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I’ROM GROUPとNTT Comが協業を開始 dポイントクラブ会員基盤を活用し治験参加者をリクルートメント

~治験参加者を早期に確保し治療薬の開発期間短縮をめざす~

 株式会社アイロムグループ(以下 I’ROM GROUP)とNTTコミュニケーションズ株式会社(以下 NTT Com)は、治療薬の開発期間短縮などをめざし2023年11月29日より協業(以下 本協業)を開始します。

 本協業ではI’ROM GROUPがこれまで全国4,500超の提携医療機関に対し提供してきた臨床研究(※1)支援体制とNTT ComのICTソリューションを融合し、治験期間の短縮や効率化、品質向上を行います。

 第一弾として、株式会社NTTドコモのdポイントクラブ会員のうち700万人のプレミアパネル(※2)に対し、治験情報の提供および治験参加者のリクルートメントに取り組みます。会員の属性に応じ、新たな治療法や新薬に関する情報提供、生活圏内で治験が可能な医療機関の紹介を行うことで、治験をより身近に感じ積極的に参加できる環境づくりを行い、治験参加者の早期確保に取り組みます。

 

1.背景

 日本は高度な医療技術や設備の充実、清潔な衛生環境により平均寿命が長い長寿国とされていますが、死因の第一位であるがん(※3)や、免疫疾患、神経変性疾患、また比較的罹患者の多い糖尿病や精神疾患などについては十分な治療法が確立されておらず、新薬の開発が求められています。

 一方で、日本は海外と比較して治療薬の承認・流通までに要する時間が長く、米国と欧州連合で流通している新薬のうち、約72%が国内未承認(※4)ともいわれておりドラッグ・ロス(※5)が生じています。

 この問題は、治験参加者の確保が難しいことや治験を実施する医療機関のリソース不足、インフラが未整備であることに起因しています。

 本協業では治験実施体制の根本的な底上げにより、治験参加者の確保などによる治験期間の短縮や、デジタルツールの活用による効率化・品質の向上を行い、新薬の開発と普及を促進することで日本の健康と福祉の向上に貢献します。


 

2.本協業における具体的な取り組み

 本協業では以下の取り組みを行います。

 

(1) dポイントクラブ会員へ属性に応じた治験情報の提供および治験参加者のリクルートメント

 NTT Comは、dポイントクラブ会員のうち700万人のプレミアパネルを対象に、許諾のとれた会員へ治験の情報提供および、治験参加者のリクルートメントを行います。

 生活圏など、会員の属性に応じた情報提供や治験実施機関への誘導により、効率的に治験参加者を掘り起こし、治験期間の短縮を実現します。

 

(2) 提携医療機関のDXによるオンライン治験の推進

 NTT Comは全国8つの支社や、全国47都道府県に支社・支店を持つグループ会社の株式会社ドコモビジネスソリューションズと連携し、I’ROM  GROUPが提携する全国4,500超の医療機関に対し、ICTソリューションやセキュリティ関連サービスの提案を実施し、DCT(※6)など、オンラインで可能な治験体制を構築します。これにより地域の格差なく治験に参加しやすい環境の整備を行います。

 

(3) 提携医療機関へのePRO(※7)およびeConsent(※8)の導入

 I’ROM GROUPはNTT ComのSmartPRO(※9)を提携医療機関へ導入し、ePRO機能を活用することで、従来紙ベースで収集されていた治験参加者の主観的評価(「痛み」や「気分が悪い」など)のオンライン取得を促進します。これにより、タイムリーな情報収集や入力漏れ軽減を可能とし、信頼性の高いデータ取得による治験の品質向上と効率化を実現します。

 また、治験参加の際のインフォームド・コンセント(※10)ではSmartPROのeConsent機能を使うことで、医療機関にとっては同意管理の電子化による業務効率化の実現と治験参加者にとっては自宅にいながら同意説明を受けることができるという選択肢の提供が可能になります。

 

