<日本・アメリカ・スウェーデン 3カ国のオーラルケア意識調査 Vol.1> 欧米人は歯科医が好き!? 欧米では7割以上の人が実践している「予防歯科」 アメリカでは年2回、スウェーデンでは年1回の歯科健診が定着し、 自宅でのオーラルケアには複数アイテム使いたい派が約7割の多数派
2014.02.19 14:30
ライオン株式会社(代表取締役社長・濱 逸夫)は、「健康日本21」の掲げる「歯・口腔の健康」の実現に向けて、「予防」によって歯・口腔の健康を守る「予防歯科」の浸透を図る活動を本年より積極的に展開してまいります。
この度、日本・アメリカ・スウェーデンの3カ国においてオーラルケアに関する意識を調査しました。その結果、「予防歯科」の考え方が一般的に根付いている欧米では、自宅での歯のケアの方法や、歯科医に対するイメージが、日本とは全く異なる事が分かりました。
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図1~図4
【予防歯科とは】
ムシ歯などにかかってからの「治療」ではなく、かかる前の「予防」を大切にする考え方です。歯科医院などでの定期的な健診等を通じて「プロケア(プロフェッショナルケア)」を受けることと、歯科専門家の指導に基づいて自分自身で行う「セルフケア」の両方で積極的に健康な歯を守っていくことが重要です。
<調査結果>
1.自分自身のオーラルケアに対して自信があるかとの問いに、アメリカとスウェーデンでは約8割の人が「自信あり」と回答したのに対し、日本では6割以上が「自信なし」。
欧米2カ国では、デンタルフロスの使用率が50%を超え、複数のアイテムを使い念入りにケアしたい人が約7割と多数派であるのに対し、日本はブラッシング単品での歯みがきだけで手軽に済ませたい傾向。
2.オーラルケアアイテムの年間平均購入金額は、スウェーデン¥8,415、アメリカ¥8,354に対して日本\4,965と、日本は欧米2カ国の約6割程度にとどまる結果に。オーラルケアアイテムへの「こだわり」や「お金をかける意識」では欧米2カ国に比べ日本は低い傾向。
3.予防歯科への“理解”はアメリカ・スウェーデンで約6割に対し、日本では20.9%。
予防歯科の“実践”はアメリカ・スウェーデンで約7割に対し、日本では26.2%。
一方で予防歯科の“必要性”は、日本でも他2カ国と同等の70.7%の人が感じている。
4.歯科医での定期健診受診回数は、アメリカは直近一年間に「2回」が最多で34.9%、スウェーデンでは「1回」が最多で57.1%。一方で日本は「受けていない」が57.5%と最多に。アメリカ人の4割以上が歯科医を「好きな人」と回答。歯科医を「苦手な人」と回答した人はアメリカ・スウェーデン共4%未満とごく少数派であるのに対し、日本では14.0%存在。
<1.オーラルケアに対する自信、アメリカとスウェーデンでは約8割の人が「自信あり」と回答したのに対し、日本では6割以上が「自信なし」。
デンタルフロスの使用率が50%を超え、複数のアイテムを使い念入りにケアしたい人が約7割と多数派の欧米2カ国に対し、日本はブラッシング単品で手軽に済ませたい傾向。>
「オーラルケアに自信があるか?」に対しては、アメリカとスウェーデンでは約8割の人が「自信あり(どちらかといえば自信があるを含む)」と回答したのに対し、日本では61.8%が「自信なし(どちらかといえば自信が無いを含む)」と回答しました(図1)。
オーラルケアで使用するアイテムについては、「フロスやリンスも使うのは当たり前(どちらかといえばそう思うを含む)」と考える人がアメリカ77.8%、スウェーデン68.3%と約7割の多数派に対し、日本では48.7%。その逆に、日本では半数以上(51.3%)が「ブラッシングだけで充分(どちらかといえばそう思うを含む)」を選択しました。また、「歯や口のケアを念入りに行いたい(どちらかといえばそう思うを含む)」という人は、欧米では8割以上であるのに対し、日本では57.1%。その反対に「歯や口のケアを手軽に行いたい(どちらかといえばそう思うを含む)」という人が日本では42.9%となり、欧米2カ国と比べて日本はブラッシングだけで、手軽にオーラルケアを行いたいという意識が強い結果となりました(図2、3)。
