になられてからホームネットへはどのような印象をお持ちでしょうか。

下平様

御社とのお取引は前任の支店長の時から始まっていました。当時の担当者から話を聞いたところ、先ほど濱中社長がおっしゃられていた通り、マンションは新築物件のニーズもありながら、(新築マンションを購入できない)ある一定層の方が中古物件に興味を示し、一定の需要があることは支店でも認識し始めていました。中古マンションの買取再販業をされている企業とのお取引が銀山町支店ではほとんどなかったため、地方創生のために地域を盛り上げていく中で、御社のようなビジネスの仕組みについて共感するところがありました。

私が銀山町支店に着任してからというもの、全国で不動産価格が高騰し、広島県も山と海が近く平地が少ないという地形からマンションが人気で、価格が高騰してきています。
実際に、中古でも新たに付加価値をつけた新しい形のマンションに興味を示すお客様のお話をよく耳にします。新築マンションを購入できない一定層に対するニーズにも対応できれば、需要が一層高まり、地域活性化につながっていくのではと思います。

――下平様、ありがとうございます。事業を行っていく中で、地方創生というものに県外事業者が関わってくることは珍しいのですね。少し話を戻させていただきますが、苅屋田様から上場時に引受幹事団に加わっていただいたお話をいただきましたが、地方銀行の証券会社が県外事業者に関わるということも、珍しいことでしょうか。

苅屋田様

そもそも地方銀行のグループ会社に証券会社が存在するということ自体が少ないです。地銀系の証券会社は全国で27社ほどと思いますが、我々は証券機能を2008年頃の早い時期から整備していたため、こういう機会にご要望に応えられたことが特色だと思います。そういった意味で、事例としても珍しいのは間違いないです。

また、県外事業者という部分でお話しますと、自分自身も証券会社の社長でもあり持株会社の取締役ですから、やはり企業の志とか経営者の考え方を一番よく見ています。事業内容はもちろんありますが、それ以前に企業としてのものの考え方、あるいは経営者としての志がどういうものなのかが、我々が非常に重視するところです。その点、御社はテクノロジーを起点にし、住まいの流通革命を起こすという点で、取り組もうとされていることのバリューも志も非常に高い。

もともと東京支店でお取引いただいていたうえに、広島支店を開設されてからは銀山町支店でもお取引ができるようになりました。その頃から、ホームネット様(現:property technologies)については勉強させていただくところが多々あります。確かに東京の会社ではありますが、全国の地域で事業を展開されていることは、住まいを通して地方創生に貢献されていることとほとんど同義なのではないでしょうか。

地方創生というキーワードは、街・人・仕事(街づくり・人が住みやすい・仕事があること)です。御社の事業は、人が生活していく上で欠かせない「住まい」を起点として、地域の活性化に直結する事業ではないかと考えています。広島にも拠点を持ちコミットされているのであれば、我々として支援をしない理由はなく、資金面・情報面を含めてぜひ応援したいという想いがあります。

――苅屋田様、ありがとうございます。濱中社長と同郷ということだけではなく、お二人が歩んできた道が最終的には地方創生という部分でつながっていったと感じられました。

まさに、「住まい」を通した地域貢献であったり、地域活性化という点では両グループの目指しているところが非常に近いものなのではと感じました。ひろぎんグループとして目指している部分も踏まえて、実際にホームネットに対して、地方創生で期待していることをお話いただけますか。

苅屋田様

地域金融機関にとって地方創生は避けて通れない道です。地域金融機関の存在意義は、地域を元気にして地域とともに発展していくことであり、地域が発展してこそ地域金融機関自身も成長できるのです。また、特に今の日本経済のような30年間GDPも成長しない状況下で国力をあげていくためには、それぞれの地方が栄えていくことが必須の前提条件となります。

