「インタラクティブメディア」とは何なのか…?いまだ聞きなれない広報担当者は少なくないと思います。そこで今回は「インタラクティブメディア」について丁寧に解説していきます。
目次
インタラクティブメディアの「インタラクティブ」とは何か?
そもそも「インタラクティブ」とは何か?「インタラクティブメディア」を明確に定義づけるのが難しいため、まずは言葉を分解して考えてみましょう。
言葉の意味
インタラクティブ(英語:Interactive)
直訳すると英単語で「相互」「双方向」という意味。
ビジネス用語(特にIT分野)では『相互作用』を意味するといわれています。
類義語
「インタラクティブ」と同じような意味をもつ単語は次のような言葉があげられます。
- 対話
- 双方向性
- コミュニケーション
- 参加型
共通して「やり取り」が主軸になっていることが分かります。
「インタラクティブ」が使われる場面
さまざまな業界・場面において「インタラクティブ」という言葉は使われています。次からは、場面ごとの使用例を確認していきましょう。
ビジネスにおける「インタラクティブ」
ビジネス用語として、企業と消費者が“双方向”にやり取りする形態を「インタラクティブコミュニケーション」と表現します。
IT業界における「インタラクティブ」
利用者の操作に対してシステムが反応する、“相互”のやり取りのなかで処理を進めていく操作方式を「インタラクティブ」と指します。
テレビにおける「インタラクティブ」
視聴者参加型のクイズ/投票・視聴者の選択肢によって内容が変わるドラマなど、視聴者とテレビがコミュニケーションをとれる状態を指します。
アートの世界での「インタラクティブ」
観客を何らかの手法でアートの一部として参加させる手法を指し、「インタラクティブアート」と呼ばれています。一つ例を挙げるとすれば、チームラボ株式会社が創造する人が触れると花が散ったり動物が動いたりと、光・映像を駆使して変化するインタラクティブアートが身近な存在といえるでしょう。
「インタラクティブメディア」とは何か?
ここからは本題の「インタラクティブメディア」について解説していきます。意味を直訳すると「双方向媒体」となりますが、直訳通りに受け止めると明確な形が見えてこないため、“新しいメディアの形”として意味をまとめてみました。
対話型メディアまたは双方向型メディアの総称。マスメディアではこれまで発信者から受信者に対して一方向で情報が流されてきたが、デジタル技術の進展で、インターネット網を通じて相互に情報の受発信が可能になった。インターネット、双方向型CATV,さらに地上波・衛星デジタル放送などで双方向型が広まってきている。
参考:weblio辞書_インタラクティブ・メディアとは
X(Twitter)を例に挙げると、上記の説明でもあるようにX(Twitter)は投稿機能を使って自ら情報を発信することで、アカウント自体を“メディア”として運用することができます。その反面、ハッシュタグや検索機能を使って情報を調べたり、「●●の情報を求めているため募集します!」と呼びかけて受信側に立つこともできるため、発信と受信両方の顔を持つメディアすなわち「インタラクティブメディア」と言えます。他にも動画投稿サイト・ソーシャルゲーム・スマホアプリなども「インタラクティブメディア」に該当します。
インタラクティブメディアの種類
「インタラクティブメディア」は大きく3パターンに分かれますが、パターン毎に例を交えて紹介していきます。
パターン①リアルタイム参加型
視聴者がリアルタイムでコンテンツに参加しアクションを起こすことで、コンテンツに変化が生じるパターンです。昨今だと YouTube上でライブ配信ができるサービス「YouTube Live」や、ネット上でアイドルやタレントとコミュニケーションがとれる仮想ライブ空間「SHOWROOM」などの“ライブ配信型”が該当します。例えば、投げ銭(ギフティング)(※)をしてくれた視聴者に対して配信者がリアルタイムでお礼を言ってくれたり、投げ銭額によって文字数や表示時間に変動が起こります。昨今では上記のようなコンテンツに視聴者が直接介入して一緒にコンテンツを創造していく仕組みが増えており、2020年にハーツテクノロジー株式会社がリリースした Nintendo Switch(TM)用ソフト『ドンさわぎ』は、インタラクティブストリーミングエンジン「Genvid」を採用し、ゲーム観戦者(視聴者)がプレイヤーに声援を送ったりスペシャルアイテムをプレゼントできる視聴者参加型ゲームを実現したことで話題となりました。他にも、2021年には動画に特化したSNS「 TikTok 」も『 TikTok Live 』を開始しており、「リアルタイム参加型コンテンツ」は拡大をみせています。
(※)視聴者がコンテンツや配信者に対してネット上で送金すること。
パターン②ストーリー分岐型
ストーリーが様々に分岐していき、選択肢によってエンディングが変化していく“マルチシナリオ”のようなパターンです。“マルチシナリオ”とは、場面によってはオープニングも複数通り存在するようなシナリオのことを指し、「インタラクティブメディア」という言葉が存在する前から使用されている手法といってもいいでしょう。昔から存在しているストーリ分岐型の例として、読者の選択によって結末が変わるゲームブック(アドベンチャーブック)があげられます。
最近ですと韓国の恋愛ドラマを楽しめるインタラクティブゲーム「沼落ち禁止(Love Too Easily)」が情報公開され、2023年日本でのリリースが発表されました。ミニゲームやクイックタイムイベントをプレイしながら自らの選択肢と推理力で物語を作る韓国のラブコメ要素を盛り込んだ新しいゲームとして注目されています。
パターン③パーソナライズ型
視聴者がコンテンツ自体に自己投影する、もしくは配信者が特定の視聴者に向けてインタラクションを与えるというパターンです。
視聴者がコンテンツに自己投影するパターン
スマホ向け写真共有アプリ「Snapchat」による『Bitmoji TV』が分かりやすい例にあげられます。『Bitmoji TV』とは、自分のアバターを作成できるアプリ「Bitmoji」で作成した自身のアバターでアニメ動画を作成できる機能です。アニメのストーリーは変更できませんが自身や友人のアバターがアニメに登場するため、自身が物語の中に入り込んだような体験がコンテンツを通して味わえます。
特定の視聴者に向けてインタラクションを与えるパターン
有名人からオリジナルメッセージ動画が届く「Cameo(キャメオ)」があげられます。誕生日や結婚祝い・激励など特別なメッセージを有名人から動画として受け取るサービスです。近年では国内外問わず有名人の参入が増えており、インタラクティブメディアの特性を生かしたビジネスモデルとなります。
さいごに
調べれば調べるほど奥が深い「インタラクティブメディア」。企業がビジネスで活用するにあたってコンテンツを動かすための“プログラミング力”が必要不可欠になってくるでしょう。近年では、「インタラクティブメディア」に特化したサービス・制作会社や、大学ではインタラクティブ学部(学科)や研究室も創設されてきています。つまり「インタラクティブメディア」は、現社会のなかで“習得すべきスキル”になりつつあるということです。今後も時代の進化につれ、インタラクティブメディアはいま以上にもっと私たちにとって身近な存在となり、ビジネスにおいても“当たり前の武器”になってくると予想されるため、いまのうちにインタラクティブメディアに関する情報は、広報担当として常にチェックしておく必要があるでしょう。
参考記事: