日経BPコンサルティング調べ ブランド・ジャパン2016 消費者の評価首位はアマゾン、国内ではキユーピー 有職者の評価では、5年連続首位のトヨタ自動車に 評価を落とした東芝には、今後への期待が集まる
株式会社日経BPコンサルティング(所在地:東京都港区、代表取締役社長:戸田 雅博)は、今年で16回目を迎えるブランド価値評価調査「ブランド・ジャパン2016」の結果をまとめ、本日(2016年3月25日)、調査報告書を発行・発売しました。調査は2015年11月から12月にかけて実施され、回答者数は約5万6千人でした。
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図表1
【調査結果のポイント】
■アマゾンがBtoC編で初の首位。続くGoogle、YouTubeと、トップ3はIT系ブランド
■キユーピーがBtoC編第4位で国内トップ。キッコーマンも急上昇。食品系の高評価が目立つ
■有職者が評価するBtoB編では、トヨタ自動車が5年連続の首位。パナソニックが続く
■新設のロイヤルティ評価では、六花亭、ビアンキ、トゥミなど、低認知ながらトップのブランドも
【調査結果より】
■アマゾンがBtoC編で初の首位。続くGoogle、YouTubeと、トップ3はIT系ブランド
BtoC編「総合力」ランキング(図表1)では、88.4ポイント(偏差値)を獲得したインターネット通販大手のアマゾンが、前回の第5位から評価を高め、当調査16年間の中で初めて首位の座に就いた。続く第2位は、前回第7位のGoogle、第3位は前回第2位のYouTubeで、トップ3はイノベーティブさが際立つIT系ブランドが独占した。
アマゾンは2002調査の「総合力」第694位から始まり、10年前の2006調査で第85位と初めてトップ100入り。2009調査以降はトップ50をキープし、2014調査以降はトップ5を維持。そして、今回初の首位に輝いた。商品配送スピードや取扱商品の拡がりはもとより、KindleやFire TVといったハードウエアの提供とそれらを介したコンテンツ配信、さらには「アマゾン ウェブ サービス(AWS)」による企業へのクラウドサービス提供まで、時代の流れを的確に掴みながら事業の質と量をともに成長させてきた。
アマゾンの「総合力」を構成する4つの因子別スコア(図表3)をみると、「イノベーティブ(革新)」で119.4ポイントと最も高い評価を得ており、同項目のランキングでも首位。前回の94.2ポイントから、25.2ポイントと大幅な伸びを見せた。2012年からは日本国内でTVCMを始めたほか、ドローンによる配送実験のニュースやCEOであるジェフ・ベゾス氏に関する書籍の発行など、消費者へのイメージ浸透を促すトピックも続いており、こうした複合的な要因が特に「イノベーティブ」を向上させ、今回の首位獲得に繋がったと考えられる。
図表1: https://www.atpress.ne.jp/releases/95420/img_95420_1.jpg
図表3: https://www.atpress.ne.jp/releases/95420/img_95420_3.jpg
■キユーピーがBtoC編第4位で国内トップ。キッコーマンも急上昇。食品系の高評価が目立つ
BtoC編「総合力」第4位には、前回第9位のキユーピーが過去最高位でランクインし、国内ブランドの中では今回のトップとなった。健康や食の安全・安心に関心が集まる中、品質イメージも含む「コンビニエント」で首位のほか、「フレンドリー」でも第3位。長年一貫したトーンの広告展開を図ってきたことに加え、2015年に発売90周年を迎えた「キユーピー マヨネーズ」のキャンペーンが奏功した模様だ。食品業界では、第7位のカップヌードルにも動きがあった。これまで15年間、常にトップ40に入り続けてきた同ブランドだが、今回初めてトップ10入りを果たした。中でも、「なくなると寂しい」は首位で、この評価が反映される「フレンドリー」でも首位である。発売から約45年経てなおその勢いを増しており、「カップヌードル」を冠する商品は40種類にも達する(2016年3月17日時点の日清食品Webサイトより、サイズ違いも含む)。多彩なバリエーションで不動の人気を誇る。製品ブランドの中では、今回の首位である。