これを我々が担うということは、“お手伝いをする”ということだと考えています。我々が地域の活性化に全力でコミットするために、2020年10月にひろぎんホールディングスという持株会社をつくり、その傘下に銀行や証券会社をはじめとする金融系の子会社5社、非金融の子会社を3社、合計8社の事業会社を揃えました。従来は銀行が中心となって、金融を中心に地域活性化に取り組んでいましたが、金融の枠組みを超えて、非金融の世界まで踏み込んでお客様の幅広いニーズや課題を拾って対応していくための体制をつくり、それを統括するための持株会社をつくりました。(2023年4月現在、金融系子会社6社、非金融子会社3社の計9社体制)

我々は、従来の銀行の枠を超えて金融・非金融を含めた様々ニーズに対応するための「地域総合サービスグループ」です。当社グループの中にある非金融の会社のひとつに「ひろぎんエリアデザイン」という会社があります。この会社は地方創生をグランドデザインする会社で、将来的に当社が描く街づくりの絵柄の一部を御社と連携して進めていく局面を想定できます。我々としてはぜひ地方創生を通じて、property technologiesグループとひろぎんグループとその地域社会のステークホルダーの3者がwinwinの関係になれるようにぜひとも協力しながら進めていきたいと思います。

――苅屋田様、ありがとうございます。金融の枠を超え、街づくりといった新たな領域に取り組まれることが、新たな連携や可能性を生み出すために重要なのですね。

新たな領域という点では、property technologiesも上場前から現在までテクノロジーを起点とした新たな取り組みをしています。property technologiesとして目指している部分を踏まえ、現状の取り組みについてお話いただけますか。

濱中

多くの方々のおかげで無事に上場することができ、次に目標とすることも見えてきたと感じています。お話にあがりましたようにひろぎんホールディングス様のグループ会社とどういう連携ができるのか楽しみですが、我々としてはテクノロジーを活用したさらなる可能性の広がりを目指していかなければなりません。当社のテクノロジー活用の取り組みとして、本日は3つご紹介します。

1つ目は、持株会社の名前にテクノロジーという言葉を入れ、グループ内でもテクノロジーが浸透していったことです。一番大きく当社のパワーとなったのはホームネット社内の取り組みでした。社内DXを進めていきたいという想いで、ホームネットのこれまでの不動産売買データを学習させた「AIによる不動産価格査定機能」を作りこみ、営業社員がこのAI査定を利用することによって、業務効率化に繋がりました。

例えば、広島の仲介会社様から「ホームネットさん、この物件買いませんか?」と中古物件を紹介いただいたとしたら、営業社員は過去の成約事例などを調べて事業計画を作成し、ホームネットが買い取れる査定金額を当日中に回答するとルールを決めています。これまでは、仲介会社様に査定金額を回答するまで5~6時間かかっていました。これでも早いほうで、他社はおそらく2~3日ほどかかっているはずです。

そこに今やAI査定を利用することによって5秒で査定金額の指標が出るため、AI査定が提示した金額に間違いないかを検証・確認するだけでよいので、結果30分後に回答が出来るようになりました。これが圧倒的パワーになっており、ホームネットのマンション仕入という部分で、たいへん大きな競争優位性が出ました。

2つ目は、「KAITRY(カイトリー)(https://kaitry.com/)」というサイトを2021年7月にオープンしたことです。「KAITRY」とはAI査定を活用し、一般のお客様から直接買取ができるtoC向けのサービスサイトです。通常、3か月以内に住み替えができている人は少なく、半年以上かかってしまう方がほとんどです。長い時間がかかるのは、今住んでいる家がいくらで売れるかわからないため、1歩が踏み出せないという課題があるからだと我々は考え、この課題を解決しようとオンライン上で買取価格をスピーディーに提示するというのが「KAITRY」の最初の構想でした。

