<水を考えるプロジェクト 防災に関する調査> 都道府県別調査。災害対策の意識に大きな格差 意識の高い県とそうでない県の差は2倍以上! もっとも広く対策を講じているのは「水の備蓄」の約3割
2015.09.01 10:00
“水”の安全性や選び方、活用方法を改めて考え直すことを目的とする「水を考えるプロジェクト」(所在地:東京都渋谷区)では、“生活者”と“水”についての意識・実態調査をおこなっています。
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特に災害対策を実施していない都道府県ランキング(n=4,700)
当プロジェクトでは9月1日の“防災の日”を前に、全国47都道府県の10代から60代の男女4,700名(男女各都道府県50名ずつ)を対象に、備蓄についての意識実態・現状について調査いたしました。
【調査トピックス】
■災害対策についての意識。都道府県によって大きな差!
首位県と下位県では意識に2倍以上の違いが。
・「災害対策を実施していない」全国平均は39.1%
・九州地方では「災害対策を実施している」人が2人中1人以下?
■まだまだ浸透しない防災意識。
緊急時のために水・食料を備蓄しているのは3人に1人だけ。
・関東圏は水の備蓄意識高め!千葉県53%、神奈川県50.0%、東京都・静岡県49.0%
・水の備蓄をおこなっているのが、5人に1人だけの都道府県も4県存在!
今回の調査から、各都道府県ごとに「防災」「災害時の対策」について大きな意識差があることが明らかとなりました。最も災害対策を実施していた、千葉県の約8割に対し、佐賀県は約4割のみと、その差は2倍となっています
そんな中、対策として最も多くの方が取り組んでいたのが、水の備蓄。実に、3人に1人が、水の必要性を強く感じ、備蓄に取り組んでいる実態がわかりました。備蓄については、積極的に対応している関東近郊と、さほど対策をしていない九州地方の、差が地域によって見られました。
水の備蓄も大切ですが、生命を維持するための一定量の水・食料の確保はもちろん、ライフラインが止まり、貴重な水の使用に制限が出るような環境下では、使用用途によって水を使い分けることが必要です。
▼調査概要
調査方法:インターネットリサーチ
調査対象:10代から60代の男女
回答数 :4,700名(各都道府県 男性50名、女性50名)
調査日 :2015年3月20日(金)~2015年3月21日(土)
調査主体:水を考えるプロジェクト
■災害対策についての意識。都道府県によって大きな差!
首位県と下位県では意識に2倍以上の違いが。
・「災害対策を実施していない」全国平均は39.1%
・九州地方では「災害対策を実施している」人が2人中1人以下?
9月1日の「備蓄の日」を前に、全国47都道府県の10代から60代の男女4,700名(男女各都道府県50名ずつ)を対象に、災害として実施していることについて調査を実施しました。
その結果、実に約4割の方が、「水や食料の備蓄」「家具の固定」「安否確認方法の共有」などの、災害対策をおこなっていないことがわかりました。
▼特に災害対策を実施していない都道府県ランキング(n=4,700)
https://www.atpress.ne.jp/releases/72249/img_72249_1.png
災害時の対策実施有無の質問に対し「特に災害対策を実施していない」と答えた方が全国平均で39.1%という結果となりました。
最も災害対策を実施していたのは、千葉県の19.0%。次いで、静岡県23.0%、宮城県24.0%と全国平均を大きく上回る結果となりました。
一方、佐賀県の61.0%をはじめ、鹿児島県56.0%、福岡県・長崎県(ともに)55.0%と、全国的にも台風や集中豪雨による水害、火山災害、土砂災害、地震など自然災害が多い地域にも関わらず、九州地方の多くの都道府県では、半数以上が災害に向けてさほど対策をしていない実情がわかりました。
約8割が対策を講じている千葉県に対し、佐賀県は4割のみと、その差は2倍となっています。
■まだまだ浸透しない防災意識。
緊急時のために水・食料を備蓄しているのは3人に1人だけ。
・関東圏は水の備蓄意識高め!千葉県53%、神奈川県50.0%、東京都・静岡県49.0%
・水の備蓄をおこなっているのが、5人に1人だけの都道府県も4県存在!
