<イベントレポート>2024年2月6日(火) アルバ・エデュ主催 第2回「話す力を育成する官民合同シンポジウム」
「話す力」がなぜ今必要なのか~教育現場・民間企業・国際機関の視点から~
2024.02.27 09:30
一般社団法人アルバ・エデュ(東京都文京区、代表理事:竹内明日香、以下「アルバ・エデュ」)は、2024年2月6日(火)、第2回「話す力を育成する官民合同シンポジウム」を、都内の会場とオンラインで開催しました。本シンポジウムは、アルバ・エデュの活動報告に加え、国際機関、民間企業、教育界といった多様な視点から見た「話す力」の必要性、考える力」について意見交換を行うことを目的に開催したものです。
登壇者集合写真
1. アルバ・エデュの沿革と課題意識
まず、アルバ・エデュ代表理事の竹内より、アルバ・エデュの沿革と課題意識についてご報告申し上げました。
竹内明日香
【一般社団法人アルバ・エデュ代表理事 竹内明日香】
アルバ・エデュのプログラムを通じて、「話す力」が伸びるとともに学力や自己効力感、クラスの心理的安全性が高まったという効果が出ている。
現在の教育課程においても、様々な教科に話す時間や考えを表現する時間は含まれている。ただし、それを共通の力として体系立てて学ぶ場がないことが問題である。
また、これまでの教育全般の課題として、原稿を用意して間違いなく音読することを是とするなど、ひとつの正解を求める傾向があった。そうではなく、相手に自分の考えを1人称で話せることが重要。経団連の調査でも、社会で必要とされる能力のトップはコミュニケーション能力だが、実際には話せない社会人が多数という状況が続いている。今こそ、子どもだけでなくすべての国民に「話す力」が必要である。
2. パネルディスカッション
続いて、お集まりいただいた官民のみなさまにて、「話す力」をテーマに意見交換を実施しました。
パネルディスカッション
【国際通貨基金アジア太平洋地域事務所長 吉田昭彦 様】
※「吉田昭彦」の「吉」は「土の下に口」が正式表記。
吉田昭彦 様
国際通貨基金(IMF)では、多様な出身国の職員が働いている。英語が非ネイティブの職員も少なくないが、多少英語がつたなくとも、自信をもって話している。一方、日本人は面接等での自己アピールが控えめで、損をしていると感じる。国際機関で働くうえではセルフプロモーションがとても重要。そうした点を強めていければ、日本の国際的な存在感を高めることにつながるだろう。
【株式会社ポーラ代表取締役社長 及川美紀 様】
及川美紀 様
国内企業においても「話す力」は非常に重要である。現代は新しい価値観・概念が次々に出てくる時代であり、先人がやってきたことがすべて正解とは限らない。そうしたときに求められるのは「わたしはこう思う」というI(アイ)メッセージである。上司の考えに従うのみで、自分がどう思うかを表現できない社員ばかりでは、企業は発展していかない。「話す力」はイコール「考える力」でもある。
【江東区教育委員会 教育長 本多健一朗 様】
本多健一朗 様
現在の教育現場は大きく変化してきている。一人一台タブレット端末が配布され、子どもたち自身で様々なことを調べる機会が増えている。そうした中で、子どもたちの中で「調べたことを話したい」という気持ちが高まってきている。当区でもアルバ・エデュのプログラムを導入しているが、子どもたちは本当に話したいことであれば、自信を持って話すことができるようになると実感している。
【文部科学省初等中等教育局 学校デジタル化プロジェクトチームリーダー 武藤久慶 様】
武藤久慶 様
先日のPISAの結果をみると、日本の子どもたちは数学・科学・読解力いずれのリテラシーもトップクラスだが、一方でこれまでのお話のように読み書きに偏重してきた部分もある。国全体として、「話す力」は弱点であると感じている。GIGAスクールの浸透により、子どもが自分なりに調べた成果を発表するという授業が増えてきている。このように、教育課程全体で自分なりの問いを立ててそれを伝えるということを増やしていけば、もともと基礎学力の高い日本の子どもたちにとっては鬼に金棒となるのではないか。
フロアからは「ひとつの正解を求めるという教員に染みついてしまっている姿勢を変えていくにはどうすればよいか」といった質問や、「話す力の育成を通じて、日本社会にオーナーシップを浸透させることができるのではないか」といったコメントが寄せられ、活発な意見交換が行われました。
3. アプリで広がるアルバ・エデュの取り組み
最後に、現在アルバ・エデュと共同で「話す力」を育成するためのアプリ開発に取り組んでいるJP UNIVERSE株式会社の田畑社長より、アプリの概要についてご紹介いただきました。
【JP UNIVERSE株式会社 代表取締役CEO 田畑端 様】
田畑端 様
現在、アルバ・エデュの学習メソッドを取り入れ、生成系AIを用いて子どもたちの話す力を引き出すためのアプリを開発している。AIと対話をしながら自分の考えを相手に伝える練習をするというものである。将来的には、自分本人が表に立って話すことが苦手な子どもでも、アバターとしてみんなの前でプレゼンテーションができるピッチコンテストのような場への展開も考えている。
アルバ・エデュでは、これまで公教育向けに教員研修やモデル授業といったプログラムを届けてまいりました。「話す力」がさらに全ての教科における土台となるためにも、子どもたちや先生方にとって使いやすいアプリの開発を急ぎます。一人の子どもも取り残さず話せる日が来るまで、活動を広めていくために尽力してまいりたいと思います。
【実施概要】
日時 :2024年2月6日(火)14:00-15:30
場所 :東京都港区赤坂1-2-2 日本財団ビル2F
主催 :一般社団法人アルバ・エデュ
登壇者 :6名
現地参加者 :38名
オンライン視聴者:105名(お申込み人数)
■一般社団法人アルバ・エデュについて
アルバ・エデュは、変化の激しい時代を生きる児童・生徒たちが、自己理解を深め自己効力感をもって未来を切り拓いていくために「話す力」を高める教育を全国に広げています。これまでに約5.4万人の教員、子どもたちへの研修・授業実績があります。代表理事の竹内が、金融業界で海外投資家と日本企業をつなぐ仕事をする中で、「日本の優れた製品やサービスの良さが伝わっていない」という現実に何度も直面してきました。「話す力」は小さな成功体験を積み上げることによって高めることができるという信念のもと、教室内の心理的安全性をも高めるプログラムを提供しています。
所在地 : 東京都文京区音羽1-17-11 花和ビル308号
設立 : 2014年12月
代表理事: 竹内明日香
URL : https://www.alba-edu.org/
■代表理事:竹内明日香について
日本興業銀行(現みずほ銀行)を経て、海外投資家向け情報発信や日系企業のプレゼン支援を提供して今日に至る。2014年、子どもの「話す力」の向上を目指す一般社団法人アルバ・エデュを設立。教員研修や児童・生徒を対象としたモデル授業を展開。東京大学法学部卒業。NRS株式会社社外取締役。一般社団法人未来の先生フォーラム理事。公立小元PTA会長。二男一女の母。
一般社団法人アルバ・エデュ 代表理事 竹内明日香
<著書>
『すべての子どもに「話す力」を』(英治出版)
https://eijipress.co.jp/products/2308
『すべての子どもに「話す力」を』(英治出版)
『99%の小学生は気づいていない!? 思いを伝える「話す力」』(Z会出版)
https://www.zkai.co.jp/books/guide/id-5456/
『99%の小学生は気づいていない!? 思いを伝える「話す力」』(Z会出版)
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