骨太の方針への新視点。元テレビ朝日ワシントン支局長が解説する『日本企業のための経済安全保障』6/18発売。
2024.06.07 10:00
株式会社PHP研究所(京都市南区・代表取締役社長 瀬津要)は、2024年6月18日に『日本企業のための経済安全保障』(布施哲著/税込1,100円)を発売します。政府は経済安全保障推進法に基づき5月から「基幹インフラ制度」の運用を開始しました。「特定重要物資の供給網の構築」「先端技術の官民研究」「特許非公開」とあわせて今後は、経済安保策がすべて運用されることになります。地政学リスクが高まる中、発表間近の「骨太の方針2024」の重要課題でもある経済安全保障は、ビジネスリーダーにとっても無関心ではいられません。本書もこうした法整備を背景に出版するもので、元テレビ朝日ワシントン支局長が、企業現場の視点から経済安保策運用のリスクとメリットを解説します。
■経済安全保障推進法の目的
経済安全保障推進法では先端技術の官民研究、特許非公開、特定重要物資の確保、基幹インフラの安全の確保に関する4つの制度が創設されました。その骨子は「戦略的自律性」と「戦略的不可欠性」です。経済安保法制に関する有識者会議では「経済活動の基盤を強靭化することで他国に過度に依存しない自律性を確保すること」と「先端的な重要技術の活用で他国に対する優位性、国際社会にとって不可欠性を獲得、強化すること」としています。つまり経済安保とは、国家安全保障のために経済的手段や経済的側面に着目することであり、具体的には戦略的自律性と戦略的不可欠性を確保することを目指しているのです。
■日本企業を翻弄させる米中対立
近年、ウクライナ侵攻、中東情勢の悪化など地政学リスクが高まり、米中対立も深刻さを増しています。米国は中国との経済関係を維持しつつも、半導体、量子技術、AIなどの先端技術分野では厳しく投資や輸出の規制を強化しているのです。実際、中国はAIやEV用電池、ロケット、ミサイルなどの分野で米国や日本を凌ぐ技術力を獲得しつつあり、米国は対中輸出規制を同盟国とその企業にまで求めています。また高性能カメラなどの先端技術はもはや軍民両用となってきており、軍事産業以外の企業でもいつ規制や制裁の対象になるかわからない状況です。
■「守りの経済安全保障」ではなく「攻めの経済安全保障」がチャンスを生む
経済安保は守りを固める要素が強い分野ですが、著者が本書で主張するのは「単なるルールや規制の遵守やビジネスへのブレーキではなく、視点を変えれば、企業にとって成長へのチャンスにもなる」という点です。例えば、米国政府は先端半導体や通信機器や監視カメラの分野から中国を排除していますが、日本企業にとっては、米国政府が最大のライバルである中国企業を排除して市場シェア開拓の余地をつくってくれた好機とも考えられます。このように「守りの経済安全保障」だけでなく「攻めの経済安全保障」への転換が、地政学リスク時代を日本企業がしたたかに生き抜く一つの道になると著者は提唱しています。
【本書目次より】
◎TSMCが仮に中国の手に落ちたら/◎経済安全保障推進法への対応/◎助成金総額は1兆358億円/◎企業の視点から見たSC(セキュリティ・クリアランス)制度/◎事業機会につなげる「攻めの経済安全保障」/◎日本製鉄のインドでの躍進はお手本/◎台湾侵攻における3つのシナリオ/◎デジタル安保の柱とは/◎経済安保を経営戦略に活かす5つの要素/◎ロビー活動と戦略的コミュニケーション……
◎TSMCが仮に中国の手に落ちたら/◎経済安全保障推進法への対応/◎助成金総額は1兆358億円/◎企業の視点から見たSC(セキュリティ・クリアランス)制度/◎事業機会につなげる「攻めの経済安全保障」/◎日本製鉄のインドでの躍進はお手本/◎台湾侵攻における3つのシナリオ/◎デジタル安保の柱とは/◎経済安保を経営戦略に活かす5つの要素/◎ロビー活動と戦略的コミュニケーション……
■著者について
著者は、テレビ朝日の政治部記者として、『報道ステーション』などで20年以上、主に米国政治や安全保障関連を担当。その間に防衛大学校総合安全保障研究科を卒業した国際政治と安全保障の専門家です。米CSBA戦略予算評価センター、ジョージタウン大学、ジョージ・ワシントン大学にて客員フェローも務めた経験があり、現在はNECのシンクタンクであるIISE国際社会経済研究所に所属し、企業現場の視点から米国市場と中国市場のバランス、世界市場における「アメリカシフト」の潮流をリアルタイムで発信しています。
■『日本企業のための経済安全保障』について
【著者】
布施 哲[ふせ・さとる]
IISE国際社会経済研究所特別研究主幹、信州大学特任教授、海上自衛隊幹部学校客員研究員。1974年、東京生まれ。上智大学法学部卒業後、テレビ朝日政治部記者、ワシントン支局長、Zホールディングス経済安全保障部長を経てNECのシンクタンク、IISE国際社会経済研究所で現職。防衛大学校総合安全保障研究科卒業(国際安全保障学修士)。米軍事シンクタンクCSBA客員研究員、ジョージタウン大学客員研究員(フルブライト奨学生)として安全保障を研究。国際安全保障学会最優秀新人論文賞。
単著に『米軍と人民解放軍』(講談社現代新書)、『先端技術と米中戦略競争』( 秀和システム出版)。専門は経済安全保障、安全保障問題、先端技術の防衛への応用など。
IISE国際社会経済研究所特別研究主幹、信州大学特任教授、海上自衛隊幹部学校客員研究員。1974年、東京生まれ。上智大学法学部卒業後、テレビ朝日政治部記者、ワシントン支局長、Zホールディングス経済安全保障部長を経てNECのシンクタンク、IISE国際社会経済研究所で現職。防衛大学校総合安全保障研究科卒業(国際安全保障学修士)。米軍事シンクタンクCSBA客員研究員、ジョージタウン大学客員研究員(フルブライト奨学生)として安全保障を研究。国際安全保障学会最優秀新人論文賞。
単著に『米軍と人民解放軍』(講談社現代新書)、『先端技術と米中戦略競争』( 秀和システム出版)。専門は経済安全保障、安全保障問題、先端技術の防衛への応用など。
【構成】
第1章 経済安全保障とは何か
第2章 攻めの経済安全保障へ
第3章 企業にとっての台湾有事リスク
第4章 デジタル安全保障
終 章 経営に活かす経済安保インテリジェンス
第2章 攻めの経済安全保障へ
第3章 企業にとっての台湾有事リスク
第4章 デジタル安全保障
終 章 経営に活かす経済安保インテリジェンス
【書誌情報】
タイトル:日本企業のための経済安全保障
著者:布施 哲
価格:1,100円(10%税込)
判型・製本・頁数:新書判・並製・240ページ
ISBN978-4-569-85717-6
レーベル:PHP新書
発行:PHP研究所
著者:布施 哲
価格:1,100円(10%税込)
判型・製本・頁数:新書判・並製・240ページ
ISBN978-4-569-85717-6
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