メディアにアプローチし、情報を伝える手法として今や一般的となった「プレスリリース」。
企業の広報活動で当たり前になったからこそ、プレスリリースに関する疑問や不明点が曖昧なままになってしまっている部分もあるのではないでしょうか?
なんとなく理解はしていても、
- プレスリリースの目的や意味・重要性を説明するのが難しい
- 正しく配信できている自信がない
- 「プレスリリース」の目的・意味
- 混同されがちな「広報と広告の違い」
- 実施すると際に参考にしたい「プレスリリース実施のフロー」
目次
プレスリリースとは?
プレスリリースとは、企業が主にメディア向けに発信する「公的文書」のことです。 プレスリリースの発信内容は、- 新商品・新サービスの発表
- 新規事業の設立・開始
- 経営・人事情報
「広報」と「広告」の違い
「プレスリリース」は、今や企業の「広報」活動の代表格ですが、中には「広報」と「広告」の特徴を混同してしまい、誤って解釈されていることも少なくありません。 自社の掲げる目的を達成するためには、「広報」と「広告」それぞれの正しい性質を理解し、企業の目的にあった手法を選ぶことが大切です。 以下、「広報」と「広告」の特徴をそれぞれまとめていますのでご参考にしてください。広報
広報(英語:Public Relations、略称:PR)とは、企業や各種団体の活動内容や商品などの情報発信を行う業務を意味します。
広報活動は「情報を発信することで、新聞や雑誌、テレビなどの報道機関(メディア)に取り上げてもらったり、従業員や株主、消費者などのステークホルダーに活動内容などを理解してもらい、より良い関係を築くための活動」とも言えます。
- プレスリリース/ニュースレター
- SNS/ブログ
- イベント/記者会見 など
広告
新聞・雑誌・テレビなどのメディアに対し、お金を払って広告枠を確保し、アピールする手法。有名なメディアでも枠を購入することで、誰でもアピールできるという特長をもっています。
その反面、広告の情報は広告主が作成した一方的な発信情報であることを読者に認識されているため、読者・一般消費者には信頼性に欠ける情報として伝わったり、読み飛ばされることもあります。
また、社会的に認知されていないサービスや商品の場合は、想定しているターゲットには響きにくい(費用対効果は低い)といった側面もあります。
- テレビCM
- 電車の中吊り広告
- 新聞広告 など
「広報」と「広告」の比較
広報(プレスリリース) | 広告 | |
メディアの担当部門 | 編集局、報道局(記者) | 広告局(営業) |
方法 | 無償での情報提供 | 広告枠の購入 |
主導権 | メディア(記者) | 広告主 |
コスト | 低い | 高い |
露出方法 | TV番組/WEBニュース/新聞記事 など | 広告/CM など |
読み手の受ける印象 | 客観的で信頼性が高い | 主観的で信頼性が低い |
効果 | ~無限大 | 基本的に費用に比例 |
「プレスリリース」と「ニュースリリース」「ニュースレター」の違い
さらに「プレスリリース」と混同しやすい言葉に、「ニュースリリース」や「ニュースレター」があります。 本項で「プレスリリース」と「ニュースリリース」「ニュースレター」の違いもしっかりと理解していきましょう。「プレスリリース」と「ニュースリリース」
「プレスリリース」と「ニュースリリース」は、同義として使われていることがほとんどで、必ず新しい情報(ニュース性)が必要な点が特徴です。
厳密には「プレス(Press:報道)リリース」と言葉の通り、本来プレスリリースは対象が報道機関(メディア)、「ニュース(News)リリース」は対象を特定していない、という違いがあります。
ただし、現代では企業がプレスリリースを自社サイトへ掲載していることや、プレスリリース配信サービスのサイトで掲載されていることなどから、一般消費者が閲覧する機会も増えています。
よって2つの境界線がなくなりつつあり、現在はほぼ同義で使われていると考えられます。
「ニュースレター」
「ニュースレター」は、プレスリリース・ニュースリリースと異なり、新しい情報(ニュース性)は必要ありません。
プレスリリース・ニュースリリースが「公式文書」と称されるのに対し、ニュースレターは「読み手にとって有益な読み物」といった立ち位置だからです。
参考までに「日本パブリックリレーションズ協会」では、「ニュースレター」を以下のように定義しています。
マスコミなどのステークホルダーと良好・健全なコミュニケーションを図るために、経営戦略、営業活動、財務状況、技術開発情報などを定期的に紹介する新聞形式の情報発信ツール。ニュースリリースが企業情報の発表資料であり、PR誌が企業の文化や社会性などにウェイトを置いたツールであるのに対して、ニュースレターはあくまでも企業活動の情報開示を目的としている。 公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会│PR用語ミニ辞典
「プレスリリース・ニュースリリース」と「ニュースレター」の比較
ニュース性 | 具体例 | |
プレスリリース ニュースリリース | 必要 |
|
ニュースレター | 必要ない |
|
ここまでのまとめ
プレスリリースとは・・・企業や団体などが自らについてニュース(新しい情報)を報道機関へ情報発信する「公的文書」のこと。
客観的な第三者目線で報道されるため、信頼度の高い印象を読み手に与えられる。
また、広告と比較して低コストで実施可能だが「ニュースレター」とは異なり、新しい情報が必須。
プレスリリースの目的・効果
では、プレスリリースに期待される1番の目的・効果とは、どのような点になるのでしょうか? 本項では大きく分けて、- ステークホルダーとの良好な関係の構築
- 認知・売上につながる宣伝効果
ステークホルダーとの良好な関係の構築
プレスリリースは、広報活動の基本であり、主な目的は「従業員や株主、消費者などのステークホルダーに活動内容などを理解してもらい、より良い関係を築く」という点にあります。 そして、ステークスホルダーとの良好な関係構築の先に後述する様々な「宣伝効果」を得られるため、各企業が積極的にプレスリリースを配信しているのです。認知・売上につながる宣伝効果
プレスリリースがメディア各社の目に留まると、「ニュースサイトに掲載される」「テレビで紹介される」など、様々な「宣伝効果」に期待できます。 プレスリリースがもたらす代表的な宣伝効果は、以下の通りです。- ブランディング・ファンの獲得
- 売り上げの拡大
- 投資・融資
- ビジネスチャンス
- ステークホルダーからの良い印象
- 優秀な人材の採用
- 社内の活性化
プレスリリースのメリット
プレスリリースの具体的なメリットには、以下の内容が挙げられます。低コストで実施可能=費用対効果に優れる
プレスリリースを自社で行う場合であれば、配信に掛かる通信料等のみという低コストで実施可能です。 また、配信代行サービスを利用する場合も、1配信・30,0000円~程度が一般的な価格帯であるため、広告と比較しても圧倒的な低コストで収まります。 さらに、プレスリリースに興味を持ったメディアから取材や掲載依頼が入れば、追加費用なしで情報拡散のチャンスが得られるなど、高い費用対効果を期待することができるでしょう。メディア掲載による認知効果
プレスリリースをきっかけにメディアから紹介されれば、より多くの人々に自社情報を知ってもらうきっかけになります。 特に、最近は一般消費者がプレスリリースを直接見る機会が多いので、記事化に繋がらなかったとしても検索流入などをきっかけに、一般消費者に認知される機会が増えるでしょう。企業の信頼性が高まる
プレスリリースは、メデイア向けに発信する「公的文書」あることから、記者にとっては記事を書くための資料にあたります。 主観的に伝えたい内容をアピールする広告とは対照的に、メディア担当者(=報道機関の記者)が第三者視点から客観的に事実を伝えることになるので、信頼度が高い情報として一般消費者(読者や視聴者)に受け取ってもらいやすいのです。 また、「メディアに取り上げられた」という実績自体にも箔が付くため、企業や商品への信頼も高まるでしょう。業務提携や投資のきっかけに
