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世界初!アルミニウム - 空気電池の二次電池化を実現

2013.10.11 10:30

冨士色素株式会社(本社:兵庫県川西市、取締役社長:森 史郎、常務取締役:森 良平)は、金属 - 空気電池の1つであるアルミニウム - 空気電池を初の二次電池化実現に成功致しました。

【研究の背景】
近年、地球温暖化問題や、原油価格上昇などを背景に、自動車のエネルギー源などを電気エネルギーに転換していくことが注目されています。しかし、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池は、電気自動車やスマートグリッドに必要となる高性能の蓄電機能としてはエネルギー密度が不足しています。

我々は金属 - 空気電池の中で、最も材料として扱いやすく、安価なアルミニウムに注目しました。アルミニウムは、他の二次電池の金属材料の候補と比較し、資源量も豊富です。また、二次電池として最高といわれるリチウム - 空気電池に次ぐ2番目の理論値容量があります(リチウム - 空気電池:11400Wh/Kg、アルミニウム - 空気電池:8100Wh/Kg)。


【研究のポイント】
1.資源的に豊富で安価なアルミニウムを電極材料とした新型蓄電池

2.リチウムなどの空気に酸化されやすく不安定な物質は一切使わないので、空気中で安定に作動し、また空気中で製造も可能

3.全ての材料が空気中で安定しているので非常に安全であり、リチウムイオン電池などのように爆発や燃焼する心配がない

4.理論的には二次電池として最高といわれるリチウム - 空気電池に次ぐ2番目の理論値容量がある
(リチウム - 空気電池:11400Wh/Kg  アルミニウム - 空気電池:8100Wh/Kg)


【研究内容】
本研究で作成されたアルミニウム - 空気電池の電池構造は、負極としてアルミニウム金属板を、電解液として水酸化ナトリウム水溶液を用いて、負極と正極である空気極と電解液の間に酸化物から構成されるアルミニウムイオン伝導体(タングステン酸アルミニウム)を組み合わせます。

このアルミニウム - 空気二次電池を空気中で0.2mA/cm-2の放電レートで放電すると、初期放電容量は5.3mAh/cm-2となりました。また、30回目の放電容量も約4.4mAh/cm-2となり、放電容量が8割以上維持されているのでアルミニウム - 空気電池が二次電池として機能できることが証明されました。

現在までのアルミニウム - 空気電池は全て放電1回で使い切りの一次電池であり、二次電池として機能できることが証明されたのは世界初です。

電解質が水酸化ナトリウムの水溶液であり、他の電池構成部材も安価で安全なものであり、リチウムイオン電池などのように爆発や燃焼したりする心配が全くありません。また現在のリチウムイオン電池より安価に製造できます。

この成果は、2013年8月に英国王立化学会の学術誌RSC Advancesにオンライン掲載されました。(RSC Advances,2013,3,11547-11551)


【今後の課題】
電解液が蒸発しない構造に設計しましたが、実際は作成したアルミニウムイオン伝導体の酸化物の多孔性が原因で、実験中も電解液の補充が必要でした。電解液の蒸発の問題は今後クリアしていかなければならない課題です。


【今後の予定】
森 良平博士が今回開発した新しい構造の新型「アルミニウム - 空気二次電池」は1週間の充放電が可能でした。今後は電解液をより安全で安価なNaCl、つまり塩水などを使用して検討する予定です。またより伝導度の高いアルミニウムイオン伝導性を有するアルミニウムイオン伝導体なども使用してみます。そしてさらなる充放電時間の延長、容量の大型化を目指す予定です。


【会社概要】
商号  : 冨士色素株式会社
代表者 : 取締役社長 森 史郎、
      常務取締役 森 良平
所在地 : 〒666-0015 兵庫県川西市小花2-23-2
設立  : 1938年3月
事業内容: 赤色有機顔料、各種色材、各種機能性コーティング材料、
      各種機能性ナノサイズ微粒子分散体、太陽電池、燃料電池、
      二次電池用部材、水処理剤、生分解性樹脂などの製造販売
資本金 : 3,000万円
URL   : http://www.fuji-pigment.co.jp/

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