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「第59回 東京都公園協会賞」受賞作が決定しました!

この度、第59回東京都公園協会賞について、次のとおり入賞作品11点が決定したのでお知らせいたします。
今回は30点の応募があり、このうち、歴史資料から六義園の池泉の記録を詳細に分析、景観の変化がもたらす鑑賞点の変化など、庭園史研究上重要な知見を発見した作品が最優秀賞を受賞しました。

東京都公園協会賞とは

東京都公園協会賞は、東京市の公園課長であり当協会の2代目理事長である(故)井下清氏の寄付を基金として、1964年に制定されました。1965年4月に第1回贈呈式が行われて以来、毎年実施してきました。
東京を緑豊かな都市にするため、「緑と水」の普及啓発等に参加・貢献した個人または団体を対象に、「技術」「論文」「実施記録及び報告」「ボランティア・社会貢献活動」の4部門に分けて作品を公募し、優れた作品を表彰しています。
(写真:六義園・受賞者撮影)

入賞者および入賞作品 

※情報は2024年3月31日現在

最優秀賞 1点

【論文部門】

板村 東磨(東京農業大学大学院 地域環境科学研究科 造園学専攻)
「六義園における池泉の水位変動とその景観」
柳沢信鴻「宴遊日記」から池泉の記録を詳細に分析し、池の水位変動のもつ力強さを導いた。水位の上下変動で庭園の景観が変化することを鑑賞対象としていた点を指摘し、庭園史研究上重要な知見を発見している。水位変動による景観の変化の発見は、六義園の新たな魅力を加える可能性を感じる作品になっており、その研究的価値は高く評価できる。

優秀賞 4点

【論文部門】

(1)中山 知香 (千葉大学大学院 園芸学研究科 ランドスケープ学コース)
「都市化に伴う恩田川流域の緑地環境の変化と施策の効果に関する研究」
恩田川流域のうち町田市域の緑地環境の変化について現地調査、航空写真、地図、ヒアリング等を通して細かく分析している。地理情報をデータで加工管理が可能な「GIS」を用いた、土地区分ごとの定量的な変遷と政策の関係性を明らかにしている手法が興味深く、新規性がある。湧水地に関する今後の施策に大きな示唆を与える点が高く評価できる。

(2)孫崎 莉那 (千葉大学園芸学部 緑地環境学科)
「湯島聖堂の植栽の現状と歴史的変遷に関する研究」
都心に残る貴重な緑地としての意味もある湯島聖堂敷地内の植栽や歴史的変遷、景観変化について、過去の絵図や写真、樹木調査の資料を丹念に分析している。自らも樹木の種類・高さ・直径の計測を行い、結論に説得力を持たせており、基礎資料となる有益な研究として評価できる。

(3)宮本 美咲輝 (神戸大学大学院 工学研究科 建築学専攻)
「日本における公園墓地の成立経緯とその計画への欧米墓地の影響」
東京市を中心に全国各地の公園墓地の成立と発展について、歴史的・体系的に整理した学術的価値の高い研究である。先行研究や参考文献を幅広く検証し、海外での現地調査も行うなど、丁寧かつ綿密な研究がなされている。

【ボランティア・社会貢献活動部門】

(1)特定非営利活動法人 みどり環境ネットワーク!(代表者:和田 博幸)
「光が丘公園生き物調査 〜ネイチャーポジティブへ向けた市民調査&次世代育成事業〜」
2003年から光が丘公園を中心に自然環境教育を継続、観察を通じた生き物リストの蓄積は重要なデータになると考えられる。参加者自らが学び、知識を付け、発表者としての役割を担うまでに成長させていく仕組みは他とは一線を画すものであり、自然環境を守る次世代の育成を生む仕組みを成立させている。自然再興の活動に関わる人材の確保の方法として他への模範となる事例となっている。

奨励賞 6点

【論文部門】

(1)廣田 峻也(東京農業大学大学院 地域環境科学研究科 造園学専攻)
「都市公園における単独利用者の利活用実態と滞在場所の選好傾向に関する研究」
公園の賑わいづくりが主流となる時代に公園の単独利用者に着目し、どのようなサービスが提供できるかという視点に気づき、研究に取り組んでいる。本分野の研究として、一石を投じる作品になっている。
今後の公園設計に活かすことができる可能性があり、興味深い作品となっている。