プレスリリースで情報が届くのはメディア担当者や一般消費者だけではありません。 自社のサービスや活動に興味を持った他の企業との業務提携に発展したり、投資家の目に留まれば支援してもらえたりと、多方面から注目される可能性もプレスリリースの大きなメリットです。今後のマーケティングに活かせる
プレスリリースに対する反響を分析することで今後のマーケティングに活かせる重要なヒントが得られることもあります。 中でもメディアからの紹介実績は、プレスリリースの情報が消費者ニーズやトレンドにマッチしているかを知る重要な指標になるでしょう。 また、プレスリリースの配信代行サービスでは、メディアからのフィードバックを受けられることもあるので、今後の企画や広報PRの参考にすることができます。プレスリリースのデメリット
一方でプレスリリースには、以下のようなデメリットも挙げられます。記事の内容はコントロール出来ない
プレスリリースは、あくまでメディアが記事を書くための資料にあたるため、どのような情報を使うかを決定するのもメディアです。 あらかじめ記事化に関する指示は出せないため、基本的に内容をコントロールすることができません。 (※なかには記事の確認でやり取りをしてくれるメディアもあります。)記事になるとは限らない
メディア担当者のもとには、毎日大量のプレスリリースが届いており、実際に記事になるのは一握りです。 「プレスリリースを送った=記事の確約」ではないため、メディア掲載までは地道な活動が必要です。 しかし、メディアの記事化に繋がりやすいプレスリリースの書き方はノウハウとして存在します。 以下の記事で詳しくご紹介していますので、ぜひご参考にしてみてください。 関連記事プレスリリースの実施フロー
それでは最後に、プレスリリースの実施フローについて順を追って解説していきます。 実際にプレスリリースを作成する際のご参考にしてください。はじめに:プレスリリースで配信できる内容
まず大前提として、プレスリリースで配信できる内容について触れておく必要があるでしょう。 プレスリリースは端的に言うと「新しい情報(ニュース性)」でさえあれば、基本的に配信可能です。 守る必要のある体裁・ルールなどは多少ありますが、その型に当てはまっていれば出せない内容は特にありません。 代表的なプレスリリースの内容は、以下の種類に分類できます。- 新商品/新サービスの発表
- 既存商品やサービスの拡充(リニューアルなど)
- サービス改定/価格変更
- イベントやキャンペーンの開催告知・開催報告
- 調査結果の発表(市場調査など)
- 業績の発表(利用企業○○社突破など)
- 他社との業務提携
- 会社合併、新会社設立
- 人事関連(社長交代など)
- 決算、株主関連の報告
情報収集・ネタ作り
プレスリリース配信で最初にすることは、情報収集・ネタ作りです。 情報収集・ネタ作りの段階では、- 情報鮮度を高める
- ニュース性を取り入れる
- 明日発売!「弾ける新食感グミ××」○月○日よりコンビニ限定販売(明日の日付)
- 「はじける新食感グミ××」○月○日よりコンビニ限定販売中(先週の日付)
- 新規性
- 社会性・公共性(時事性)
- 希少性
- トレンド性(話題性)
- 記念日・季節性
プレスリリースの作成 〜情報整理〜
プレスリリースをメディア担当者に取り上げてもらうためには、- 興味を持ってもらう
- 読んでもらう
- 理解してもらう
プレスリリースの作成 〜基本構成に当てはめる〜
情報の整理ができたら、プレスリリースの基本構成に情報を当てはめていきます。 一般的に、プレスリリースを構成する要素は以下の通りです。- 冒頭:「報道関係者各位」などを記載する定形
- 見出し(タイトル):記者・編集者に興味を持ってもらう上で最も重要
- リード文:全体内容が掴める導入
- 本文:「概要」「特長」を文章で詳しく紹介
- 文末:「会社概要」や必須の「問い合わせ先」
- 画像・補足資料:視覚的訴求やインパクトのある画像で目を惹く
プレスリリースを送付 〜主な送付方法〜
一般的なプレスリリースの送付方法には、以下4つが挙げられます。- FAX
- メール(テキスト/HTML)
- 郵送
- 記者クラブ