ケアネット、産業医科大学との共同で 「日本における非アルコール性脂肪性肝炎患者(NASH)の 臨床的特徴」についての論文を発表
- 国民健康保険及び後期高齢者レセプトデータを用いた5年間のRWD研究 -
株式会社ケアネット(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:藤井 勝博、URL: https://www.carenet.co.jp 、以下「ケアネット」)と学校法人産業医科大学公衆衛生学教室(所在地:福岡県北九州市、以下「産業医科大学」)は、「非アルコール性脂肪性肝炎(以下、NASH)患者の臨床的特徴と、併存疾患との関係性を調査すること」を目的に両者で行った共同研究の結果を、学術論文「日本における非アルコール性脂肪性肝炎患者の臨床的特徴」として発表し、同論文が2023年8月22日に英国の医学誌「BMJ」に掲載されましたので、お知らせします。
本研究は、国民健康保険及び後期高齢者レセプトデータによるRWD(Real World Data)研究で、2015年4月~2020年3月の5年間にNASH(レセプト病名及び肝生検実施履歴)と診断された適格患者を対象としています。
主な結果としては、NASHの診断定義を満たした患者(n=545)を非NASH対照(n=185,264)と比較したところ、対照群に比べてNASH患者でBMIが有意に高いことが示唆され、また、女性、脂質異常症患者、高血圧患者、GERD、2型糖尿病患者の割合はNASH群で高く、さらにNASHは肝硬変や肝癌のリスク上昇と関連していました。
本論文では、NASH患者の日常診療においては、性差や年齢差を考慮し、肝硬変や肝癌を始めとする悪性腫瘍のリスクや、生活習慣病併存症に細心の注意を払う必要があると結論付けています。
【NASHについて】
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は最も一般的な肝疾患であり、世界人口の約20~30%が罹患しています[1]。NAFLDには、病理学的に純粋な脂肪症のみ、あるいは脂肪症に炎症細胞浸潤を伴う非アルコール性脂肪肝(NAFL)と、肝脂肪症、炎症細胞浸潤、バルーン化(肝細胞バルーン化)、肝線維化を伴う非アルコール性脂肪肝炎(NASH)があります[2]。
NASHは、メタボリックシンドローム、肥満、糖尿病(DM)、高血圧、脂質異常症[1]と強く関連しており、主な死因は心血管イベントと肝疾患関連イベントです[3]。しかしながら、NASH診断のための生検率は低く、NASHは過小診断されています[3]。世界のNAFLD及びNASH患者数のマルコフモデルに基づく推計によると、日本におけるステージIII以上の線維化NASH患者数は、2016年には66万人、2030年には99万人に増加すると予測されています[4]。さらに、NASHの有病率は人口の約3~5%と推定されていますが[5,6]、侵襲性の高い肝生検の必要性など診断の難しさから、一般集団におけるNASHの有病率に関するエビデンスは不十分なのが現状です。
【論文について】
タイトル:
日本における非アルコール性脂肪性肝炎患者の臨床的特徴:5年間の大規模レセプトデータベース研究
原題:
Clinical characteristics in patients with nonalcoholic steatohepatitis in Japan: a case-control study using a 5-year large-scale claims database
著者名:
Kei Tokutsu, Kaoru Ito, Shigeki Kawazoe, Sota Minami, Kenji Fujimoto, Keiji Muramatsu, Shinya Matsuda
掲載誌:BMJ
DOI:10.1136/bmjopen-2023-074851:外部リンク
【Reference】
1. Cotter TG, Rinella M. Nonalcoholic Fatty Liver Disease 2020: the state of the disease. Gastroenterology 2020;158:1851-64. doi:10.1053/j.gastro.2020.01.052
2. Tokushige K, Ikejima K, Ono M, et al. Evidence-based clinical practice guidelines for nanalchoholic fatty liver disease/nonalcholic steatophepatitis 2020 (2nd Edition). Hepatol Res Gastroenterol 2020;56:951-63.
3. Chalasani N, Younossi Z, Lavine JE, et al. The diagnosis and management of nonalcoholic fatty liver disease: Practice guidance from the American Association for the Study of Liver Diseases. Hepatology 2018;67:328-57. doi:10.1002/hep.29367
4. Estes C, Anstee QM, Arias-Loste MT, et al. Modeling NAFLD disease burden in China, France, Germany, Italy, Japan, Spain, United Kingdom, and United States for the period 2016-2030. J Hepatol 2018;69:896-904. doi:10.1016/j.jhep.2018.05.036
5. Williams CD, Stengel J, Asike MI, et al. Prevalence of nonalcoholic fatty liver disease and nonalcoholic steatohepatitis among a largely middle-aged population utilizing ultrasound and liver biopsy: a prospective study. Gastroenterology 2011;140:124-31. doi:10.1053/j.gastro.2010.09.038
6. Vernon G, Baranova A, Younossi ZM, et al. Prevalence of nonalcoholic fatty liver disease and nonalcoholic steatohepatitis among a largely middle-aged population utilizing ultrasound and liver biopsy: a prospective study. Aliment Pharmacol Ther 2011;34:274-85. doi:10.1053/j.gastro.2010.09.038
■ケアネットについて
名称 :株式会社ケアネット
代表者 :代表取締役社長 藤井 勝博
所在地 :東京都千代田区富士見1-8-19 住友不動産千代田富士見ビル
設立 :1996年7月
資本金 :24億500万円
主な事業内容:製薬企業向けの医薬営業支援サービス、
医師・医療者向けの医療コンテンツサービス など
CareNet.com : https://www.carenet.com/
CareNeTV : https://carenetv.carenet.com/
CareNet Career: https://career.carenet.com/
Doctors' Picks: https://www.carenet.com/lp/doctorspicks/
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