サイトには多くの方が訪れ、月間250件ほど無料の買取査定を行い、月間6件ほど直接買取をさせていただいていました。それが5月30日放送のテレビ東京『WBS(ワールドビジネスサテライト)』で取り上げていただき、直後に2日で約500件の反響がありました。中でも一番お問い合わせが多かったのは、相続や離婚にともなう照会です。「KAITRY」は3日で現金化を謳っているため、住み替えや売却を急いでいらっしゃる方には、大変マッチしたと感じています。

また、半年以内に住み替えを検討しているお客様も、反響をいただいてから希望期間内に成約できていて、こちらからきっちりとしたフォローアップを常にお客様へしていけば、需要は掘り起こせると考えています。テクノロジーを利用したtoC向けのこのサービスを皆様にご理解・認知いただければ必ず需要があることがわかりました。
3つ目は、当初考えてなかったことが起こりました。先ほどお話しした77の金融機関様とは、融資契約などでホームネットの支店長が常にやり取りをしており、その際に「KAITRY」の紹介もしています。すると多くの金融機関様から「『KAITRY』を金融機関向けに使えないか」とお問合せをいただけるようになりました。3か月前(2023年4月)にまず、みずほ銀行様に導入していただきました。このサービスを「KAITRY finance(カイトリー ファイナンス)」と命名し、ここに戸建て・土地も査定できるような仕組みも金融機関様向けに開発して提供していこうと考えています。

この使い勝手は様々です。現在、複数の金融機関様と導入に向けた話が進んでいますが、そのうちの信託銀行様では、遺言部隊が複数名いらっしゃいます。現場ごとで例えば相続の場合、相続割合、遺産の分割が実行されるときに、相続人が持っていらっしゃるマンションについて「どのように分けますか」となったときに、その場ですぐにパソコンまたはスマートフォンで買取金額が提示できる点にご好評いただいております。他にもコーポレートファイナンスを検討する際に、連帯保証人である代表者がお持ちの財産を明確化できるという点もすごく使い勝手としてあるというお声もいただいております。

私たちが考えていなかった、「KAITRY」の使い方を逆に教えていただいている状況です。元々は社内DXを進めていくことがきっかけであったAI査定の活用幅が広がることで、別の業種・業態との連携や仕入ルートが生まれ、また新しいチャネル開拓が今後もできるだろうと思っています。

「KAITRY」の可能性を広げ、我々はもっと企業の魅力を増大していきたい、価値をあげていきたいと考えております。そのためには地方銀行様とより密接な関係性を築き、ファイナンスも毎期増えていっている状況です。テクノロジーの活用が進むということは、当初の目論見とは少し異なる変化も起きてきているということを少しご紹介いたしました。

――現業にテクノロジーを使い、リアルな取引(データ)を増やすことで新たなビジネス領域が見え、これまでとは異なる方々と新たな関わりが生まれ、またそこから別の取引(データ)が生じることで、現業がやりやすくなっていくような循環がされている状況がわかりました。

その上で、ホームネットとしては企業版ふるさと納税を通じて、広島県尾道市の空き家対策事業へ寄付もされています。濱中社長が考える地方創生への具体的な施策はあるのでしょうか。

濱中

もともと尾道市が行っていることで何か応援できないか、不動産というカテゴリーにおいて我々がご協力できることはないか、という話を尾道市としていました。尾道市は他の行政に比べて空き家問題に力を入れています。ただ、尾道市の空き家が増え高齢化が進んでいく中で、空き家情報の吸い上げはできていますが、対処しきれていません。そのため、NPO法人による「尾道市空き家バンク」を通じて、県外から来られて尾道で商売を始めたい方とか、住まいを探している方とマッチングしています。しかしながら、マッチングを超えた部分で応えられないこともあると聞いています。それでしたら、全てではないですが「住まい」のプロである我々が事業主となって、リノベーションを施すことで価値を上げられる物件を買い、物件のバリューアップをしたら、今度は若い世代の方々にご購入いただける形をつくれるのではないかと。

