【「国民の決断」調査レポート2014 vol.3】 「出産」に関する意識調査を実施 ~40代後半は結婚してから第一子出産までの期間が他の年代よりも遅い!?~ ~ 20~40代の約3割が第一子出産前に 「ちゃんと育てられる自信がない」と不安視 ~
株式会社オールアバウト(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長 兼 CEO:江幡 哲也)が人々の決断を支援するために展開している特設サイト「国民の決断」では、2014年第3弾のレポートとして「出産」に関するアンケート調査を実施しました。調査期間は2014年6月25日(水)~7月2日(水)、首都圏(東京、埼玉、神奈川、千葉)在住で既婚・子どもがいる20~69歳男女1,105人から有効回答を得ました。
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グラフ1
以降、「出産」に関する意識調査のサマリーと、専門家のコメントをご紹介します。
■「国民の決断」サイトのURL: http://allabout.co.jp/gm/gt/3444/
【調査サマリー】
1) 65%が結婚してから2年未満で第一子出産と回答
40代後半は一番低く、48%/「DINKS」世代であることが影響か
<「子育て」専門家 猪熊氏コメント>
40代はバブル世代から団塊ジュニア世代にあたります。50代前半から40代後半が20代だった80年代後半に、アメリカから入り、ひとつのライフスタイルとして定着したのが、子どもを持たずに共働きを続ける『DINKS』です。さらに、子どもを持って共働きを続ける生き方が『DEWKS』と呼ばれるようになりました。DINKSから途中でDEWKSに転換し、30代後半から40代に入ってから子どもを持つカップルも少なくありませんでした。
2) 50代後半より上の世代の6割が「自然の成り行き」で第一子を出産
若くなるにつれ、「計画を立てて」出産をしていることが明らかに
<「子育て」専門家 猪熊氏コメント>
第一子も第二子も、計画を立てている人が多いようですが、計画を立てたにも関わらずその通りにならなかったという人も意外に多い、というのが実感です。第一子も第二子も計画的である、という人が多いのは、保育園が足りない、近隣のコミュニティがないなどの理由で出産や育児がしにくい時代になっていることと同時に、出産・育児を『失敗できない』、『こうあらねばならない』と考える人が、特に若い世代に多いからではないでしょうか。
3) 第一子出産前の懸念点、第1位は「金銭的な余裕がない」
20~40代女性の3割近くが「ちゃんと育てられる自信がない」と回答
<「子育て」専門家 猪熊氏コメント>
子育てにお金がかかる日本では、経済的な問題は、育児を不安にさせる大きな要因です。40代はベビーブームで子どもが多い中で常に比較されながら育ってきたため、自分に自信が持てない人も多いのかもしれません。また、自分たちの親世代との育児の常識とのギャップはかなり大きいものです。若い世代については、インターネットなどを中心に育児の情報があふれすぎていて、逆に混乱させられている可能性もあります。若い世代については、インターネットなどを中心に世にあふれている育児情報に、逆に混乱させられているのではないでしょうか。
1) 65%が結婚してから2年未満で第一子出産と回答
40代後半は一番低く、48% 「DINKS」世代であることが影響か
首都圏在住で既婚、子どもがいる20~60代男女1,105名に対し、結婚してから第一子出産までの期間を聞くと、結婚してから2年未満で出産をした人が全体で65.3%でした。5歳刻みの年代別でみると、結婚後2年未満で生んでいる人の割合で最も高かったのが20代前半で92.8%、一番少なかったのは40代後半で48.1%という結果になりました(グラフ1)。この結果に対し、「子育て」ガイドの猪熊氏は次のようにコメントしています。
