「ESG」のプレスリリース事例集|書き方で良かったポイントも解説

ESGとは、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance) この3つの英単語の頭文字を取って作られた言葉です。
近年、ESGへの関心は世界的に高まっており、企業の社会的な責任や持続可能な経営に対する説明が求められる機会も増えています。
本記事では、ESGに関するプレスリリースで反響の大きかった事例と、書き方で良かったポイントについて解説します。

ESGのプレスリリースに大きな反響がある理由

2023年度より上場企業など有価証券報告書の提出が必要な企業は、ESG関連の情報開示が義務付けられ、その取り組みの重要性は高まっています。
このような政府の動きもあり、ESG経営に関連する情報は生活者から関心を持たれるようになりました。
メディアは読者や視聴者の関心が高いトピックを取り上げる傾向があり、ESGに関連した企業の情報を広く伝えます。
プレスリリースで発信した情報がメディアを媒介し生活者へ届けられた結果、その内容が大きな反響を呼ぶことがあります。

プレスリリースの事例紹介

ここからは、実際に「@Press(アットプレス)」から配信され、反響の大きかったプレスリリースをご紹介します。

事例1. 気候変動への対応

ユニ・チャーム株式会社は中長期ESG目標として気候変動対応を掲げ、「ユニ・チャーム、「マレーシア工場」「スリシティ工場」に 太陽光発電設備を導入」というタイトルのプレスリリースを配信しました。

プレスリリースには、以下の内容が含まれています。

  • 2つの海外工場に、太陽光発電の設備を導入
  • 2つの工場合計で「年間約8,480トン」CO2の排出を削減
  • 2030年までに、事業展開に用いる電力を100%再生可能由来に切り替えることを目指す

企業の取組みについて「定量的な目標や実績を具体的に記載」することで、ステークホルダーが企業を評価する際にパフォーマンスをより正確に把握できる書き方なのがポイントです。

また、難しい業界用語には解説を入れているため、業界外のメディア・生活者に対して配慮されたプレスリリースとなっています。

事例2. 地域経済活性化

続いては積水ハウス株式会社とマリオット・インターナショナルが連名で出したプレスリリースです。
「インバウンド復活年1軒目の道の駅隣接型 「地域経済活性化ホテル」が但馬エリアに開業! フェアフィールド・バイ・マリオット・兵庫但馬やぶ 地域連携ワーキングチームの取組を発表」

プレスリリースには、以下の内容が含まれています。

  • 開業を記念し、オープニングセレモニーおよび内覧会を実施
  • 開業の背景(宿泊日数や滞在時間が短く、旅行消費単価が低い事が課題だった)
  • 目標(地域経済の活性化を促進することを目指している)
  • セレモニー登壇者のメッセージ
  • ホテルの概要

ESGの課題(問題提起)→解決策→今後の目標の流れで、ストーリー性があり読みやすい、というのがこちらのプレスリリースの特長です。
また、経営層(登壇者)によるメッセージを「実名入り」で記載することは、メディア担当者がプレスリリースを見たときに情報の信頼性が高くなります。

事例3. 雇用創出

株式会社ベルシステム24は、「ベルシステム24、福岡での業務拡大および拠点間連携強化を 目的とした「福岡第6ソリューションセンター」を開設~福岡県内で6拠点を展開、6,000名超の雇用を創出~」というタイトルのプレスリリースを配信しました。

プレスリリースには、以下の内容が含まれています。

  • 博多駅前に新拠点を開設
  • 今回の拠点展開で約350人の雇用創出を見込んでいる
  • 今後の方針(従業員の働きやすさや地域特性に合わせた拠点展開)

こちらのプレスリリースは、目標や行動理念に対しどのくらいの実績を上げたかを数値で表しているのがポイントです。
また、プレスリリースのテーマは「センターの開設」のため、メインタイトルにはESGに関するキーワードは含んでいません。
主張しすぎずサブタイトルに盛り込むことでも、読者の関心を高めつつESGに対する取り組みのアピールが可能です。

