ウガンダ、日本の中小企業誘致へ取り組みを開始~現地起業家と提...

ウガンダ、日本の中小企業誘致へ取り組みを開始 ~現地起業家と提携し、東南部アフリカ市場への進出を推奨~

駐日ウガンダ共和国大使館は、7月、ウガンダで着実に広がっているビジネス環境の好機と、日本の中小企業を結びつけるために、東京に拠点を置くコンサルティング会社、アイディオロジー・インターナショナルと協力し、数々のプロジェクトの取り組みを始めました。大使館は、2017年2月までに、多くの日本の中小企業を、将来性の高いウガンダの企業に紹介することを目的としています。

ウガンダ首都カンパラ市内
ウガンダ首都カンパラ市内

■GDP成長/人口増加ともに好調なウガンダ―東南部アフリカ市場の拠点に―
GDP成長率5.5%(サハラ砂漠以南の地域の平均は4.6%)※1 という数値を誇り、人口約3,700万人※2 を有するウガンダは、毎年3.4%という高い割合で人口が増加しており、商品、サービス、雇用の需要が延びています。
また、ウガンダは、タンザニア、ケニア、ルワンダ、コンゴ共和国、南スーダンに接する、戦略的に重要なアフリカの中心部に位置しています。これらの隣接諸国の人口は、合計して日本の2倍相当、約2億5千万人にものぼります※3。さらには、東南部アフリカ市場共同体(COMESA)のメンバー国として、19カ国(合計4億7千万人以上の人口)からなる経済ブロックと自由貿易協定を結んでいます。COMESAメンバー国の年間輸出総額は約1,230億ドル、輸入総額は約1,710億ドルです※4。
あらゆる点から見て、ウガンダが視野に入れるべき市場であることは明らかにも関わらず、現在ウガンダに進出している日本企業は20にも満たないのです※5。


■世界で最も起業が多い国―起業家と提携した進出が可能―
「起業家精神に関する調査(GEM調査)」※6 によれば、ウガンダの成人人口の約28%がこの42カ月以内に起業している(2位に倍以上の差をつけて世界第1位)という調査結果が出されています。今年6月には、英国に拠点を置くビジネス・ネットワーク・グループ「Approved Index」によって、「世界で最も起業が多い国」に選ばれました※7。「日本の中小企業は、高度で信用性の高い技術を持っているのですから、ウガンダの起業家と提携してアフリカで新しい市場を開拓していくべきです」と、塩光氏は話します。

このウガンダにおける革新の機会を生かすための鍵となるのは、新しいアイディアを開発するということより、既に日本にある商品やサービスをアフリカという文脈の中で適用させ、展開することが大切であると塩光氏はいいます。「現地の専門知識と戦略的経験を併せ持つアイディオロジー・インターナショナルは、この問題解決を実践的にお手伝いすることができます。」


■ウガンダで信頼されている「Japanese Technology」
アイディオロジー・インターナショナルは、今年6月、ウガンダの様々な企業(従業員数6,000人以上を雇用する年商5億ドルの大企業から、地域のマーケットで1個60セントのキャベツを売る屋台にまで)に出向き、幅広い視点からの現地調査を行いました。調査対象となった全企業を分野別に見てみると、売上高の上位は、通信、エネルギー、飲料、セメント、建設などの産業が大部分を占めていることが分かりました。

日本の中小企業は、これらのどの産業分野にも、進出する機会があります。アフリカでは、消費者の日本の技術に対する好みは絶対的なもので、日本でデザインされたか、日本で作られた製品であれば、中古品であっても相当な額で取引されています。街中では、小売業者の多くが、「Japanese Technology」という宣伝文句を掲げているのが目に入ります。あいまいな表現ではありますが、この文句が客を引き付けているようです。ウガンダ企業と日本企業が、ブランド提携、共同広告、共同研究を適切に展開すれば、その製品やサービスはウガンダや近隣諸国において大きな利益を生み出すと推測されます。

また、ウガンダの人口の半数以上が携わっている、すきやくわを使った手作業の農業においては、草刈り機やビニールハウスなどの製品、効率的なかんがい技術などのノウハウの需要が、非常に高まっています。これらも日本の中小企業が世界をけん引している分野です。


■アフリカでのビジネス成功例
「既存のアイディアをアフリカに適用し、成功を収めた優れた例は数多くあります」と、塩光氏は二つの事例を示します。

<M-Pesa>
一つ目は、「M-Pesa」というSMSを利用したモバイル通貨、モバイル送金サービス。都心から何時間も離れたところに住む、スマホや交通手段を持っていない人たちでもモバイルバンキングができるようにしたこのシステムは、ケニアとタンザニアからはじまり、今では東アフリカを席巻しています。日本で使用されているSUICAなどの電子マネー技術を支える中小企業が、この分野に参入する機会は多いにあると考えられます。

<AQtap>
二つ目の例は、「AQtap」という飲料水のATM。ナイロビシティ上下水道会社がケニアのスラム街で展開した、ウォーターディスペンサ機能を利用したこのサービスは、飲料水を手ごろな価格で手に入れることができると、大評判になりました。飲料、生鮮食品にはじまり、雑誌や下着などのあらゆる商品を自動販売機で展開する日本企業が、その技術をアフリカに適用すれば、多くのビジネスチャンスを獲得することができると、塩光氏は具体的な道筋を提示します。


■ウガンダ大使館、日本企業誘致に向け活動
海外の新しい市場を視野に入れている日本企業に、積極的に機会を提供すべきだと考えているアケチ=オクロ大使は、「ウガンダには、多くの分野において、大規模で歴史のある工場があり、他の市場と比較しても低コストで労働者を雇用することができます」と日本企業に向けてアピールしています。アイディオロジー・インターナショナルの代表取締役 塩光 順氏も大使の考えに同意し、ウガンダには日本企業にとって理想的なビジネス環境が広がりつつあるといいます。

ウガンダ大使館が、日本の中小企業と関係を築くための具体的な取り組みを行うのは、今回が初めてで、アケチ=オクロ大使は、「この重要な試みに、アイディオロジー・インターナショナルと協力して仕事ができることは、大変光栄なことです。この協力関係がウガンダにとっても日本にとっても良い結果を生み出してくれることでしょう」と語ります。
塩光氏は「日本企業は、非常に優位な立場にあるにも関わらず、高い利益の見込みのある未開発市場への参入が遅れています。今こそ、アフリカ進出に向けての世界的競争に飛び込むべき時です」と、期待を込めて話しています。

ベティ・グレース・アケチ=オクロ駐日ウガンダ共和国特命全権大使は、「ウガンダは日本に向けて、ビジネスの門戸を開いています」と広く呼びかけ、「これから、中小企業向けの様々なイベントを本格的に始める予定です」と語りました。

※1 The World Bank
※2 Population Division of the Department of Economic and Social Affairs of the UN Secretariat, World Population Prospects: The 2010 Revision
※3 The World Bank ― Country Overviews
※4 Comesa website ― About Comesa
※5 African Development Bank: List of Japanese businesses in Africa 2014
※6 Global Entrepreneurship Monitor Consortium ― 2014 Global Report
※7 Management Today ― June 25, 2015 udpate

カテゴリ:
その他
タグ:
ビジネス全般 経済(国際)

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