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ロイド船級協会 データ主導型のメンテナンスで、船舶の運航上の信頼性と効率性向上により明確な軌道を牽引

ロイド船級協会と日本郵船との新たな共同研究で、コンディション・ベース・メンテナンス(CBM)を分析し課題と可能性について指標を提示

【プレスリリース】 2024年 6月4日

ロイド レジスター(LR)はこのほど、日本郵船株式会社(NYK Line)、そして日本郵船グループの研究開発部門のグループ会社である株式会社MTI(MTI) との共同研究で、船舶の信頼性と効率性を向上させる明確な道筋を示し、またMTIは、特にデータ駆動型状態基準保全(DCBM)の採用が船舶の運航における効率性と信頼性により大きな影響を与えることを明らかにしました。

今回発行された調査報告書では、最新の分析モデルを活用したDCBMプロセスが、海事産業にどのような多大な利益をもたらすことを示す一方で、実装の成功に向けた潜在的な道筋と、乗り越えなければならない障害について概説しています。

また同報告書では、船主がコンディション・ベース・メンテナンス(CBM: 状態基準保全、IoT・AIなどの技術を活用し、設備の劣化・故障などを監視して予測)におけるメリットを最大化するために対処しなければならない4つの課題について指摘しています。当4つの課題とはすなわち、1.保守・点検チェックリストの精度の欠如、2.予定された保守・点検からの逸脱、3.危険な運転状態を特定する際の基準の曖昧さや未定義、4.システム故障に直面した際の効果的な戦略的対応の確保などが該当します。

これらの課題を克服することで、船主や運航会社は、機器の稼働率の向上、ダウンタイムの短縮、総メンテナンスコストの削減といった恩恵を受けることができます。これは、総体的に、乗組員の作業負担を軽減し、安全基準を改善できるとともに、資産からの投資収益率を高め、運用経費(OPEX)を大幅に削減に貢献できる可能性を含んでいます。

また報告書では、相手先商標製品製造業者(OEM)を含む業界関係者に対し、単に安全性の向上にとどまらず、さまざまな改善につながるDCBM技術の可能性を探るよう促しています。当調査では、データ主導の未来を受け入れ、データ分析主導での保守保全作業を優先することで、船主や運航会社が競争上の優位性を確保できるとともに、諸経費を削減でき、優れた海上オペレーションを実現できることを示しています。

ロイド船級協会の日本担当戦略ビジネス・パートナーであるルイス・ベニートは次のように述べています: 「現在、海運業界の業務プロセスには大きな転換期が訪れており、新たなグローバルな需要への適応能力が問われています。脱炭素化とデジタル化という2つの原動力は、従来型のプロセスに対し、より前向きな破壊をもたらし、海運業界は新しい働き方を受け入れることを余儀なくされています。データ主導の状態ベースの保守保全という新たな技術や手法を採用することで、船主は安全を優先でき、OPEXを下げながら投資収益率を守ることができます。」

また、日本郵船株式会社の山田省吾 船舶本部副本部長は、次のように述べています: 「このたび、海運業界におけるデータ駆動型状態基準保全(DCBM)の導入の機会と課題について詳細な分析を行い、具体的な改善提案とそのメリットについてまとめました。DCBMを採用することで、船舶のメンテナンス効率を高め、運航コストを削減し、安全性を向上させることができます。さらに、技術革新、方法論、運用ワークフローの3つの重要な分野における包括的な分析の必要性を強調している。さらに、さまざまな利害関係者間でのデータ共有と協力の重要性が強調され、海事産業におけるデジタル化とデータ主導型アプローチの進展に向けた包括的なビジョンが強調されています。これは、将来の行動への道を開く重要なメッセージとなるでしょう。」

株式会社MTI取締役の安藤英幸は、次のように述べています。: 「海事産業におけるイノベーションの最前線にいる企業として、データ駆動型状態ベース保全(DCBM)の機会と課題を探るこの共同作業に参加できることをうれしく思います。この報告書で提供された包括的な分析は、メンテナンス効率の向上、運航コストの削減、業界全体の安全基準の改善におけるDCBMの変革の可能性をより強調するものです。私たちは、関係者間のデータ共有と協力をより促進することで、持続可能かつ効率的、またより相互接続された海事エコシステムを目指すことができ、海事業務のデジタル化とデータ主導の進化を海事クラスターで推進できると確信しています。


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今日、LRは、海事産業および海洋・オフショア産業における船級およびコンプライアンス・サービスのリーディング・プロバイダーとして、顧客の安全を守り、かつ環境コンプライアンスに適合した資産を設計、建造、運用できるよう支援しています。
また、船体パフォーマンスの最適化、また航海上の運航業務最適化に関するアドバイスや、支援、またソリューションを提供し、顧客のデジタル化に向けた機能性を強化しています。当社のデジタル・ソリューションは2万隻以上の船舶に利用されています。
ゼロ・エミッションに向けた競争において、当社の研究、技術的専門知識、業界初の取り組みは、安全で持続可能な海事エネルギーへの移行を支援しています。
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詳しくはウェブサイトwww.lr.org をご参照ください。

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日本郵船は、安全運航と技術革新に努め、海運業界におけるデジタル技術を活用した安全運航の最前線にいます。デジタルエンジニアリング、IoT(モノのインターネット)、船舶の自律運航などの先進技術を活用し、安全対策を継続的に強化しています。デジタル技術を活用し、船舶のモニタリング、運航、メンテナンスのプロセスを改善することで、リアルタイムなデータ解析と予知保全を可能にし、リスクを軽減し、乗組員、貨物、環境の安全を確保します。
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株式会社MTI(MTI)は、日本郵船グループの研究開発部門として創立20周年を迎えました。
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現在、MTIは船舶運航、情報技術、環境・省エネ技術の研究開発をリードしています。船舶の自律運航と船舶のIoTにおける先駆的な取り組みが評価され、よりイノベーションを推進、さらに、持続可能な海上ロジスティクスを推進に向けた共通のシミュレーションプラットフォームの開発や、デジタルエンジニアリングを通じた海事部門の人材育成などで業界を牽引しています。
MTIでは今日、技術革新における20年の道のりを祝い、また海事技術の未来を形成し、業界の継続的な成長と成功に貢献することに専心しています。
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