3D映像表示技術を用いて建機の遠隔操作における操作性を向上 -日立建機株式会社との協創-
2024.04.04 11:15
EIZO株式会社(本社:石川県白山市、代表取締役社長:恵比寿 正樹)は、日立建機株式会社(本社:東京都台東区、執行役社長:先崎 正文)と協創し、3D映像表示技術を用いた建機の遠隔操作ソリューションにおける操作性向上を実現しました。
1. 背景
昨今、施工現場においては、安全性や生産性の向上、労働環境の改善や労働力不足への対応などが課題となっています。その解決策の一つとして、建設機械の遠隔操作や自動運転に関するユーザーのニーズが高まっています。
日立建機株式会社(以下、日立建機)と当社の協創により生まれた本ソリューションは、自然災害時の早期復旧や、建機操縦者不足などの社会課題への対応に貢献します。
日立建機株式会社×EIZO株式会社
<日立建機と協創で取組む「遠隔操作ソリューション」の全体像>
遠隔監視ソリューションの全体像
2. 詳細
建機および施工現場周辺にカメラを搭載し、離れたところで映像をモニター画面に表示し、それを確認しながら建機を操作する遠隔施工業務には、安全性や効率面で2つの課題があります。1つは、操縦者が施工対象物までの距離感を掴みにくく、精密な作業をスムーズに行うことが難しいことです。もう1つは、遠隔操作を行う建屋でリアルタイムに映像を確認するために安定した伝送が求められることです。
これらの課題を解消するため、当社は日立建機との協創で、3D映像表示技術を用いて、建機を実際に操作している感覚に近いリアルな映像を、遠隔地にあるモニターに表示するソリューションを開発しました。遠近感の把握はもちろん、土砂の色の違いから水分の含有量を予測しやすくなるなど、操縦者は遠隔から現場の状況をリアルタイムで正確に把握できるため、安全かつ効率的に作業を行うことが可能となります。また、モニターの3D映像の閲覧には、軽量な防曇加工のめがねを着用することから、遠隔操作を行うオペレーターの快適な視界を確保します。
3. 本ソリューションに貢献した3つの当社技術
当社はEIZO製品群で構成する「撮影、記録、配信、表示」のImaging Chainをシステム事業として展開しています。本ソリューションでは、3Dモニターでの表示のみならず、画像処理やカメラ映像の伝送まで、多くの領域で当社技術が活用されています。
<「遠隔操作ソリューション」の構成図>
遠隔監視ソリューションの構成図
(1) より正確かつ安全な建機の操縦につながるリアルタイム画像処理技術の開発
日立建機との技術検証を重ね、各種画像処理技術を開発しました。
例えば、カメラ映像のレンズによる歪みをリアルタイムで自動補正する画像処理技術を開発し、後述のストリーミングゲートウェイの機能として実装することで、画像処理による表示遅延を極めて小さくしています。これらはより正確かつ安全な建機の操作につながります。
EIZOのリアルタイム映像処理技術
(2) 3D映像を安定して伝送するストリーミングゲートウェイ技術
本ソリューションでは、建機に設置したステレオカメラの映像を伝送しています。当社のストリーミングゲートウェイ技術は、複数の映像を圧縮し、1つの映像にタイリングして表示することができます。本ソリューションでは、この技術を用いて、左右のカメラ映像の同期性を常に維持しながら伝送し、3Dモニターでこれらを合成して3D映像を構築しています。
(3) 内視鏡モニターで培ったリアルタイム3D映像表示技術
当社は、ヘルスケア市場向けの内視鏡手術用3Dモニターを開発・生産・販売しています。内視鏡手術では手術映像の奥行き感と立体感を忠実にモニター画面上に再現することが求められます。本ソリューションでは、この表示性能を活かして、施工現場特有の距離感に対応する表示技術および、ステレオ映像を使った3D表示技術の基本設計開発に、日立建機と協創で取組みました。
4. 関連情報
本ソリューションは、2024年5月22日から5月24日まで幕張メッセで開催される「第6回 建設・測量生産性向上展(CSPI-EXPO 2024)」の日立建機ブースにて初めて展示説明を行います。
●日立建機株式会社ニュースリリース
https://www.hitachicm.com/global/ja/news/press-releases/2024/24-04-04/
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