尾道市長と直接お話できる機会があり、このことについて相談したところ、「尾道市にとって本当にありがたい話。プロに目利きをしてもらったほうが我々も市民に対して安心を提供できる。」と言っていただけました。ですので、これから物件を紹介していただくところから始めます。こういったところも、ファイナンスで広島銀行様が関わっていただけると、三位一体で行政を含めた地方創生という形ができ、実際に尾道市民のためになるのではと考えております。

――濱中社長、ありがとうございます。まさにひろぎんエリアデザイン様のお話とも通じるお話と感じます。

苅屋田様

もちろんそうですね。現在、ひろぎんグループでは各市町単位で行政と連携して地域起こしを始めようと考えています。様々なやり方があるので、確立的な方法があるわけではないですが、官民連携のような話です。自治体が抱える課題に対してひろぎんグループでできることを提案します。例えば、ひろぎんエリアデザインと自治体が一緒になって具体的な解決策の画を描いた時に、その中に不動産テック企業としての御社がどう絡んでくるか、これはぜひ実現させたいと思っています。
また、尾道でいえば尾道市空き家バンクの対象地域がさらに広がることも期待していて、ぜひ(出身地である)吉和地区も入れていただきたいとは思います。

――現在、尾道市空き家バンクの対象地域は4地域になりました。

濱中

昨年、原田地区が始動するなど空き家バンクの対象地域は広がってきていて、さらに増やす計画もあるそうです。当社に情報だけでもいただければ、対象地域でなくとも買うか買わないかの判断は早いため、空き家対策のエリアを広げられると考えています。

苅屋田様

現在の尾道市空き家バンクは、尾道市のど真ん中のまさに県外の方が想像する尾道らしいエリアが対象です。尾道市には当エリア以外にも色々な魅力的な場所があり、我々の出身地である吉和地区というところは中心から少し外れていますが、海が見えるなど多くの魅力があります。まさに我々や御社のような民間事業者が介在することで、エリアを限定しない取り組みができると意義あるものになる気がします。

――地方創生を考える場合、どちらか一方の働きかけだけでは解決しない問題が多いため、民間事業者から働きかける重要性を感じます。

苅屋田様

行政は、要望を受けて予算を取ります。具体的な要望は御社も含め民間から提案しなければいけません。その要望が市民の課題解決につながるものであれば、行政としては自分たちが気づけない点の問題提起として、取組み強化と予算をつける方法を想定するでしょう。このような働きかけこそが、地域活性化そのものであり、ぜひ取り組んでいきたいです。

――まさに従来の「銀行」「金融」という枠を超え、幅広いニーズや課題に対応できる「地域総合サービスグループ」としてホールディングス会社を立ち上げられた際の想いを感じました。

苅屋田様

金融というのは、従来は色々なものの川下に位置する事業でした。例えば、製造業が製品を作り、消費者が製品を買うときにお金が必要となる、という話です。しかし、金融だけの役割をしていても地域は成長していかないのです。昭和のような高度経済成長期でしたら別ですが、現在は川下ではなく川上からいかにコミットしていくか(例えば、消費者に本当に必要な製品は何かから)を考えていかないと、地域が成長していきません。地域が成長していかないと、金融機関は地域と運命共同体ですから、当然ダメになってしまいます。我々自身の問題として、できるだけ川上へ、できるだけ幅広い課題の解決へと、目線を変えていきたいというのが本音です。

今回の鼎談では、全国的に見ても珍しい両グループの関係性を再確認し、地方創生について語り合いました。両グループはそれぞれが持つ強みやノウハウを活かして、地方の街づくりや人の暮らし、仕事を支える取り組みを展開しています。また、両グループは「住まい」を起点に行政とも連携して、地方創生に向けた新たなビジョンを描いています。これからの地方創生には、こうした共創が不可欠です。両グループの挑戦は、地方創生の新たな可能性を示しています。

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