実際に使用しているオーラルケアアイテムでは、「デンタルフロス」の使用率がアメリカ60.1%、スウェーデン51.2%と半数を超えるのに対し、日本では19.4%とまだまだ少数派といえます。「デンタルリンス」の使用はアメリカ58.4%、スウェーデン39.2%、日本22.7%という結果になりました(図4)。
図1~図4
http://www.atpress.ne.jp/releases/43413/img_43413_1.jpg
<2.オーラルケアアイテムの年間平均購入金額は、スウェーデン¥8,415、アメリカ¥8,354に対して日本¥4,965と、日本は欧米2カ国と比べ約6割程度でした。オーラルケアアイテムへの「こだわり」や「お金をかける意識」では欧米2カ国に比べ日本は低い傾向といえます。>
オーラルケア用品へのこだわりについては、アメリカでは77.2%、スウェーデンでは64.9%が「こだわって選ぶ方(どちらかといえばこだわって選ぶを含む)」と回答したのに対し、日本は約半数(49.9%)が「あまり考えずに選ぶ(どちらかといえば考えずに選ぶを含む)」と回答。オーラルケアにお金をかけるか?については、「多少お金をかけてでも行うべき」と回答した人がスウェーデン42.2%、アメリカ34.0%、日本10.8%。実際に年間のオーラルケアアイテム平均購入金額は、スウェーデン¥8,415、アメリカ¥8,354に対して日本¥4,965と、日本は欧米2カ国に比べてオーラルケア用品へのこだわり、お金をかける意識や、実際にかけている金が全般的に低い事がわかりました(図5、6、7)。
図5~図7
http://www.atpress.ne.jp/releases/43413/img_43413_2.jpg
<3.予防歯科への“理解”はアメリカ・スウェーデンで約6割に対し、日本では20.9%。
予防歯科の“実践”はアメリカ・スウェーデンで約7割に対し、日本では26.2%。一方で予防歯科の“必要性”は、日本でも他2カ国同等の70.7%の人が感じている。>
予防歯科への理解(「詳しい内容まで知っていた」と「ある程度内容は知っていた」の合計)は、アメリカ・スウェーデンでは約6割に浸透しているのに対し、日本では20.9%。予防歯科の実践(「非常に取り組んでいる」「かなり取り組んでいる」「やや取り組んでいる」の合計)についても、アメリカ、スウェーデンでは約7割が取り組んでいるのに対し、日本は26.2%と差がつきました。一方で、予防歯科の考え方を伝えると、日本人でも70.7%の人が必要性を感じる(「非常に必要だと感じる」「かなり必要だと感じる」「やや必要だと感じる」の合計)と回答。アメリカ(78.2%)、スウェーデン(83.1%)と同様、多くの人が予防歯科の必要性を感じています(図8、9、10)。
ムシ歯に対する考え方も、予防歯科が浸透している欧米2カ国と日本では異なり、「ムシ歯はオーラルケアで防げる」と回答した人がアメリカ74.3%、スウェーデン80.8%に対して日本は64.9%という結果になりました(図11)。
図8~図11
http://www.atpress.ne.jp/releases/43413/img_43413_3.jpg
<4.歯科医での定期健診受診回数、アメリカは直近一年間に「2回」が最多で34.9%、スウェーデンでは「1回」が最多で57.1%。一方で日本は「受けていない」が57.5%と最多に。アメリカ人の4割以上が歯科医を「好きな人」と回答。歯科医を「苦手な人」と回答した人はアメリカ・スウェーデン共4%未満とごく少数派に対し、日本では14.0%存在。>
直近一年間に歯の健康診断を目的として歯科医を受診した回数を聞いたところ、アメリカでは「2回」と回答した人が最も多く34.9%に。スウェーデンでは「1回」と回答した人が最も多く57.1%。一方、日本で最も多かった回答が「直近一年間では受けていない」で、57.5%もの人が直近一年間では健診を受けていない事がわかりました(図12)。
