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~害虫を大発生させてしまう家にしないために~  「知らないうちに害虫が大発生!」を防ぐポイント

2015.07.24 13:30

 梅雨が明けると夏も本番。気温はどんどん高くなります。省エネ対応でエアコンの設定温度を28℃にしている家も多いのではないでしょうか?実はその温度、多くの昆虫の繁殖に最も適した温度なのです。知らないうちに害虫が大発生…そのようなことにもなりかねません。
 そこで、害虫の大発生を防ぐポイントを、殺虫剤ブランド『バルサン』の開発を手がける当社薬品第2研究所の亀崎宏樹副主席研究員が紹介します。


害虫生育曲線

<ライオン株式会社 薬品第2研究所 副主席研究員 亀崎宏樹(通称:虫博士)プロフィール>
 学生時代に応用昆虫学を専攻。以来、約30年間、ゴキブリやダニなどの害虫の生態や駆除剤の研究に携わる。殺虫剤ブランド『バルサン』の商品開発を担当し、研究成果を学会で報告する他、大学での特別講演や、生活者向け講座などで「害虫の生態や駆除方法」についての講演も行っている。


1.害虫はどのくらいで成虫になる?昆虫の発育期間と気温の関係
 昆虫の増殖率を決める主な要因は、(1)雌成虫の生存率、(2)産卵数、(3)成虫になるまでの発育期間、などです。それらの中で、特に気温に大きく左右されるのが発育期間です。発育期間が短くなると早く成虫になるため、産卵する雌成虫の数が増えて大発生につながります。
 下の図は、家屋内で目にする害虫の発育日数と気温の関係を示したものです。30℃付近では多くの害虫の発育日数が10日前後。つまり約10日で卵から成虫になることを示しています。
 知らないうちに大発生!という状態にならないためにも、早めに対処をしましょう。

害虫生育曲線
https://www.atpress.ne.jp/releases/68483/img_68483_1.jpg

<コラム ~アレルゲンとして知られているヒョウヒダニの生存術~>
 ヒョウヒダニは、他の害虫とは違う特徴をもっています。発育期間は約1ヵ月と長く、産卵数は1日1~3個。1日10個以上のコナダニの仲間と比較すると少ないため、増殖率が他の害虫よりも低いと言えます。
 これこそがヒョウヒダニの生き残るための戦略と言えます。例えば、増殖率が高い害虫は大発生しやすいのですが、その際には多くの餌を必要とします。餌が豊富にあれば増え続けることができますが、食い尽くしてしまうと、絶滅する可能性があります。
 それに対し、ヒョウヒダニの餌となるフケや食べかすなどは量が少ないため、少ない餌を上手に活用する必要があります。そのため、あえて増殖率を低く抑えることで絶滅しないようにしている種だと言えそうです。このような生存術が、ほぼ世界中のどこの家にも生息することを可能にしている理由であると思います。


2.害虫の大発生を防ぐための対策
(1)生ゴミを放置しない
 コバエの仲間が発生する大きな原因の一つに、生ゴミがあげられます。例えば、ショウジョウバエは真夏には約1週間で卵から成虫になることから、生ゴミを1週間以上放置した場合、キッチンにコバエがたくさん舞う…という状態になりかねません。
 また生ゴミは、コバエだけでなくゴキブリの格好の餌になります。ゴキブリは夜行性で、夜に餌や水を摂取します。夜寝る前に生ゴミを片付け、三角コーナーもきれいに洗うことをお奨めします。
 さらに、片付けた生ゴミはきっちり密封するように気をつけてください。多くの害虫は、驚くほど少しのすき間から侵入することができます。

(2)開封した食品は、密閉性の高い容器で保存する
 小麦粉や調味料などは小さな蛾の仲間や、コナダニなどの害虫の発生源になります。乾物なども要注意です。密閉性の高い容器に入れ、可能なら冷蔵庫に保管しましょう。

(3)オフィスでも戸棚や引き出し、カバンの中に、開封した菓子類を放置しない
 家ばかりでなく、オフィスの戸棚や机の引き出しも要注意ポイントです。お茶菓子や社内の懇親会などで残った菓子類がそのまま放置されていませんか?定期的にチェックして処分するようにしましょう。
 またカバンの中にお菓子を入れているとクズが溜まり、カバンの中にゴキブリ、ダニなどの様々な害虫を呼び込む原因になります。そうなると、カバンが害虫を様々な場所に運び、害虫の分布の拡大の原因になります。

<戸棚や机の引き出し、カバンの中も要注意>
戸棚
https://www.atpress.ne.jp/releases/68483/img_68483_2.jpg
机の引き出し
https://www.atpress.ne.jp/releases/68483/img_68483_3.jpg
カバン
https://www.atpress.ne.jp/releases/68483/img_68483_4.jpg

(4)2週間に一度は、いろいろな「すき間」をチェックする
 普段は気にしないような以下の「すき間」をチェックしましょう。大発生につながる前に、害虫を発見できるかもしれません。
・キッチン下や押入れの中のダンボール、下駄箱の隅、観葉植物の鉢の下、などのすき間
・普段はあまり開けることのないような容器の中


 日頃から、餌となる貯蔵食品や生ゴミなどに害虫がいないか、蚊の成育の場となる水溜まりはできていないかなど、ちょっとした心がけをすることで、害虫の大発生を防ぐことができます。大発生を防いで、快適な夏を過ごしましょう。

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