ロコモ健診から運動指導へ ロコモリスクの提示で無関心層を動かす可能性あり?! 2015年度「おおいそアンチロコモ教室」結果レポート
大磯町(神奈川県中郡、町長:中崎久雄)、東海大学(所在地:神奈川県平塚市、体育学部生涯スポーツ学科教授:中村豊)、医療機器・材料メーカーのアルケア株式会社(本社:東京都墨田区、代表取締役社長:鈴木輝重)の三者は、大磯町にて産官学連携介護予防事業「おおいそアンチロコモ教室」を2015年9月より2016年2月までの半年間実施しました。
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教室参加の流れ
加齢と共に衰えやすい「下肢の運動機能」に特化したプログラムを提供し、「運動機能を見える化」する点が特徴の同教室は、2015年度新たな取組みとして、町の特定健康診査(集団健診)の場を活用し、運動器機能評価ロコモティブシンドローム(以下 ロコモ)を診る「ロコミル」(ロコモ健診)と連動して実施しました。これはロコモ健診にてロコモリスクの高い方を把握し、同教室へ参加を促し改善を目指すものです。バージョンアップした2015年度「おおいそアンチロコモ教室」の結果をお知らせします。
(*) 大磯町 町長の「崎」の字は、「たつさき(旁の上部が“立”)」です。
1. ロコミル(ロコモ健診)実施で無関心層を運動教室へ取込める可能性あり?!
2. 教室のドロップアウト者は少なく、継続参加率は8割以上
3. ロコモ度の臨床判断値(※1)の改善には至らないものの、下肢筋力は着実にUP
(※1) 日本整形外科学会が策定したロコモの段階を判定するための臨床判断値。立ち上がりテスト・2ステップテスト・ロコモ25の3つのテストから成り立つロコモ度テストを用いて、移動機能低下の度合を判断する。ロコモの進行状況を「ロコモ度1(移動機能の低下が始まっている段階)」、「ロコモ度2(移動機能の低下が進行している段階)」と判定する。
1. ロコミル(ロコモ健診)実施で無関心層を運動教室へ取込める可能性あり?!
2015年度の新たな取組みとして、様々な町民の方々が参加される町の特定健診(集団健診)の場を活用し「ロコミル」と名付けたロコモ健診を実施し、ロコモリスクの高い方を中心に「おおいそアンチロコモ教室」に参加していただきました。2015年7月にロコミル(ロコモ健診)を受けた方の中で、ロコモリスクの高い方99名に教室参加の案内をした結果、32名が参加されました(参加率:32.3%)。大磯町の国保における近年の特定保健指導の利用率は約16%(※2)であり、メタボ対策と比較し、ロコモ対策への参加は約32%と、関心度が高いことが示されました。
2014年度の同教室では、教室参加者を公募した結果、比較的健康意識の高い方が多く参加されました。そこから課題として挙がったことは、健康意識が低くロコモ予防に関心の無い人、または気付かないうちに筋力低下が進行している人などへの早期アプローチです。ロコミル(ロコモ健診)で状態を数値化し、ロコモリスクの高い方を教室へと呼び込めたことは、2014年度より一歩前進した成果となりました。
(※2) 平成20~24年度 特定健康診査・特定保健指導の法定報告より
<教室参加の流れ>
https://www.atpress.ne.jp/releases/96884/img_96884_1.jpg
2. 教室のドロップアウト者は少なく、継続参加率は8割以上
ロコミル(ロコモ健診)の結果より「おおいそアンチロコモ教室」に参加した32名中、事業終了まで参加できた人は28名で継続参加率は87.5%と高い数値を記録しました。ロコミル(ロコモ健診)からの参加と公募での参加者を合わせると教室参加者は計84名で、全体からみても88.1%(74名)が参加し続ける結果となりました。
また、継続して参加できた理由についてのアンケートでは、「健康講話が役立つ」「大測定会の結果の変化」「毎月の筋力測定」が上位3つを占めました。これは、2014年度の同教室でも同じ回答が得られており、教室に参加する対象者層が異なっても、健康に対するモチベーションを維持し、十分に継続して取組めるプログラムであったことが示されました。
<教室に参加し続けた理由/モチベーション維持のための4つのキーワード>
https://www.atpress.ne.jp/releases/96884/img_96884_2.jpg
3. ロコモ度の臨床判断値(※1)の改善には至らないものの、下肢筋力は着実にUP
以下、2015年度のロコミル(ロコモ健診)の結果から「おおいそアンチロコモ教室」に参加した人の有効データ25名の結果
【ロコモ度の変化】
