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山田たくやの『中国ビジネス環境の実態』を 株式会社アジア太平洋観光社の多元ニュースにて公開

株式会社アジア太平洋観光社の多元ニュースにて、山田たくやの『中国ビジネス環境の実態』を公開します。


この数年、日本の多くのメディアで中国経済に関するネガティブ報道が繰り返され、中国のビジネス環境が極めて不安定且つ危険であるように感じる日本人が増えてきたように感じる。この状況が続けば日中両国の経済・貿易・人的交流に多大なる阻害要因となり、win-winの関係、中国関係でよく出てくる表現で言えば相互的互恵関係を築くことが難しくなってしまう。私自身も中国とビジネスをしているが、日本の友人から中国経済は本当に大丈夫なのか?というような連絡が増えてきた。では実際中国の経済事情は本当に衰退しているのだろうか?まずは客観的なデータから紹介したいと思う。



■中国で新たに設立された外資系企業のデータ

中国商務部が2024年1月19日に発表した最新のデータによると、同年1~11月に中国で新たに設立された外資系企業は前年同期比39.7%増の5万3,766社に上る。GDPで日本を抜いて世界第3位になったドイツの昨年度対中国への直接投資額は4.3%増の119億ユーロ(約127億ドル)となり、過去最高を記録した。また、2024年第1四半期(1~3月)に中国にて新たに登記された外資系企業は前年同期比20.7%増の1万2,000社に達している。アジア開発銀行の浅川雅嗣総裁は、今年の中国経済は積極的な財政政策と穏健な金融政策に支えられて着実に成長するとの見解を示した。

2023年には日中両国首脳会談がアメリカで開催され、今年に入ってからは経団連・日本商工会議所・日中経済協会3団体合同、合計210名の代表団の中国派遣など、経済分野での交流はコロナ禍以降徐々に回復していることが分かる。



■中国におけるビジネス環境の整備の動向

中国では2020年からは外商投資法が制定され、外資企業の知的財産保護がより重要視されるようになった。2022年12月30日には「中華人民共和国対外貿易法」が改正され、中国企業が商務局への貿易権申請をしなくても直接海外と取引ができるようになるなど、より多くの外資企業の参入障壁を取り除く取り組みが行われている。近年では日本国内でも中国地方政府が投資説明会などを開催するなど、中国における貿易と投資に関するPRを行い、外資企業の誘致や連携を深め、より広い範囲・分野より深いレベルでの交流を進めている。特に中国国内では自由貿易試験区や自由貿易港が増え、海南島には離島免税制度もある。中国各地域に新しく建てられる産業ビジネスパークの中には日中産業パークなど日本企業を対象とした減税や優遇政策を打ち出している場所も多く、今はビジネス参入のチャンスであるという見方もあるだろう。

しかし、一部のメディアでは昨年改訂されたスパイ防止法が最大のビジネス障壁であると謳っている。ただ実際一般人である我々が中国で会社を登記したり、日本から中国とビジネスをしたり、もしくは中国に旅行をしただけで捕まる可能性がない。改正スパイ防止法はスパイ行為を明確に定義し、中国で合法的に運営、投資、事業に従事する企業、人材、及びその活動を対象としていない。


経済・貿易・人的往来の健全な発展には、相互理解と往来が増え、日中両国の政府・民間の間での友好的感情が大事である。メディアから流れてくる情報だけで相手のイメージを断定してしまい、結果的に文化的にも、距離的にも最も近い国と喧嘩をして距離を取って日本の経済は良くなるのだろうか。バランスを持った視点で中国と接して行くためにも「百聞は一見に如かず」という言葉の通り、先ずは自分の目で中国の現状を見てみることが先決なのではないだろうか。

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