日清オイリオグループ 第9回在宅介護事情調査 要介護者の40%が低栄養傾向に ~74%の家族は低栄養の意味を知らない~
日清オイリオグループ株式会社(社長:今村 隆郎)は、トロミ調整食品やエネルギー補給食品などの介護対応食品を製造・販売しております。このたび、2011年度より定期的に行っている在宅介護事情調査の第9弾として、在宅介護(要介護1~3)されているご家族100名を対象に『低栄養に関する実態調査』を実施いたしました。
低栄養(※1)になると身体機能や食欲が低下し栄養不良がさらに進むなどの悪循環が生じ、免疫力の低下による感染症や疾病のリスクが高まるなど、介護度の悪化へとつながります。
壮年期に生活習慣病を気にして、エネルギーや脂質などを控えるよう意識していた方も少なくないと考えますが、高齢になると低栄養に陥るリスクのあることも認識しておく必要があります。
今回の調査では要介護者の40%が低栄養傾向(※2)にあることがわかりました。一方で、74%のご家族が低栄養の意味を知らず、約半数が要介護者の低栄養への不安をあまり感じていないと回答しました。在宅介護においては、要介護者の健康状態の把握による低栄養への気配りやその対策が今後の課題となりそうです。
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【図1】調査結果に基づいて算出した低栄養傾向の割合
●要介護者の40%が低栄養傾向に
要介護者100名の体重と身長を測ってもらい、BMIを計算したところ、低栄養傾向を示す数値である20以下の人が40%いました。BMIとは、人の肥満度を表す体格指数です。この指数は肥満度だけでなく、低栄養傾向にあるかどうかを判断する指標の1つにも使われます【図1】。
●74%が低栄養の意味を知らず、約半数が低栄養への不安をあまり感じていない
低栄養という言葉とその意味を知っているかという設問では、「低栄養という言葉だけは知っていたが、その意味は知らなかった」が38%、「低栄養という言葉さえ知らなかった」が36%と、低栄養の意味を知らない回答者が74%でした【図2】。また、低栄養について説明した後に「この先要介護者の低栄養について不安はあるか」との問いに対しては、「あまりない」が39%、「ない」が13%と合計52%の人が今後もあまり不安を感じていないと回答しました【図3】。
●3ヶ月以上体重を測っていない人が4人に1人
要介護者の体重を「1ヶ月に1度」測っている人が29%と最も多かった一方で、「3ヶ月に1度」「半年に1度」「1年に1度」「全く測ったことがない」を合計すると26%と、4人に1人が3ヶ月以上体重を測っていないことがわかりました。体重を測ることは健康状態を知る上で大切なことであり、低栄養に気づくポイントとなります【図4】。
●栄養摂取にかかわる噛むことや飲み込むことに問題がある人が61%
「噛むことに問題がある」と回答した人は18%、「飲み込むことに問題がある」は22%、「両方に問題がある」は21%と、要介護者の咀嚼(そしゃく)や嚥下(えんげ)に関して問題を感じている人が合計61%でした。咀嚼(そしゃく)や嚥下(えんげ)機能の低下は栄養摂取量の減少につながりますので、問題を感じていない場合も含めて常に注意する必要があります【図5】。
≪専門家のコメント≫
成田 美紀(なりた みき)先生
地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター研究所 社会参加と地域保健研究チーム、管理栄養士
高齢者向けの栄養指導、虚弱予防のための栄養改善プログラム作成、食を通じたコミュニティ作りの提案、普及啓発を行っている。
専門分野は、栄養疫学、公衆衛生学。
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【経歴】
青山学院大学大学院理工学研究科博士前期課程化学専攻修了(理学修士)、
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科修士課程修了(医科学修士)。
日本原子力研究所東海研究所環境安全研究部、東京都老人総合研究所疫学部門、同研究所介護予防緊急対策室を経て、2011年より現職。
在宅介護において気をつけなくてはならないことのひとつに低栄養があります。低栄養による身体機能の低下は緩やかなので、ご家族の方が気づきにくく、気づいた時には入院や介護度の悪化につながることがあります。また、家庭内での食事は比較対象がないため、量や栄養バランスが適正かどうかわからないという不安もあると思います。調査では市販の介護食を「使う必要がない」【図6】と思っている方が多くいるようですが、低栄養に対応した介護食もありますので、これらに対する知識を持つことも必要だと思います。
