乳幼児とスマートフォン等携帯情報端末との関係についての緊急提言 過剰使用が乳幼児の健やかな成長を妨げる恐れ
アート引越センターを中心に暮らし方を提案する企業グループ、アートグループの保育事業、アートチャイルドケア株式会社(本社:大阪府大東市 代表取締役社長:村田 省三)は、乳幼児の健やかな成長を守るため、携帯情報端末の利用について下記の通り、提言いたします。
当社独自プログラムによるお子さまの睡眠と発達の関係の調査から、携帯情報端末の過剰使用による睡眠障害が散見されるようになりました。現代社会の必須ツールになりつつあるスマートフォンなどの携帯情報端末は、大人にとっては有用なアイテムであっても、身体および脳の発育途中にある乳幼児にとっては使用方法を過てば、発達を阻害する一因となる恐れがあります。子どもたちの健やかな成長を守るために、是非参考にしていただきたいと考えます。
<乳幼児の携帯情報端末利用についての緊急提言>
・幼児期までの携帯情報端末に触れる時間は、睡眠・覚醒リズムに無理が生じないよう最大でも1日1時間以内に留める。
・子ども達の健全な睡眠の確保のためには、入眠時間が遅くなるのを避ける必要があるため、夜間(概ね19時以降)、特に床についてからの携帯情報端末への接触は絶対に行わない。
現代社会において、携帯情報端末は社会のインフラとしてなくてはならないものになっています。乳幼児にとっても、今後の社会生活で接触する頻度が増加することは言うまでもありませんし、保護者にとっても、子育ての様々な側面で、これら携帯情報端末を通して子育て支援のアプリケーションを利用する事は、大きな助けになっている事も確かです。しかしながら、携帯情報端末を時間制限なく利用する弊害として、小学生以上の児童、生徒が携帯情報端末依存症となり、その結果として睡眠不足~概日リズム睡眠障害~不登校といった経路をたどる症例が増加、社会問題化しております。
脳の発達途上にある子ども、特に乳幼児にとって、睡眠とは脳を「創り、育て、その働きを守る」ために大切なものであり、眠りの持つ意味は成人の何倍も大きく、意義も大きく異なります。10時以降の入眠が続いたり、入眠時間が12時を超えるなどのバラつきが生じると、夜間の睡眠時間が確保できず、慢性的な睡眠不足が生じます。近年の研究結果から、入眠時間のバラつきや慢性的な睡眠不足が引き起こす重大な問題として、脳の生活リズムを刻む時計が左右バラバラになること、更には、この生体時計のばらつきが概日リズム睡眠障害を引き起こし、脳の発達のバランスを崩し、発達障害と同じような症状が現れ、その後の学校社会生活への適応を難しくする素質の一因となることが分かってきました。(三池 輝久著、『子どもの夜ふかし、脳への脅威』集英社新書、2014年)
このような研究結果から、乳幼児期の睡眠や生活リズムを守る事が、子ども達の健やかな成長を助ける基本となることが分かってきました。
アートチャイルドケア株式会社では、運営する全国168ヶ所の保育所を対象に、3年前から「睡眠と生活リズム改善運動」に取り組んでいます。これは、先述のような最近の研究結果を踏まえ、三池 輝久・小西 行郎両専門医の指導の下で行っている独自プログラムです。プログラムでは、年1回、当社でお預かりしているお子さまの24時間、2週間連続した睡眠ログを保護者の協力の下で記録し、その結果を三池先生に分析いただき、A(良い)~D(悪い)評価の判定を下して、保護者に対して概日リズム睡眠障害の可能性の回避や、よりよい睡眠へのアドバイスを行っています。
この過去2年間の調査研究から、子どもの脳を育てる眠りには以下の三つの重要な要素があることが分かりました。
<子どもの脳を育てる眠りのための三要素>
(1)夜間の睡眠が十分であること(10時間が目安で途中であまり目を覚まさない)
(2)夜7時から朝7時までの間に睡眠をとること
(3)入眠時間・起床時間が規則的で日によって60分以上のずれがないこと
調査と合わせて行っている保護者との面談の中で、この三要素の確保が困難でD評価となった幼児について、既に携帯情報端末を過度に利用することに起因すると思われる生体(活)リズム障害(概日リズム睡眠障害)が疑われるケースが出ております。どのような状況により、携帯情報端末をとりとめなく使用するようになり、睡眠不足が生じ、結果として概日リズム睡眠障害が疑われるになったかの詳しい分析はまだ出来ておりませんが、保育事業者として、乳幼児にまでこのような現象が出ている事に非常に驚いていると同時に、今後このような乳幼児が増加しないかを危惧しております。
