NTTデータ経営研究所とVIE、 本人認証技術に関する研究成果を発表 脳波を用いた新しい認証技術の共同事業化を開始
株式会社NTTデータ経営研究所(所在地:東京都千代田区、代表取締役社長:山口 重樹、以下 NTTデータ経営研究所)とVIE株式会社(所在地:神奈川県鎌倉市、代表取締役:今村 泰彦、以下 ヴィー)は、音楽と脳波を用いた本人認証技術に関する研究成果をNEURO2024にて発表し、あらたな脳波による認証技術に関する共同事業化を開始いたしましたので、お知らせします。
■研究の概要
決済取引における本人認証の手段として、これまで本人の指紋や顔、静脈などを利用した生体認証が安全性の高いセキュリティ対策として金融サービスを中心に普及してきましたが、いずれの手段でも偽造やなりすましなどのリスクは残っています。
昨今、インターネット決済やメタバース空間における安全かつ利便性の高い電子決済ニーズの高まりを踏まえて、脳波を用いた本人認証技術が注目されています。脳波には、様々な計測方法から個人差のある複数の指標を計測できたり、個人の意識状態から異常を検知したり、他の生体認証にはない特徴があります。これらの特徴により、認証精度の向上や認証負荷の低減だけではなく、セキュリティレベルに応じた機動的な認証手順の変更や、脅迫などの脅威に対する堅牢性など、新たな付加価値を生み出す可能性を有しています。
脳波を用いた本人認証技術は研究開発や特許化が進むものの、従来の生体認証よりも煩雑な認証タスクを能動的に実施することが課題となっていました。そこで本研究では、脳波の特定周波数を惹起する音楽「Neuro Music」を用いることで、音楽を聞き流すだけでシームレスに本人認証を実施する技術の実証を行いました。今後、本技術を用いた新しい本人認証のシステム開発が期待できます。
■発表情報:
「脳データの個人差や個人内変動をどう活用するか ~脳波認証からwell-beingまで~」
NTTデータ経営研究所 磯村 昇太
2024年7月26日NEURO2024ランチョンセミナーにて発表
■実験結果1
合計23名の被験者データを用いて、音楽に対する脳波反応の個人差から個人認証を行う予測モデルを構築したところ、99.5%以上の精度(Accuracy)で認証ができることを検証しました。事前のモデル作成にあたっては、5分×5セット合計25分間の音楽聴取によって個人毎に脳波を学習させました。
また、電極数について5ch(Cz,T3,T4,左外耳道, 右外耳道)と2ch(左右の外耳道内の2極)の2条件で比較したところ、2chのみでも5chと同等程度の認証精度が担保できることから、イヤホン型脳波計などの簡易型デバイスでも高精度に本人認証ができる可能性が示唆されました。
Note:グラフ左からAccuracy, False Positive Rate, F1 score、EEGは5ch・EarEEGは2ch
■実験結果2
別人を本人と誤って認証するリスクを低減するために、別人である可能性が少しでもある場合に認証拒否を行った場合の精度を検証しました。
結果として、厳しい閾値を設定することで認証拒否される確率は高まりますが、誤認証率は0%に近づけることができました。
本技術は音楽という特徴から、本人に能動的なアクションを求めることなく継続的に脳波計測・本人認証を実施できます。これは「継続認証」と呼ばれる仕組みであり、認証に時間を要しても誤認証を避けることができる仕組みとしての活用が期待されます。なお、本技術に関しては特許出願中です。
Note:EEGは5ch・EarEEGは2ch
■株式会社NTTデータ経営研究所について
NTTデータ経営研究所は株式会社NTTデータの100%子会社として1991年に設立されたコンサルティングファームです。社会動向に関する調査研究や社会課題の分析を通じた政策提言および企業向けの戦略立案から実行支援までの経営コンサルティングサービスを提供しています。当社のニューロ・コグニティブ・イノベーションユニットは、ニューロテクノロジー分野の事業開発を専門に手掛け豊富な実績を持ち、技術および事業戦略立案、技術開発サポートを行います。
URL: https://www.nttdata-strategy.com/
ニューロ・コグニティブ・イノベーションユニットのサイト: https://www.nttdata-strategy.com/neuro/index.html
■VIE株式会社について
ヴィーは、「Live Connected, Feel the Life~」をミッションに掲げ、ニューロテクノロジーとエンターテイメントで、感性に満ちた豊かな社会をつくることをサポートするプロダクトを創造することで、ウェルビーイングに貢献し、さらに、脳神経に関わる未来の医療ICT・デジタルセラピューティクスの発展にも寄与していきます。
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