あなたにとって歯科医はどのような存在か?を聞いた項目では、日本と欧米2カ国で歯科医に対する意識が全く異なる事がわかりました。アメリカでは最も高かったのが「好きな人・憧れの人(40.3%)」、次いで「頼れるパートナー(32.6%)」と、歯科医に対して好意的な印象が強い事がわかりました。スウェーデンでは「他人(29.9%)」「頼れるパートナー(26.3%)」という順に。「好きな人・憧れの人」とした人も16.4%と1割以上は存在しました。「嫌いな人・苦手な人」とした人はアメリカ3.3%、スウェーデン2.6%とごくわずかな割合でした。それに対し日本では、「他人(23.9%)」「頼れるパートナー(17.2%)」、「嫌いな人・苦手な人(14.0%)」という結果で、「好きな人・憧れの人」とした人はわずか1.9%という結果になりました(図13)。
図12~図13・調査概要
http://www.atpress.ne.jp/releases/43413/img_43413_4.jpg
【調査概要】
対象 :15~69歳の日本人・アメリカ人・スウェーデン人の男女
サンプル数:計3,600サンプル
(アメリカ人1200、スウェーデン人1200、日本人1200)
調査期間 :2013年11月22日-12月10日
調査手法 :Web調査
※分析には上記割付に各国人口構成比でウェイトをかけた値を使用
【調査結果に関するコメント】
朝田 芳信 先生
鶴見大学教授/鶴見大学歯学部附属病院 病院長
「予防歯科」が浸透している欧米では、「口腔内のトラブルを未然に防ぐ」という予防の観点から、歯科医院で定期的に歯科健診を受けることが習慣になり、日頃から専門家と一緒に口腔内の健康づくりを実践しています。一方で、日本における予防歯科の現状は、まだ十分とはいえませんが、平成24年に「歯科口腔保健の推進に関する基本的事項」が告示されるなど、「予防歯科」を重んじる機運が高まってきており、条例を制定する自治体も増えています。
超高齢化社会に突入した日本において、今なぜ「予防歯科」が必要なのでしょうか。
例えば「食べ物をおいしく感じる人は平均で20本以上歯がある」という調査結果があります。これは本当に一例ですが、歯を喪失することは、QOLが下がるということです。高齢になっても歯を残すためには、日ごろから歯の健康づくりに習慣として取り組む事が求められます。しかし生活習慣を大人になってから変えるのは難しい事です。親子で一緒になって生活習慣をつくる事ができるのは、12歳ごろまでではないでしょうか。この時期に、いかに「自分の歯の健康を守る」という意識を、お子様に持たせてあげる事ができるかにかかっていると思います。
予防歯科で大切な事は、定期的に歯科医院に行く事です。もちろん、最も重要なのは毎日のセルフケアですが、たとえば同じブラッシングでも、どんなところにムシ歯ができやすいのか理解したうえで、医療従事者の指導のもとで行うのか、まるきりの自己流で行うのかによって、効果はまったく違ってきます。また年齢やその人の口腔内の状態によっても、気をつけるべきポイントは異なります。セルフケアを見直すきっかけにもなる歯科医からの指摘やアドバイスを受けるためにも、年に1~2回で良いので、定期健診の受診をお薦めします。歯科医院には「治療のためだけに行く」という意識がまだまだ強いかもしれませんが、これからの歯科医は、口腔内の健康を保つための「サポーター」だと思っていただき、治療ではなく、予防の段階から関わらせていただければと思います。
今回の調査では、アメリカやスウェーデンでは歯科医に対して好意的な印象が強いのに対し、日本は残念ながら逆の結果が出ています。これまで治療で痛い経験をした人が多いからだと思いますが、治療だけではなく、治療後の定期的なケアや、トラブルが起きる前の予防から関わる事で、歯科医に対する苦手意識を変えて、定期的に訪れてもらうような関係を築いていけるかが、これからの私達の課題かもしれません。
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