「20代などの若い世代が高いのは、授かり婚の方も比較的多くいらっしゃるからではないかと推察します。また、40代が前半も後半も低い理由としては、ひとつに時代背景もあるかもしれません。特に40代後半の世代はバブル世代にあたり、まだ25歳までには結婚したい、という人が多かった時代。結婚するのは比較的早くても、すぐに子どもを持たない人もいました。それは80年代にアメリカから入ってきたライフスタイル『DINKS』の影響が考えられます。結婚しても子どもを持たずに共働きを続け、自分たちの生活を楽しむ人生を謳歌しようと考えた人も多かったでしょう。子どもを持っても共働きを続ける生き方は『DEWKS』と呼ばれ、DINKSのつもりが途中からDEWKSに転換するカップルもいました。30代後半から40歳になってから子どもを持つカップルも少なくありませんでした」
http://www.atpress.ne.jp/releases/48612/img_48612_1.jpg (グラフ1)
さらに、第一子出産から第二子出産までの期間についても聞いたところ、50代以上は7割近くが第二子を出産していましたが、40代前半で6割、30代後半では5割以下しか第二子を出産していないことが明らかになりました(グラフ2)。
http://www.atpress.ne.jp/releases/48612/img_48612_2.jpg (グラフ2)
この結果に対し、猪熊氏は次のようにコメントしています。
「50代以上の世代は『子どもはゼロか二人』と考える人が多かったのではないでしょうか。産まない人生もありで、もし産むなら一人ではなく二人という考え方です。一人っ子がネガティブにとらえられていた影響だと思います。しかし最近は一人っ子のほうが増えており、第14回出生動向基本調査(国立社会保障・人口問題研究所)でも2010年の夫婦の完結出生児数(※)もはじめて二人を下回っています。
若いお母さんたちに話を聞くと、第二子へのハードルがとても高いように思います。ただ私自身の経験でいえば、実際には子どもが二人になっても労力は二倍にはなりません。第一子で子育てのノウハウを得ていますし、第二子も育児そのものはそこまで大変ではないはずです。むしろ、経済的な面や、周囲から得られるサポートに対する不安が多いため、出産を躊躇するカップルが多いのではないかと推察します」
※夫婦の完結出生児数…結婚持続期間(結婚からの経過期間)15~19年夫婦の平均出生子ども数である、夫婦の最終的な平均出生子ども数とみなされている。
2) 50代後半より上の世代の6割が「自然の成り行き」で第一子を出産
若くなるにつれ、「計画を立てて」出産をしていることが明らかに
第一子の出産について、計画的であったかどうかを聞くと、50代後半以上の約6割が「自然の成り行きに任せた」と回答。50代前半より若くなるほど、計画を立てている割合が多い傾向が見られ、20代前半では6割以上が「計画を立てた」と回答していました(グラフ3)。
第二子については、第一子よりも全体的に計画を立てている人が多く、年齢別では第一子と同じような傾向が見られました(グラフ4)。
また、第二子が計画的であったかどうかを、第一子の傾向別に見てみると、第一子が「計画的を立ててその通りになった」人の7割が第二子も計画的かつその通りになったと回答。第一子が自然の成り行きであった人の7割が第二子も同じ傾向であることがわかりました。
この結果に対し、猪熊氏は次のようにコメントしています。
「第一子も第二子も、計画を立てるという人が多いようですが、計画を立てたにも関わらずその通りにならなかったという人も意外に多い、と感じました。
第一子も第二子も計画的である、という人が多いのは、保育園が足りない、近隣のコミュニティがないなどの理由で出産や育児がしにくい時代になっていることと同時に、出産・育児を『失敗できない』、『こうあらねばならない』ととらえる人が、特に若い世代に多いからではないでしょうか」
http://www.atpress.ne.jp/releases/48612/img_48612_3.jpg (グラフ3)
http://www.atpress.ne.jp/releases/48612/img_48612_4.jpg (グラフ4)
http://www.atpress.ne.jp/releases/48612/img_48612_5.jpg (グラフ5)
3) 第一子出産前の懸念点、第1位は「金銭的な余裕がない」
20~40代女性の3割近くが「ちゃんと育てられる自信がない」と回答