(2)矢野 瞳(日本女子大学 家政学部 住居学科)
「人間と鳥類が共存する都市河川空間について ―人間と鳥類のパタンランゲージを用いて―」
都市河川のデザインを人と鳥の滞留行動から分析したユニークな研究でオリジナリティがある。より魅力的な河川デザインの構築に資する研究結果となっている。調査方法に関して、市民が科学的なプロジェクトに参画する有効性について触れており、今後の調査手法の提言となっている。

≪ボランティア・社会貢献活動部門≫

(1)NPO法人ネイチャーリーダー江東 (代表者:阿河 眞人)
「地域の過去文献に関するAPG分類による植物目録の作成」
江東区の過去の文献を分析し、被子植物の分類体系を活用しながら植物目録を作成した貴重な活動である。過去の文献を現在の生態系保全活動に活用するために大切な取組であると評価できる。

(2)都立舎人公園ボランティア花壇の会(野草部会)(代表者:津村 昭人)
「舎人公園野草園の生物多様性」
舎人公園において20年以上にわたり、野草園の取組を支える長期のボランティア活動であり、生物多様性の保全に取り組んでいる。「野草園だより」として定期的に丁寧な情報発信を行っており、地道な活動が評価できる。

(3)東急建設株式会社(代表者:寺田 光宏)
「公園で生き物と触れ合い、子どもたちへ自然の大切さを伝える都立青山公園の生き物観察会12年継続開催」
生態系ネットワーク評価技術開発のためのデータ収集をきっかけとした、生き物観察活動。子どもたちの反応を見ながら、内容をブラッシュアップし、10年以上にわたり活動しており、その継続性は貴重である。

(4)水元かわせみ倶楽部(代表者:佐藤 友保) 
「『不動池は“カワセミ”にとって大切な子育ての場』 “カワセミの観察記録と環境改善への取り組み状況について”」
カワセミという多くの人が存在を識別できる種に着目したことは社会的な価値として有意であり、10年間の継続的な観察は貴重である。観察を通じ、カワセミにとっての餌場となる池の水質や小魚の生育環境について述べられており、カワセミの理想的な子育ての環境について示唆を与えている作品である。

ご案内

東京都公園協会 緑と水の市民カレッジ事務局が発行する「都市公園 243号(7月号)」に受賞者紹介を、「都市公園244号(9月号)」以降に順次作品の詳細を掲載いたします。
また、本年も上野グリーンサロン内「東京パークスギャラリー上野」にて2024年7月24日(水)から8月8日(木)まで受賞作品のパネル展示をいたします。

本件に関する問い合わせ先

公益財団法人 東京都公園協会
緑と水の市民カレッジ事務局
TEL:03-5532-1306

緑と水の市民カレッジについて

◆緑と水の市民カレッジ講座

緑と水に関する知識が学べる講座を実施し、多くの方々にご参加いただいています。講座はカレッジ講座教室のほか東京都内の公園や緑地、河川などのフィールドでも行っています。
【緑と水の市民カレッジHP】https://www.tokyo-park.or.jp/college/

◆みどりの図書館 東京グリーンアーカイブス

動植物や環境、公園、庭園、都市計画等に関する図書、雑誌だけでなく、東京を中心とした公園に関する古写真、図面などを所蔵している緑の専門図書館です。窓口では、図書、資料探しのお手伝いをするレファレンスサービスや資料複写(有料)、図面資料等のデータ貸出を行っています。
その他所蔵している貴重な資料の一部を特別公開する所蔵資料紹介コーナーを設置しています。
また、インターネット上から資料を検索することができます。
【みどりの図書館HP】https://www.tokyo-park.or.jp/college/green/#library
【E-mail】green-archives@tokyo-park.or.jp

◆HIBIYA PARK BIZ

公園の中のマイルームとして、ワーク&スタディにご利用ください。
緑と水の市民カレッジ開館時間内にご利用いただけます。
・カウンターテーブル席(電源あり)12席
・ソファ席7席
・丸テーブル席6席
【HIBIYA PARK BIZについて(緑と水の市民カレッジHP内)】
https://www.tokyo-park.or.jp/college/green/index.html#a03
【開館時間】 9時~ 17時
【休館日】日曜・祝日・年末年始(12月29日~ 1月3日)
【住所】千代田区日比谷公園 1-5
【交通】
・東京メトロ丸ノ内線・千代田線・日比谷線霞ケ関駅下車B2 C1出口 徒歩3分
・都営地下鉄三田線内幸町駅下車 徒歩 5 分
・JR山手線有楽町駅下車 徒歩 15分
【入館料】無料
【問い合わせ先】
緑と水の市民カレッジ事務局
TEL:03-5532-1306
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