このほか、BtoC編「総合力」の第8位は、前回第6位のハーゲンダッツで、トップ10を2年連続でキープした。第16位には前回の第59位から伊藤園が、第17位には前回の第96位からキッコーマンが、それぞれ過去最高位でランクイン。第19位にも前回の第42位から江崎グリコが入った。キッコーマンは、BtoC編における「総合力」上昇ランキング(図表2)の首位である。食品系ブランドへの高評価が目立つ上位ランキングとなった。
図表2: https://www.atpress.ne.jp/releases/95420/img_95420_2.jpg
■有職者が評価するBtoB編では、トヨタ自動車が5年連続の首位。パナソニックが続く
BtoC編では「総合力」トップ10の半数が入れ替わったが、BtoB編(図表1)では順位の変動が少ない。第1位は95.8ポイントを獲得したトヨタ自動車で、5年連続の首位。第2位は前回第4位のパナソニック(図表4)で、2011調査で首位を獲得した以来の高い順位となった。第3位には前回第4位のGoogleが、第4位には前回第3位の全日本空輸が続く。今回トップ10に返り咲いたのは、ソニー、本田技研工業、任天堂の3社。いずれも数年ぶりとなる復活だ。
図表4: https://www.atpress.ne.jp/releases/95420/img_95420_4.jpg
■新設のロイヤルティ評価では、六花亭、ビアンキ、トゥミなど、低認知ながらトップのブランドも
今回の調査では、ここまで述べてきたブランド価値評価とは別立てで、各ブランドに対する忠誠度をみるロイヤルティ評価を新設した。この評価では、愛されているブランドを知名度に寄らず的確に炙り出すため、各ブランドの認知者内での評価を相互比較している。BtoC編における結果(図表5)を確認すると、トップ10には認知率が90%に満たないブランドも多く入っている。中でも、「他者に勧めたい」と「今後に期待している」の2項目では、認知率が70%を下回っているブランドが、トップ10にそれぞれ6つランクインしている。こうしたブランドには、顧客との向き合い方について学ぶところが多いのではないだろうか。
なお、2015年7月に不正会計が発覚した東芝は、「今後に期待している」で28.7%を獲得し第7位。同社の認知率は96.1%なので、消費者全体では4人に1人強が期待している計算となる。BtoC編「総合力」では、前回の第77位から今回は第233位へと156ランクも後退した同社。果たして今後、こうした高い期待に応えることが出来るのか。傷ついたブランド力をとり戻すのは容易ではない。経営の立て直しに注目が集まる。
図表5: https://www.atpress.ne.jp/releases/95420/img_95420_5.jpg
(吉田 健一=日経BPコンサルティング ブランドコミュニケーション部長)
<ブランド・ジャパン>
国内で使用されているブランドを一般消費者とビジネス・パーソンが評価する、日本最大規模のブランド価値評価調査プロジェクト。2001年に第1回調査を実施し、今回が16回目。一般消費者から回答を求める「BtoC(コンシューマー市場)編」(調査対象1,000ブランド)と、有職者にビジネス・パーソンとしての立場から回答を求める「BtoB(ビジネス市場)編」(同500ブランド)から成る。第2回から調査フレームを固定しているため、過去15年分について同一観点で比較可能である。
BtoC編では企業ブランドと製品・サービスブランド合わせて1,000ブランドを対象に調査した。ブランド価値の「総合力」を算出する際に、「フレンドリー(親しみ)」、「コンビニエント(便利さ)」、「アウトスタンディング(卓越性)」、「イノベーティブ(革新性)」という4指標を採用した。
BtoB編では500の企業ブランドを対象に調査した。ブランド価値の「総合力」を算出する際に、「先見力」、「人材力」、「信用力」、「親和力」、「活力」の5指標と5つの「企業評価項目」を採用した。調査概要は、別紙の「調査の構成と概要」と「特別顧問およびブランド・ジャパン企画委員会」を参照。
別紙: https://www.atpress.ne.jp/releases/95420/att_95420_1.pdf
<日経BPコンサルティング>
日経BP社全額出資の「調査・コンサルティング」「企画・編集」「制作」など、コンサルティング、コンテンツ関連のマーケティング・ソリューション提供企業。(2002年3月1日設立。資本金9,000万円)
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