第一子出産前の懸念点について、性・年代別で見てみると、20代~30代の男女は「金銭的な余裕がない」を挙げる人が多く、40代男女も加えると「ちゃんと育てられる自信がない」を挙げる人が多い傾向にありました。また、20~40代女性の2割が「出産が怖い」も挙げています。
これに対し、猪熊氏は次のようにコメントしています。
「40代で『ちゃんと育てられる自信がない』と回答している人が多いことに驚きました。“ちゃんと”という言葉の定義が曖昧なので、ここでその原因を探ることは難しいのです。ただ、推測するとすれば、この世代はベビーブームで子どもが多い中で常に比較されながら育ってきたため、自分に自信が持てない人が多いのかもしれません。また、親世代は戦後の新しい価値観で子育てをしてきたはずですが、それでも今の40代との育児の常識とのギャップは大きく、価値観の押し付けに悩まされている人も多いようです。
インターネットなどを中心に育児の情報があふれすぎていて、逆に混乱させられている可能性もあります。特に20~30代の人たちは、他人との関わりが希薄で、人に頼るのは避ける傾向が強いと感じます。育児上でわからないことはネットで探して済ませてしまうことも多いようです。
とはいえ、ネット上に出回っている育児の情報はクチコミに頼りすぎていて錯綜しています。『正解』を求めるあまり悩む人も多いでしょう。また、芸能人の子育てブログや仲間のSNSには基本的に良いことしか書いていないものですが、それと比較して自分はダメだと悩んでしまうお母さんも多いのではないかと思います」
http://www.atpress.ne.jp/releases/48612/img_48612_6.jpg (グラフ6)
また、「特に当てはまらない」と回答した人は、全体的に20~40代に比べて50代以上が多かった点について、猪熊氏は次のようにコメントしています。
「50代後半以上の方たちはすでに育児が終わり、その大変さを忘れてしまった可能性もある一方、その世代の多くは育児が大変なのは当たり前、ととらえていたとも考えられます。70年代から90年代にかけて、『ピー・アンド』(小学館)や『わたしの赤ちゃん』(主婦の友社)などの育児雑誌が創刊されました。中でも81年に創刊された『プチタンファン』(婦人生活社)は、“公園デビュー”という言葉を生んだことでも知られていますが、読者からの育児の悩みが多数掲載されました。そういった育児雑誌を読んでいた50代前半より若い世代には『育児の悩みや不安を表に出してもいいんだ』という雰囲気が当たり前に芽生えていったのではないかと推察します」
■調査アドバイザープロフィール
「子育て」ガイド 猪熊 弘子(いのくま ひろこ)
ジャーナリスト。東京都市大学人間科学部客員准教授。保育・教育、子どもの問題、施策を主なテーマに、執筆・翻訳のほか、テレビ・ラジオのコメンテーターや講演も行なう。4児の母。著書多数。『死を招いた保育』(ひとなる書房)で日本保育学会 日私幼賞・保育学文献賞受賞。
■調査概要(調査方法:インターネット調査)
・調査期間:2014年6月25日(水)~7月2日(水)
・調査対象:首都圏(東京、埼玉、神奈川、千葉)在住の20~69歳男女
(ジャストシステム「ファストアスク」リサーチ会員)
・調査対象者人数詳細
<男性>
20代 105名、30代~60代 各111名
<女性>
20代~40代・60代 各111名、50代 112名
■「国民の決断」について http://allabout.co.jp/gm/gt/3444/
近年、「就職」や「結婚」、「妊娠・出産」から「老後」まで、“人生の決断”に関して選択肢や条件が多様化・複雑化しており、“決断”そのものが困難になりつつあります。そういった背景を踏まえ、2013年11月にその年を象徴する“決断”を専門家とともにランキング形式で発表するイベント「国民の決断アワード」を実施しました。2014年に入ってからも、“決断”が困難であるという状況は変わらず、むしろ消費税が増税するなど、生活者を取り巻く“決断”の困難さは増していく一方です。オールアバウトでは、専門家とともに、“決断”についてのメカニズムや現象を定量・定性的に分析し、特設サイトなどを通じて情報を発信していくことで、人々の“人生の決断”を支援していきます。
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