(1) 移動機能の低下が始まっている状態である「ロコモ度1」の該当者14名中5名(35.7%)は参加後ロコモ非該当となりました。その他9名のロコモ度の変化はみられませんでした。
(2) 移動機能の低下が進行している状態である「ロコモ度2」の該当者1名は、教室参加後「ロコモ度1」に改善しました。
(3) 教室開始時に「ロコモ非該当」(※3)であった10名のうち2名がロコモ度テストの数値が低下し、「ロコモ度1」となりましたが、その他8名はロコモ非該当を維持することができました。
<ロコモ度の変化>
https://www.atpress.ne.jp/releases/96884/img_96884_3.jpg
(※3) ロコミル(ロコモ健診)では、日本整形外科学会が策定したロコモ度テストの3項目に加え下肢筋力測定を実施。下肢筋力測定値に独自の基準を設け、その基準に該当した者もロコモリスクの高い者とし同教室への参加を促した。ロコモ度の変化の図において、ロコモリスクの高い方25名のうち開始時から「ロコモ非該当」が10名存在するのは、ロコモ度テストでは該当しないが下肢筋力の独自基準に該当し参加した者がいるため。
【下肢筋力値による体操強度の変化】
毎月下肢筋力測定を実施し、個人の下肢筋力にあわせた強度別の運動プログラムを提供しました。教室参加前後での体操強度の変化は、特に中強度で効果がみられ、10名中9名が高強度の体操強度のレベルに移行する結果となりました。
また、25名中22名の88%が教室参加後、下肢筋力値が向上する結果となり、上記ロコモ度の変化には至らなかったものの、着実に運動の効果が出ていることがわかりました。
<下肢筋力値による体操強度の変化>
https://www.atpress.ne.jp/releases/96884/img_96884_4.jpg
■2015年度「おおいそアンチロコモ教室」概要
・2015年9月~2016年2月に月1回(計6回×会場2ヶ所)集まり、下肢筋力測定(※4)・個人別運動プログラムの提供・健康講話・レクリエーション(脳トレ)を実施
・参加者は提供された運動を自宅でも実施し、運動内容・回数を指定の手帳に記録
・運動プログラム開始前後で総合的な下肢運動機能の評価を実施
・対象は、ロコミルにてロコモリスクの高い者および公募で参加を希望した者
(※4) 下肢筋力測定には、「ロコモスキャン(アルケア社製)」を使用
<「おおいそアンチロコモ教室」の流れ>
https://www.atpress.ne.jp/releases/96884/img_96884_5.jpg
■関係者紹介
・大磯町(おおいそまち)
大磯町の人口は32,372人、高齢化率(※5)は31.5%に達しており、全国の高齢化率26.7%と比べ、高齢化が進行しています(※6)。また団塊の世代の人口が多く、この先20年にわたり高齢化が進行すると予測されることから、町の高齢化進行対策として「予防医学」に注力している。町長は中崎久雄(2010年12月より現職、現在2期目)。
大磯町URL:http://www.town.oiso.kanagawa.jp/
(※5) 高齢化率:65歳以上の高齢者人口が総人口に占める割合を指す
(※6) 大磯町の人口、高齢化率は2016年1月1日現在、全国の高齢化率は2015年9月現在の数字
・東海大学体育学部生涯スポーツ学科(教授 中村豊・なかむら ゆたか)
[略歴]東海大学体育学部生涯スポーツ学科教授、東海大学硬式テニス部長
1951年生まれ、東海大学医学部卒業、現在 東海大学医学部付属大磯病院 整形外科医師
生涯スポーツ学科URL: http://www.u-tokai.ac.jp/academics/undergraduate/physical_education/physical_recreation/
・アルケア株式会社
アルケアは高齢社会におけるエッセンシャルパートナーとなることを目指し、ウンドケア、オストミー&コンチネンスケア、ロコモティブケア、ナーシングケア、ヘルスケアの5つの視点でケア現場に貢献する事業を展開。
社名 : アルケア株式会社
代表者 : 代表取締役社長 鈴木輝重
従業員数 : 500名(2015年6月末現在)
売上高 : 137億円(2015年6月末現在)
本社所在地 : 〒130-0013 東京都墨田区錦糸1-2-1 アルカセントラル19階
事業内容 : 医療機器・医療用消耗材料の研究開発、製造、販売業
アルケアURL: http://www.alcare.co.jp
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