私達は、乳幼児の健全な育成の一翼を担う保育事業者として、このような問題が、乳幼児にまで及んで来ることを強く心配しております。携帯情報端末に過度に接触をする事、特に夜間の接触は青色系の光によるメラトニン(睡眠ホルモン)分泌抑制が生じることが知られており、最悪の場合、それらへの依存が原因となり、乳幼児の脳の発達に不可欠な健全な睡眠の確保ができなくなる可能性が否定できません。この状況を出来る限り回避する必要性を強く感じております。
ついては、上記先生方とも相談の結果、保育事業者としてアートチャイルドケアから、乳幼児の携帯情報端末利用について頭書の緊急提言を行うものです。保育事業を運営する立場である私達は、子ども達の健やかな成長を守る使命を持っております。私達の非常に狭い経験からの意見かもしれませんし、一事業者として、大変僭越なアピールかもしれませんが、見過ごすわけにはいかないという思いで発表させていただきました。
なお、私達では、引き続き当社保育所ご利用の保護者に対して、様々な形で、乳幼児の睡眠障害についての注意喚起をしていきたいと考えております。また、来年秋を目処に、当社が3年間実施してきた、「こどもの睡眠と生活リズムに関する調査活動」の結果も参考にしながら、「子どもの睡眠と生活リズム」についてのシンポジウムを、専門の先生方をはじめ関係各機関のご協力を得て実施する事を検討しております。
【アートチャイルドケア株式会社 概要】
●商号 アートチャイルドケア株式会社
●所在地 本社・・・・大阪府大東市泉町2丁目14番11号
東京本社・・東京都品川区東品川1-3-10
アートコーポレーション東京オフィス3F
●代表取締役社長 村田 省三
●事業内容 保育所運営事業
日本全国(北海道から九州)において、認可・認証・事業所内・病院内など、様々な形態の保育所168ヶ所を直営・受託により運営中。
●資本金 5,000万円
●売上 約41億円(2013年9月期)
●従業員数 約1,700名
【「睡眠と生活リズム改善プロジェクト」実施概要】
●実施時期:平成24年度、25年度実施済み。現在平成26年度実施中。
●調査期間:2週間
●調査内容:
保護者の皆さまに園から配付する睡眠チェックシートに記入していただき、提出していただきます。園での睡眠時間は保育士にて記入し、終日の睡眠リズムを調査します。
●調査分析:
三池 輝久先生のグループでチェックいただき、課題が見当たる場合は、注意レベルで良いものと、個別指導が必要なものに区別して保護者に報告します。
また、今後の改善方法についても、園で対応できるもの、専門医への相談が必要なものに分けて、先生方の指導のもとで対応しています。
●担当教授略歴
■三池 輝久先生
熊本大学名誉教授
兵庫県立リハビリテーション中央病院子どもの睡眠と発達医療センター
(特命参与)
小児科専門医、小児神経科専門医、
専門:神経および筋肉疾患、慢性疲労症候群、睡眠障害
熊本大学医学部卒
元熊本大学医学部附属病院長、元日本小児神経学会理事長
著書:『学校過労死』(診断と治療社)1994年4月
『フクロウ症候群を克服する』(講談社)1997年12月
『学校を捨ててみよう』(講談社)2002年5月
『不登校外来』(診断と治療社)2009年5月
『子どもとねむり 乳幼児編』(メディアイランド)2011年5月
「子どもの夜ふかし 脳への脅威」(集英社新書)2014年4月
http://www.hwc.or.jp/hospital/kodomo/syouni_suimin_top.html
■小西 行郎先生
同志社大学赤ちゃん学研究センター教授、日本赤ちゃん学会理事長
兵庫県立リハビリテーション中央病院子どもの睡眠と発達医療センター長
専門:小児神経学
京都大学医学部卒
元埼玉医科大学、東京女子医科大学教授
著書:『早期教育と脳』(光文社新書)
『赤ちゃんと脳科学』(集英社新書)
『赤ちゃんのしぐさBOOK』(海竜社)
『赤ちゃんのあそびBOOK』(海竜社)
『知れば楽しいおもしろい 赤ちゃん学的保育入門』(フレーベル館)
『赤ちゃんのからだBOOK』(海竜社)
『乳児保育の基本』(フレーベル館)
『赤ちゃんのおしゃべりBOOK』(海竜社)
『発達障害の子どもを理解する』(集英社新書)
『はじまりは赤ちゃんから』(赤ちゃんとママ社) 他
http://www.akacue.net
http://www.crn.or.jp/LABO/BABY/
http://akachan.doshisha.ac.jp/
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