(4) 統合管理プラットフォームの構築

 電子カルテやEDC(※11)、PHR(※12)などの情報を安全かつ効率的に活用するため、I’ROM  GROUPの臨床研究情報統合管理プラットフォームとして「Smart Data Platform for Healthcare」(※13)を基盤とした環境構築をめざします。


<本協業のイメージ図>


3.今後の展開

 本協業において、2030年には医療機関へのICTソリューションの導入や、治験を含む臨床研究全体の支援事業において、両社で500億円のビジネス規模をめざします。

また、今後は約9,700万人のdポイントクラブ会員が治験の情報を受けやすくすることで、個人が医療情報を適切に入手し治療法を選択できるコミュニケーション基盤の確立をめざします。

 両社は連携を強化し、治験の多様性への対応と公平な情報提供を行い、医薬品開発の効率化により持続可能な医療の実現に貢献します。


【アイロムグループについて】

I’ROM GROUPはSMO(治験施設支援機関)のパイオニアとして創業し、新しい医薬品・医療技術の開発と普及にいたるまでの統合的なソリューションを提供しています。日本トップクラスの提携医療機関を持ち、医療機関の支援や被験者のフォローアップを全国で提供できる環境と豊富な経験と知識を持つ専門家チームを有しています。また、再生医療や遺伝子創薬などの先端医療分野の研究開発にも取り組んでいます。

 

【NTTコミュニケーションズ株式会社について】

NTT Comは1999年に設立され、通信事業者ならではの高品質なインフラと技術を活かし、ネットワーク、クラウド、データセンター、アプリケーション、セキュリティ、AIなどの多岐にわたるICTサービスを展開しています。2022年にドコモグループにおける法人事業の中核を担う企業となり、「ドコモビジネス」ブランドのもと5G・IoTなどを活用した社会・産業のグローバルレベルでの構造変革、新たなワークスタイルの創出、地域社会のDX支援などの価値を提供しています。



(※1):臨床研究とは、人を対象とした医学系研究のことをさし臨床試験および治験を含みます。

(※2):プレミアパネルとは、株式会社NTTドコモの「dポイントクラブ」の会員に、アンケート形式で「プロモーション」や「リサーチ」を行うNTT Comのサービスです。詳細は下記URLをご参照ください。

       https://www.ntt.com/business/services/premierepanel.html

(※3):厚生労働省 令和2年(2020年)人口動態統計月報年計(概数)の概況を参照しています。

(※4):日本製薬工業協会のニューズレター2023年1月号No.213「ドラッグ・ラグ:日本と欧州の未承認薬状況の比較」を参照しています。

(※5):ドラッグ・ロスとは、欧米諸国で使える治療薬が、日本では開発または承認されず使えない状況をさします。

(※6):DCT(Decentralized Clinical Trials:分散化臨床試験)とは、デジタル技術などの活用により、医療機関への来院に依存しない臨床試験手法をさします。

(※7):ePRO(electric Patient-reported-outcome)とは、スマートフォンなどを活用し電子的にPRO(治療経過や症状に関する患者の主観的評価)を収集すること、またはそのシステムをさします。

(※8):eConsentとは、パソコンやタブレット端末などを活用し文書や動画、ビデオ通話といった方法で試験内容を説明し、電子署名などによって参加の同意を得ることをさします。

(※9):SmartPROとは、NTT Comが提供する臨床研究を支援するデータ収集サービス(ePRO機能とeConsent機能を含む)です。

(※10):インフォームド・コンセントとは、治療や臨床試験・治験の内容について説明を受け十分理解した上で、自らの自由意志に基づいて合意・同意することをさします。

(※11):EDC(Electronic Data Capture)とは、電子的に臨床データを収集すること、またそのシステムをさします。

(※12):PHR(Personal Health Record)とは、個人の健康や身体の情報を記録した医療データをさします。

(※13):Smart Data Platform for Healthcareとは、NTT Comが提供する医療ヘルスケア分野向けのデータ流通プラットフォームです。

 


関連リンク

臨床試験の評価精度向上を実現するデータ収集サービス「SmartPRO(R)」の提供を開始(2022年5月20日)

https://www.ntt.com/about-us/press-releases/news/article/2022/0520.html



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