東京工芸大学調べ 緊急地震速報に対して、3人に1人が「何もし...

東京工芸大学調べ  緊急地震速報に対して、3人に1人が「何もしていない」

災害情報の活用に関する調査

東京工芸大学(所在地:東京都中野区・神奈川県厚木市/学長:若尾 真一郎)は、2014年11月12日~16日の5日間、全国の20歳以上の男女を対象に「災害情報の活用に関する調査」をモバイルリサーチ(携帯電話によるインターネットリサーチ)で実施、1,000名の有効サンプルを集計しました。(調査協力会社:ネットエイジア株式会社)

緊急地震速報後の行動
緊急地震速報後の行動

■「災害情報の活用に関する調査」 調査結果■
== 防災意識 ==
◆ 9割強の方が「自然災害の増加・激化」を実感 一方で、2人に1人は「防災意識の薄れ」を実感
◆ 若年層(20代・30代)では「共助(地域コミュニティで自然災害に備える)意識」が不足気味
◆ 風水害に対する危機意識は薄い?身近に起こりうると感じている自然災害 「地震」は89%、「台風」は68%、「竜巻・突風」は31%

始めに、防災意識の確認を行いました。
全国の20歳以上の男女1,000名(全回答者)に対し、自然災害に対する意識に関して、どの程度あてはまるか聞いたところ、≪近年、自然災害が増加していると感じる≫では、「非常にあてはまる」が51.7%、「ややあてはまる」が41.3%で、合計で9割以上(93.0%)の方が『あてはまる』(「非常に」+「やや」、以下同様)と回答しました。また、≪近年、自然災害が激化している(規模が大きくなっている)と感じる≫では、『あてはまる』が91.5%となりました。近年、自然災害の発生頻度が増え、規模も大きくなっていると実感しているようです。
他方で、≪近年、自身や家族の防災意識が薄れてきていると感じる≫では、『あてはまる』が50.4%となっています。自然災害の発生頻度が増加し、規模も大きくなっていると実感している状況にありながら、防災意識の薄れを感じている方が2人に1人の割合でいるようです。

続いて、自然災害への対策状況として、“自助・共助・公助”の視点から、十分に備えられていると思うかを聞いたところ、“自助”について質問した項目の、≪自然災害の備えは、自身や家族において、十分にできていると感じる≫では、『あてはまる』が26.3%、“共助”について質問した項目の、≪自然災害の備えは、地域コミュニティにおいて、十分にできていると感じる≫では、『あてはまる』が21.5%、“公助”について質問した項目の、≪自然災害の備えは、行政(国・県・市や警察・消防など)において、十分にできていると感じる≫では、『あてはまる』が25.9%となりました。それぞれ、備えられていると感じる割合は3割に満たず、その中でも特に、地域ぐるみで支えあって自然災害に備える“共助”については、低い割合となっています。
また、“共助”について年代別にみると、特に20代や30代といった若年層で、『あてはまる』と回答した割合が低く(20代16.0%、30代14.5%)なりました。

次に、身近に起こりうると感じている自然災害は何か質問したところ、「地震」が最も高く88.5%、次いで「台風」が67.8%、「大雨(豪雨)・洪水」が54.9%、「竜巻・突風」が31.4%で続きました。台風などの風水害による被害者数は決して少なくなく、また、竜巻や突風は日本中どこにでも起こりうる自然災害なのですが、これらの自然災害は地震と比較すると危機意識を抱いている方はさほど多くないようです。
居住地別にみると、「地震」が身近に起こりうると感じている割合は、首都直下地震が起きた場合、大きな被害が想定されている関東で高く(94.0%)、「台風」は九州・沖縄(75.8%)、「大雨(豪雨)・洪水」は北陸・甲信越(67.3%)や近畿(61.7%)、「大雪(豪雪)・吹雪」は北海道(70.6%)、東北(61.3%)、北陸・甲信越(63.3%)では全体比で30ポイント以上高く、「火山噴火」は東北(24.0%)で高いなど、地域ごとに自身の身の回りでも起こりうる、との危機意識が持たれている自然災害に差異がみられました。


== 災害時の情報源 ==
◆ 災害時、頼りになる情報源は「テレビ」「ラジオ」「緊急速報メール」「ポータルサイト」
◆ 災害時、“情報の速さ”で「ソーシャルメディアのクチコミを頼る」20代の2割、
シニア(60歳以上)は「テレビ系Webサイト」と「地域(自治体・町内会・ご近所)」を頼る
◆ 災害伝言ダイヤル(171) 「あることは知っているけど、使い方がわからない」6割半に

