地域医療の持続に向けた遠隔診療モデルの実証実験を実施
波乗りクリニックとエイチティトレーディングは、山口県宇部市の中小企業等DX推進事業費補助金(DXモデル枠)を活用して「デジタル技術を活用した持続可能な遠隔診療モデル」の実証実験を令和5年8月から令和6年2月まで実施しました。この試みは、医療従事者の負担軽減と効率化を目指し、地域医療の新しい可能性を切り拓きます。
なお今回の実証実験は上記の体制で行いました。
■実施の背景
日本では、人口減少と高齢化の進行に伴い地域医療に対する負担が年々増加しています。特に地方では医療従事者の不足が深刻な問題となっており、新たな解決策の模索が求められています。
宇部市も例外ではなく、平成7年から令和4年の年齢別人口の推移において15歳未満の人口割合が16%から12%に減少している一方、65歳以上の人口割合が17%から34%と大幅に増加しております(※)。
医療従事者の労働環境や人手不足の改善に貢献するためエイチティトレーディングが開発した「バイタルステーション」は、体温・血圧・脈拍などのバイタルサインを遠隔で測定できるIoT機器で、医療現場で実際に働く医師からの貴重な意見をもとに地域医療DX版の開発を重ねてきました。
そしてこのたび、山口県宇部市の「波乗りクリニック」でのユーザーテストを経て、地域医療DXのモデルケースとして、宇部市中小企業等DX推進事業費補助金を活用して、実証実験を実施するに至りました。
※出典:グラフとデータで見る宇部市
https://www.city.ube.yamaguchi.jp/shisei/toukei/1018220/index.html
■実験内容および実験結果
本実証実験では、波乗りクリニックの患者様にご協力いただき「バイタルステーション」を中心とした環境を構築し、遠隔・訪問診療における医療従事者の作業負荷の軽減と、DX化したバイタルデータの効率的利用による診療の質の向上を目的として実施しました。実証実験で得られた主な結果は下記のとおりです。
<クリニック内医療従事者全体の負担軽減に成功>
現時点では設置場所が3か所のため、目標としていたクリニック内全体の業務負担を10%軽減ができたと断言をすることは難しいものの、今後、展開規模を拡大した場合には当初の目標以上の効果があるものと推測できる結果が得られました。また電子カルテとのCSV連携により医療従事者のバイタル測定結果の転記も全て自動化されることも見えており、これによりさらに大幅な生産性向上が見込めます。
<参加した患者の満足度向上>
この度ご参加いただいた、患者様ご家族からは「都度(血圧などの)数値を伝える手間が省ける」とご好評をいただいております。また、令和5年12月13日の宇部日報にて本補助事業の内容に関する考案記事が掲載されたところ、患者様からの問い合わせも増加し、当初の目標値を上回る成果であると言えます。
■次年度以降の展開について
次年度以降は多職種連携を推進し、訪問看護ステーション・関連医療施設・介護施設・薬局と「バイタルステーション」を中心にしたバイタル情報の共有の実現や、バイタルステーションを温湿度センサーと連携させた温湿度の管理の実現に向けて取り組みを継続してまいります。特に温湿度センサーとの連携は、近年増加する高齢者の自宅内での熱中症対策への活用を見込んでおります。
また宇部市の地域発展のため、今後「バイタルステーション」の販売・運用を行う業者を募集し連携も進めていく予定です。
■「バイタルステーション」について
「バイタルステーション 地域医療DX版」は、主に地方都市での訪問医療における医療従事者不足を補うために、医師側(サーバー側)にクラウド、患者側(ユーザー側)に専用の通信BOXを設置する「バイタルステーション クラウド版」に2つの機能を追加しています。
1.定期的な自動アナウンスツール
視覚で患者が判断できる赤色灯など、医師から患者に定期的にアナウンスするツールです。簡易的な所定の作業を、在宅で患者またはその家族自らが行い、バイタルデータを取得できる仕組みとなっています。
2.異常検知時の医師への通知機能
異常値(要閾値設定)の検出を行い、異常などがある場合は医師に端末へのメッセージやメール送信にて通知。オンラインまたは対面ですぐに対応可能な仕組みを実現しています。
詳細URL: https://htshop.shop-pro.jp/?mode=f3
なお、エイチティトレーディングは2024年1月に埼玉で行われた「第36回彩の国ベンチャーマーケット」にて、今回の実証実験の内容を含めた「バイタルステーション」に関するプレゼンテーションを行い、特別賞を受賞しています。
プレスリリース添付資料
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- 調査・報告
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- 医療 その他IT・インターネット 社会(国内)
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