(※1) 低栄養とは生命活動を営む上で必要な栄養素が取れていない状態を指し、その中でも特にエネルギーとたんぱく質が欠乏した状態をいいます。体重の減少、BMI、血液検査の血清アルブミン値が重要な指標となります。
(※2) 厚生労働省が国民の健康の増進に関する方針や目標などを定めた「健康日本21(第二次)」に用いられている低栄養傾向の基準(BMI≦20kg/平方メートル)
≪調査結果≫
【図1】調査結果に基づいて算出した低栄養傾向の割合
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要介護者100名の体重と身長を測定してもらいBMIを計算しました。
健康日本21(第二次)において、要介護や総死亡リスクが統計学的に有意に高くなるポイントとして示されている「BMI20以下」を低栄養傾向の指標としたところ、その割合は40%でした。
BMI(Body Mass Index)とは、体重(kg)を身長(m)の2乗で割った、人の肥満度を表す体格指数です。この指数は肥満度だけでなく、低栄養傾向にあるかどうかを判断する指標の1つにも使われます。
【図2】低栄養という言葉とその意味の認知・理解
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低栄養という言葉とその意味を知っていますかという質問では、「低栄養という言葉さえ知らなかった」が36%、「低栄養の言葉だけ知っていたが、その意味は知らなかった」が38%と、低栄養の意味を知らない人が74%でした。
一方で、「低栄養という言葉とその意味の両方を知っていた」は26%と、4人に1人という結果でした。
【図3】要介護者の低栄養についての将来的不安
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低栄養について説明した後に、この先要介護者の低栄養について不安はありますかと質問したところ、不安が「ない」と回答した人が13%、「あまりない」が39%と、約半数の52%が今後もあまり不安を感じていないという結果でした。
【図4】要介護者の体重を測る頻度
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要介護者の体重をどれくらいの頻度で測っていますかという質問では、「1ヶ月に1度」が最も多く29%、ついで「2~3日に1度」が20%という結果でした。これらを含め、1ヵ月に1度以上と回答した人は74%でした。
反対に「3ヶ月に1度」以下という人は26%で、4人に1人は3ヶ月以上体重を測っていないことがわかりました。その中には全く体重を測ったことがない人も8%いました。
体重は、低栄養傾向であるかを判断する指標の1つとなりますので、少なくとも1ヶ月に1度は測定することが望ましいでしょう。
【図5】要介護者の咀嚼や嚥下に関する問題
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要介護者の咀嚼(そしゃく)や嚥下(えんげ)のどちらに問題があるかを聞いたところ「噛むことと飲み込むこと両方に問題があると思う」と回答した人は21%、「噛むことに問題があると思う」は18%、「飲み込むことに問題があると思う」は22%と、合計61%の人が咀嚼(そしゃく)や嚥下(えんげ)に問題があると回答しました。
咀嚼(そしゃく)や嚥下(えんげ)機能の低下は栄養摂取量の減少につながりますので常に注意をする必要があります。気づいた時には低栄養に陥ってしまっている場合もあるので、早めの対応が必要となります。
【図6】介護食に市販の介護食品を使用していない理由(複数回答)
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介護食に市販の介護食品を使用していますかという質問に対し、「いいえ」と回答した人に市販の介護食品を使用していない理由を聞いたところ、「使う必要がない」と回答した人が最も多く、44.9%でした。
その後には、「価格が高い」(24.4%)、「種類が少ない」(15.4%)など、市販の介護食品の品揃えに関する理由が続きました。
≪調査概要≫
■調査実施日:2016年2月26日(金)~2月29日(月)
■調査方法 :インターネット調査
■調査対象者:全国30歳以上の男女
60歳以上の要介護者(要介護度1~3)を在宅で介護しており、
介護食を介護者本人が作っている方100名
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