続いて、自然災害が発生したときにどんな情報源を頼りにするか、質問を行いました。
全回答者(1,000名)に対し、自然災害の発生時から発生直後、“情報の速さ”の面で頼りにする情報源は何か聞いたところ、「テレビ」が最も高く81.8%、次いで「緊急速報メール」が65.3%、「ラジオ」が49.4%、「ポータルサイト(Yahoo!天気・災害など)」が32.6%となりました。気象庁が配信する緊急地震速報や津波警報などの情報を受信できるテレビやラジオ、メールのほか、ポータルサイトの提供する情報が“情報の速さ”の面で頼りにされているようです。
年代別にみると、20代では「ソーシャルメディア上のクチコミ(つながっている人の書き込みやハッシュタグ検索など)」の割合(20.5%)が他の年代よりも高く、ソーシャルメディアを活用して災害情報を得ている様子が窺えます。対して、60歳以上のシニア層は、インターネット系の情報源では「テレビ系Webサイト(NHKニュース 気象災害情報など)」(29.0%)を、非インターネット系では「地域(自治体・町内会・ご近所)」(20.0%)を頼りにしている割合が高くなりました。

また、災害時には情報が不足しているため、デマや流言が広まりやすく、情報の真偽を見極めることも重要になってきます。そこで、同様の選択肢で、自然災害の“情報の正確さ”の面で頼りにする情報源は何かを聞いたところ、「テレビ」が最も高く71.2%、次いで「ラジオ」が41.2%、「緊急速報メール」が39.8%、「ポータルサイト」が17.4%、「新聞・雑誌(電子版など、インターネットを除く)」が13.1%となりました。

さらに、情報の速さと正確さの両面で、“今後の進化を期待する”情報源は何か聞いたところ、「テレビ」が61.0%で最も高く、次いで「緊急速報メール」が55.9%、「ラジオ」が36.8%、「ポータルサイト」が23.0%、「防災無線(J-ALERTなど)」が18.8%となりました。

大規模な自然災害が発生したときには、電話がつながりにくくなることが予想されます。そこで、家族などと安否確認をする“電話以外”の方法を知っているか聞いたところ、≪災害伝言ダイヤル(171)≫について、「使い方を知っている」が22.8%、「使い方を知らない(あること自体は知っている)」が65.9%、「あること自体を知らない」が11.3%となりました。安否確認の方法としてこのような手段があることは9割弱(88.7%)の方に認知されているものの、使い方までは知らない方が多数派のようです。この傾向はそのほかの安否確認方法でも同様で、≪災害伝言板(web171、携帯キャリアの提供する災害用伝言板)≫では、「使い方を知っている」が19.1%、「使い方を知らない(あること自体は知っている)」が64.0%となり、≪SNSを利用した安否確認方法≫では、「使い方を知っている」が17.7%、「使い方を知らない(あること自体は知っている)」が47.6%となりました。
それぞれの安否確認の方法において、「使い方を知っている」割合を年代別にみると、≪災害伝言ダイヤル≫や≪災害伝言板≫では40代・50代・60代で比較的割合が高く、≪SNSを利用した安否確認方法≫では20代で割合が高く(29.5%)なりました。


== 災害情報の活用 ==
◆ 緊急地震速報に対して、3人に1人が「何もしていない」 台風接近情報に対しては5人に1人が「対策なし」
◆ 「竜巻発生の予報として、雷注意報が発表される」認知率は2割強
◆ 竜巻から身を守る方法、“飛散物から頭や首を守る対策”が比較的知られていない傾向に

それでは、緊急地震速報や台風の接近情報など、自然災害の速報・予報を受け取った際に、その情報を元にどのような行動を起こせているのでしょうか。
これまでに緊急地震速報を見聞きした経験がある方(852名)に対し、一番最近、緊急地震速報を見聞きしたとき、どのような行動を取ったか聞いたところ、「危険なものから離れる(火元、割れ物の陳列棚、ブロック塀などから離れる)」(38.4%)と「安全な場所に移動する(頑丈そうなビルに入る、エレベーターから最寄り階に降りる、など)」(31.6%)が3割台、「頭を守る(丈夫な机の下に隠れる、カバンなどで保護する、など)」が2割(20.2%)、「まわりに知らせる(声をかける、ハザードランプを点灯させる、など)」が2割弱(18.3%)となりました。また、「特に何も行なわなかった」は35.2%とおよそ3人に1人の割合となっています。居住地別に「特に何も行なわなかった」割合をみると、北海道(42.2%)や東海(44.6%)、中国・四国(46.3%)は、その他の地域よりも高くなっています。

次に、今年(2014年)、天気予報などで台風の接近情報を見聞きした方(955名)に対し、どのような台風対策を取ったか聞いたところ、「当日は外出を控える」が58.7%、「家の周りにあるものを室内にしまうか固定する」が32.9%、「備蓄品(水・食料など)を用意する」が20.1%、「窓や雨戸を補強する」が14.6%、「避難場所・避難経路を確認する」が10.2%となりました。その他の対策を行った方は1割以下となり、また、「特に何も行なわなかった」は19.9%とおよそ5人に1人の割合となっています。速報や予報を得ても、対処や対策を行っていない方は珍しくないようです。

