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【岡山理科大学】わずか1年で60g→2,051gに 宮崎・都農町での陸上養殖、抜群の成果

2024.06.04 16:30

タマカイを試食する(右から)坂田町長、山本准教授、一人おいて金谷組合長
 宮崎県都農町で、岡山理科大学と同町、NTT東日本・西日本が連携して量産化・ビジネス化に取り組んでいる好適環境水によるハタ科の「タマカイ」の陸上養殖が順調に進捗し、スタートから1年が経過した今年4月時点で、平均体重は当初の60グラムから2,051 グラムまで成長し、抜群の成果を上げています。6月3日、現地を訪れた理大生命科学部の山本俊政准教授は「稚魚から1年で2キロを超える魚は聞いたことがない」と強調。社会実装に向けて関係者は一層、自信を深めました。

 同町での陸上養殖は、「水産業夢未来プロジェクト」として、試験養殖施設(7.4トン水槽2基)に、成長すると最大3メートルにもなる「タマカイ」の体長7~8センチ、体重約60グラムの稚魚224匹と、体長35センチほどにまで育ったクエとタマカイの交雑種「クエタマ」53匹を収容して、2023年4月からスタート。このうちタマカイで、高い生残率(約94.2%)などが確認できたことから、タマカイに絞って量産化・ビジネス化に取り組んでいます。

 養殖を直接担当しているのは、つの水産振興・加工品開発協議会職員の三輪将也さんと河野里美さん。二人で日々の給餌から塩分濃度、水温、水質のチェックなどを行っています。
 養殖しているタマカイは現在201匹。昨年4月に収容した時の体重は約60グラムだったのが、9カ月目には平均1,148グラムと1キロを超え、1年経過した今年4月には2,051グラムに達しました。

 山本准教授が訪れた6月3日には、坂田広亮町長、瀬尾隆太副町長、都農町漁業協同組合の金谷正文組合長はじめ、町役場のふるさと納税担当者ら15人が参加して試食会が行われました。三輪さんが水槽から取り上げた1匹のタマカイを、養殖施設近くにある都農水産加工センターで、日向市の和食店経営、森下哲也さんが調理。鍋と唐揚げ、カルパッチョの3種類に仕上げました。

 「肉厚で弾力があり、かむと甘味が出てきて、とてもおいしい」と坂田町長。金谷組合長は「脂に甘味があり、癖がない。うまみもある。これはいい。絶品だ」と太鼓判を押します。職員からも「くさみが全くなく、上品な感じの脂でおいしい」「ゼラチン質の脂がとてもおいしく、癖になりそう」などの感想が聞かれ、大好評でした。

 今後の方針について、坂田町長は「成長が良く、モノがいいことも分かった。あとは稚魚の確保方法を確立したうえで、安定的に供給できるようになるまで、どうアプローチしていくか。議会の理解も得ながら、4者でその体制をつくっていきたい」とし、当面は年末に向けて、ふるさと納税の返礼品として、鍋セットなどを検討していることを明らかにしました。

 山本准教授は「これまでの成果に非常に満足している。社会実装に向けて、非常に有望な魚種だと考えている。稚魚の確保についてはNTT東日本とも連携しながら、全面的に協力していきたい」と話しています。

 一方、クエタマは昨年4月時点で平均体重1,100グラムだったのが、今年4月には3,418グラムにまで育っており、タマカイとは別の利用方法を検討しています。
水槽の様子を見る(右から)瀬尾副町長、坂田町長、山本准教授、金谷組合長
大きく育ったタマカイ
養殖担当の河野さん(左)と三輪さん(中央)にアドバイスする山本准教授
試食用にタマカイを1匹取り上げた三輪さん
タマカイを調理する森下さん(中央)
タマカイの鍋セット
タマカイのカルパッチョ
タマカイの唐揚げ
試食後、職員に講評する山本准教授(右端)
山本准教授の言葉に耳を傾ける職員たち
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