事例4. ダイバーシティ

株式会社ビヨンドは「仮想空間で学歴・性別・年齢不問の「メタバース面接」  24卒エンジニア採用、VRゴーグルを着用し仮想空間で一次面接!」というタイトルのプレスリリースを配信しました。

プレスリリースには、以下の内容が含まれています。

  • 新卒採用で「メタバース面接」を実施することの発表
  • 実際の面接方法
  • メタバース面接の目的(多様性を重視し、学歴や性別などのフィルターをかけずに選考)
  • 過去の内定者の実例

取り組み自体も珍しい内容ですが、「メタバース」「VR」など、今引きの強いキーワードが散りばめられているのがポイントとなっています。

事例5. 健康経営

オーエス株式会社は「【2022年度総括】OSグループ健康経営の取り組みについて」というタイトルの調査リリースを配信しました。

プレスリリースには、以下の内容が含まれています。

  • 2022年度の取り組みで行った施策の総括(健康診断や食生活見直しのための社内セミナー、禁煙チャレンジなど)
  • 社員を対象とした健康経営に関するアンケート結果
  • その他、企業の健康経営の方針が表彰されたことなど

数字やグラフを活用し、施策の効果・結果が具体的に表現されていたため読みやすいプレスリリースでした。

「ESG」のプレスリリースを作成するときに抑えたいポイント

メディア(記者・編集者)や、その先にいる生活者の関心を引きつけるためには、プレスリリースの書き方を工夫することが大切です。
ここからは、ESGのプレスリリースを書く上でのポイントをご紹介します。

定量的な目標・実績を記載

目標や実績を数値化してプレスリリースに含めることで、企業が取り組むESG経営の具体性と進捗状況を示すことができます。
メディアやステークホルダーが読んだときに「企業がこの活動にどのくらい力をいれているのか」を読み解く際の足掛かりとなるため、持っている情報は積極的に盛り込むことをおすすめします。

ストーリー性のある経営戦略

ESGの取り組みを経営戦略と結び付け、ストーリー性を持たせることで、読者(メディア担当者)に興味や共感を与えることができます。
また、その関連性をより明確にし、企業の取り組み・方針がどのように社会課題の解決に貢献しているかを伝えると効果的です。

「誰の言葉か」が分かる

プレスリリースに経営者や関係者のコメントを盛り込み、ESGに関する取り組みの責任の所在を明確にします。
メディアが記事を取り上げる前に情報収集や深堀りをする際にも、信頼性や説得力が高い情報だと認識されるため記事掲載にも繋がり易くなります。

新奇性

ESGの取り組みが企業独自の施策だったり珍しい内容の場合、強調することでプレスリリースが注目され易くなります。
新たな取り組みやイノベーションがある場合は、その特徴や差別化ポイントを積極的に盛り込むと効果的です。

サブタイトルの活用

プレスリリースのメインテーマがESGに関する内容ではない場合、サブタイトルを活用することをおすすめします。
サブタイトルを付けるメリットは、「読者・記者がプレスリリースの本文を読む動機」を与えることです。
特に、ESGの情報など社会性があるキーワードは斜め読みした場合でも目に留まりやすいため、プレスリリースの本文にアクセスしてもらいやすくなります。

難しい用語の解説

企業が発信するESG経営の情報には、業界専門用語や略語が多く含まれている場合があります。
専門用語を適切に解説し、ESGに関する理解を促進することで、広い層の読者に訴求力を持つプレスリリースが作成できます。

さいごに

ESG経営は単なる社会的な義務だけでなく、企業の長期的なビジネス価値向上にもつながると認識されており、投資家や顧客からの支持を得るためにも積極的に発信するべき情報だとされています。

また、取り組みを行う企業は「環境や社会に対してポジティブな影響をもたらす」ことが期待されているため、生活者が持つ企業に対する信頼性を高めブランド価値の向上にも寄与します。

プレスリリース作成のポイントを抑えて、ESGの情報を効果的に発信していきましょう。

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