また、発生予測が難しい自然災害の一つである竜巻から身を守るためには、竜巻が発生する兆しなどを知り、その兆候に気づいたら速やかに退避行動を取ることが促されています。そこで、全回答者(1,000名)に対し、竜巻の≪予報≫や≪予兆≫、≪接近サイン≫について、知っているものは何か、質問を行いました。
≪予報≫では、「前日~当日に“気象情報(大気が不安定、激しい突風の恐れ、など)”が発表される」が46.5%、「0~1時間前に “竜巻注意情報”が発表される」が36.5%、「数時間前に“雷注意報”が発表される」が22.8%となりました。雷注意報が発令されたときには、雷だけではなく竜巻も発生しやすくなっていることはあまり知られていないようです。
≪予兆≫では、「低く、真っ黒い雲が近づく(周囲が急に暗くなる)」が41.1%、「雷鳴が聞こえたり、雷光が見えたりする」が32.3%、「大粒の雨や雹(ひょう)が降りだす」が26.5%、「急にヒヤッとした冷たい風が吹きだす」が19.7%となりました。竜巻は発達した積乱雲に伴って発生しますが、このような積乱雲が接近したときの現象を竜巻の予兆と認識している方は多くないようです。
≪接近サイン≫では、「飛散物(物やごみなど)が巻き上げられて筒状に舞い上がる」が34.1%、「黒い雲の底がろうと状に垂れ下がる」が29.6%、「“ゴーッ”というジェット機のような轟音がする」が21.8%、「“キーン”という耳鳴りなど、耳に異常を感じる」が5.6%となりました。夜間などの場合には、竜巻の接近を目視で確認できない場合もありますが、竜巻接近サインの中でも特に、“視覚以外”から得られるサインは知られていない様子が窺えました。

次に、竜巻が間近に迫った場合の身の守り方として、知っているものは何か聞いたところ、≪住宅内≫では、「窓から離れる」が56.6%、「できるだけ家の中心部に近い窓のない部屋に移動する」が48.2%となりました。≪住宅以外の建物内≫では、「窓のない部屋や廊下などへ移動する(ガラスのある場所からは離れる)」が49.7%、「エレベーターは停止する恐れがあるので乗らない」が48.3%となり、≪屋外≫では「近くの頑丈な建物に避難する(車庫・物置・プレハブは避難場所にしない)」が59.0%となりました。丈夫な建物の中に入り、窓から離れる、エレベーターからは降りる、などの、避難すべき安全な場所は比較的知られている様子が窺えます。他方、≪住宅内≫や≪住宅以外の建物内≫で「顔を下に向け、できるだけ低くかがんで、両腕で頭と首を守る」(21.5%、18.7%)や、≪屋外≫で「近くに頑丈な建物が無ければ、飛散物から身を守れるような物陰(側溝などのくぼみ)に身を隠し、頭を抱えてうずくまる」(32.6%)といった、飛散物から頭や首を守る対策は比較的知られていないことがわかりました。


== タイムライン防災 ==
◆ タイムライン防災の認知率27% 内容を理解している方は1割未満
◆ 交通サービスのタイムライン防災 「事前に運行停止などの対策を決めるべき」同意が9割弱
◆ 「日本社会にタイムライン防災が根付いて欲しい」87%も、「根付くには時間がかかると思う」83%

災害による被害を減らすため、災害の予測情報を元に、災害発生日時から逆算し、事前に行動計画を立てておく“タイムライン防災”について、質問を行いました。
全回答者(1,000名)に対し、タイムライン防災を知っているか聞いたところ、「どんなものか知っている」が3.2%、「言葉は聞いたことがあるが、内容はわからない」が24.1%となり、合計で27.3%の認知率となりました。どんな仕組みか理解している方はまだ少ないようですが、言葉自体は認知されつつある様子が窺えます。

続いて、タイムライン防災についての説明を行ったうえで、タイムライン防災の実施にどの程度同意するか聞いたところ、≪公共交通サービス(鉄道・バス・航空路線)は、事前に防災対応(運行停止など)を決めるべきだ≫では、「非常にそう思う」が35.8%、「ややそう思う」が51.7%で、合計で9割弱(87.5%)の方が『そう思う』(「非常に」+「やや」、以下同様)と回答しました。避難が“空振り”になった場合のデメリットを説明したうえでも、被害が起こることを前提に、先を見越して事前に対策を行うことに同意する意見が多数派となりました。
民間企業のタイムライン防災について質問した項目の、≪民間企業は、事前に防災対応(従業員の自宅待機・出社時間変更・早期帰宅など)を決めるべきだ≫についても同様に、『そう思う』(91.2%)と同意する意見が多数派となりました。
また、自分の家庭で行うタイムライン防災について質問した項目の、≪自分の家庭で、タイムラインに沿って、防災計画を用意・見直ししたい≫では、『そう思う』が77.1%となっています。タイムラインが定められたのならば、それに沿って家庭の防災計画を作成したい、し直したいと考えている方が多いようです。

このように、各所での実施が望まれているタイムライン防災ですが、今後日本社会に根付いていくのでしょうか。
全回答者(1,000名)に質問したところ、≪日本社会に、タイムライン防災が根付いて欲しいと思う≫では、『そう思う』が87.4%、≪日本社会に、タイムライン防災が根付くには時間がかかると思う≫では、『そう思う』が83.2%となりました。多くの方がタイムライン防災の仕組みが根付くことを期待していながらも、すぐに根付くことはないとの見方が有力なようです。


※リサーチ結果は、下記URLでも公開しております。
http://www.t-kougei.ac.jp/guide/pr/

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