実際に、どのような対策をおこなっているかを聞いたところ、全国平均で下記のような結果となりました。
対策として最も多くの方が取り組んでいたのが、水の備蓄。実に、3人に1人が、水の必要性を強く感じ、備蓄に取り組んでいることが明らかとなりました。
▼防災実態調査
https://www.atpress.ne.jp/releases/72249/img_72249_2.png
農林水産省の『緊急時に備えた家庭用食料備蓄ガイド』で、「電気、ガス、水道といったライフラインが停止する可能性が非常に高いため、最低限の飲料水と、缶詰又は調理せずに食べられる備蓄食料品(アルファ米、乾パン等)を3食分備えると良いでしょう。」と、一定量の食料の備蓄の必要性について言及していることからも、「水を備蓄している」「食材の備蓄をしている」の値が他の項目に比べ高く、約3割の回答が得られました。
もっとも対策を講じられていた「水の備蓄をしている」については、今回の調査で地域によって備蓄状況に大きな差があることが明らかとなっています。最も回答数が多かった千葉県の53%をはじめ、神奈川県50.0%、東京都・静岡県49.0%など、関東近郊の大都市圏に積極的な対策を講じている方が多いという結果となりました。
その一方、佐賀県(13.0%)、長崎県(17%)、山口県(18%)、島根県(19%)の4県では、水の備蓄をおこなっているのが、5人に1人だけと、対策を講じている方が非常に少ないことがわかりました。
また、当プロジェクトが、東日本大震災経験者(東北在住)262名、阪神大震災経験者(近畿地方在住)264名の計526名を対象におこなった調査では、約8割が「ペットボトル」「ウォーターサーバー」「水道水をペットボトルなどに詰めて」「お風呂にお湯をはって」など、何かしらの形で水を備蓄していることが明らかとなっています。
この数字を考慮すると、震災経験者の8割が「水を備蓄している」と回答したのに比べ、全国平均では3割のみの回答という結果となり、全国ではまだまだ備蓄についての考えが浸透していない現状があらわになりました。
▼水の備蓄状況
https://www.atpress.ne.jp/releases/72249/img_72249_3.png
【参考資料】
■気をつけたい水の備蓄!
用途によっては備蓄方法を使い分ける必要も!
当プロジェクトが2015年3月に報告した調査によると、約7割の方が「ふたを開けて1日経過したペットボトルの水」を躊躇なく飲んでいるという結果がでています。
災害時には、ペットボトル等の貴重な水を時間をかけて少しずつ飲まなければいけない状況が発生します。そこで、当プロジェクトで、ペットボトル入りの水の原水の違いによって時間の経過でどの程度菌の増殖に違いがあるのかを、2015年5月に検証しました。
その結果、一部の水で菌が増殖する傾向が見られました。
一部の国産天然水で菌が増殖する結果が出た一方、ウォーターサーバーなどで多く利用されている逆浸透膜(RO膜)で処理した水「RO水」では菌数が減少する傾向がみられました。
この実験結果より、ライフラインが止まり、貴重な水の使用に制限が出るような環境下では、使用用途によって水を使い分けることが必要だと考えられます。
備蓄の方法は、水道水の汲み置き、ペットボトル水での備蓄、ウォーターサーバーなど宅配水での備蓄など複数の選択肢があります。
水道水の場合、ポリタンクへの貯め方に工夫が必要です。シールやタグに日付を書いてポリタンクに付け、暗くてなるべく涼しい場所におきます。3日を目処に水を入れ替えれば、そのまま飲むことができます。1か月を目処に入れ替える場合は、一度沸騰させてから飲みます。水を入れ替えるときには、タンクに入っていた水は炊事の後片付け、掃除などに使います。タンクは内部をよく洗い、新しい水道水を入れます。
ペットボトル水の場合は、フタを開けたら1日を目安に飲みきることです。そうしないと、上記の実験のように、雑菌が繁殖する恐れがあります。それぞれ、使用用途に応じた水の使い分けが必要です。
▼グラフ
https://www.atpress.ne.jp/releases/72249/img_72249_4.png
【試験に用いた水の種類】
●水道水 :生活用水として最も身近なもの(塩素を除去したもの)
●天然水3種:国産品2種((1)、(2))と輸入品1種
●RO水 :「逆浸透膜(RO膜)」で処理した水
(ミネラル添加RO水についても実施)
【試験方法】
●各試験水500mLに大腸菌(約1,000個/mL)を添加
●室温(25℃前後)で保持
●0、1、24、48、72時間経過後に菌数測定
■『水を考えるプロジェクト』概要
プロジェクト名: 水を考えるプロジェクト
設立年月日 : 2015年3月4日(水)
活動目的 : 飲用水の安全性に興味を持ち、きちんと理解した上で
飲用水を選ぶ・飲むことを啓発する。
サイトURL : http://www.mizu-kangaeru.jp/
<参画メンバー>
・井上 正子
(医学博士・管理栄養士 日本医療栄養センター所長)
・橋本 淳司
(水ジャーナリスト / アクア・コミュニケーター / アクアスフィア代表)
・矢野 一好
(公立大学法人 首都大学東京 客員教授 保健学博士(北里大学))