本記事を読んでくださっている皆さんは「社内広報」をされていますか?
社内の従業員や家族に向けて自社に関する情報を発信する「社内広報」は、広報活動において重要な業務の一つです。
今回は、ひとり広報さん・初めて広報業務を担う方が抱いているであろう「社内広報って具体的に何をするの?」「社内広報のメリットって何?」といった疑問を解消するため、業務内容や目的、役割を紹介していきます!
目次
社内広報ってなに?
社内広報は、企業が自社の従業員や従業員の家族に対して社内の情報を共有するために行う広報活動の一つです。会社と従業員がお互いに理解を深めるために社内コミュニケーションを取る「エンプロイー・リレーションズ(別称:ER)」の一つとされ、別名「インナーコミュニケーション」「インターナルコミュニケーション(別称:IC)」と呼ばれることもあります。
社内広報の目的
社内広報の目的は、社内に向けた情報発信やコミュニケーションを促進することです。
会社が飛躍的かつ持続的に成長していけるようにするためには、従業員一人ひとりが会社の企業理念や経営目標を理解し、自律的に動けるようにしていく必要があります。日々アップデートされていく経営情報や、企業文化の醸成・浸透を共有するための手段といえます。つまり「社内広報」とは、会社と従業員を繋ぐ役割を担っているのです。
社外広報との違い
社外広報の目的は、会社の“外”に向けてサービス・商品・企業知名度を発信してファンを獲得する、すなわち“売り上げに貢献すること”です。会社自ら「私たち(会社)はすごくいい企業です!」「私たち(会社)は良い商品・サービスを出しています!」とPRするために、広告やプレスリリースなどの手段を使って社外へ発信していきます。
社内広報…会社と従業員を繋ぐ(コミュニケーション)役割
社外広報…会社の売り上げを伸ばすための役割
社内広報と社外広報では目的・役割が異なるため、業務内容も大きく異なってきます。
社内広報のメリット
社内広報は活用方法によって、従業員の意識改革・会社として強い組織づくりに大きく貢献します。主な3つのメリットをご紹介します。
従業員が自律的に経営ビジョンに向かって動くことができる
日々アップデートされていく経営情報・経営陣の考え/方針を定期的に発信していくことで、従業員が自律的に会社のビジョンを見据えて働くことができます。
従業員のモチベーションアップに繋がる
社内広報は活用方法によって従業員のモチベーションアップに繋げることができます。優秀な従業員を表彰する年間MVPや社内広報誌を使った従業員インタビューが例としてあげられます。MVPを獲得した従業員はさらなる高みを目指し、獲得できなかった従業員はMVP獲得に向けてさらなる努力のキッカケとなります。従業員の目指すべき方向の統一・モチベーションアップを目的に社内イベントや、表彰制度などを積極的に企画していきましょう。
他部署との交流のきっかけに繋がる
部署という一種の“チームで働く”体制は、時によって人間関係やコミュニケーションに偏りが出てしまうことも少なくありません。他部署で働く従業員の紹介だったり業務内容・成功事例などを共有していくことで、他部署の従業員に対しても仲間意識が芽生えます。同じテーマでふとした時に話すことができたり、部署内で解決できない問題を他部署に相談するキッカケづくりに繋がるでしょう。従業員同士のコミュニケーションが活発になると業務も円滑になり会社として強い組織の実現に繋がります。
社内広報がなかったら起こりえる問題
社内広報が存在しない場合、会社のなかで「知らない(知らなかった)」が発生します。「知らない」が以下の問題を引き起こしてしまう可能性があります。
他部署の現状把握が難しくなる
規模が大きい会社の場合、他部署の情報を把握する機会が減るため、同じ会社にいながら組織として互いの状況を知らない状態が発生する可能性があります。各部門でしか情報を所持していない状態だと、部門間の連携が上手くいかず情報伝達に支障が出るなど、業務がスムーズに進まないという事態にもなりかねません。
経営陣の考え・方針が浸透しない
会社は“生き物”です。日々アップデートされていく経営情報、世の中の動きに合わせて変動する経営陣の考え/方針に従業員の頭がアップデートに追いつかない事態が生じます。常に情報をアップデートしてスピーディーかつ正確に従業員へ共有していかなければ、組織統制の破綻に繋がりかねません。
従業員の不満に繋がりやすい
「うちの会社ってこんな福利厚生/社内イベントがあったの!?」という従業員の方いるのではないでしょうか?「知らない」が積み重なると従業員のモチベーションダウンや離職に繋がる可能性があります。
社内広報で伝えるべき情報
社内行事/イベント/福利厚生
従業員が直接関係のある情報について「知らなかった」「教えてもらっていない」という事態が発生しないようにすることが大切です。常に情報を発信していくことで“従業員思いの活気ある会社”だと従業員へ向けてアピールできます。
企業理念/経営情報
会社の公式サイトに掲載されている言葉ではなく、経営陣が自らリアルタイムで自身の考えや方針を伝えることが会社にとって重要事項になります。
会社の数字
全体の売り上げや会社としての状況を数値化して共有することで従業員が会社の現状を把握できます。
自社サービス・商品の発表
会社が展開しているサービス・商品を従業員全員が把握することができます。
競合他社の動向
会社が業界内で置かれている環境を知るのに役立ちます。
社内広報の指標
社内に対する広報活動は定性的な成果が多く効果測定が難しいところではありますが、定量的な数値で判断することが大切です。以下は、社内広報の指標として使われる一例です。
- 社内報の読了数(率)※ WEBの場合はPV数
- 社内広報が主催する会社のイベント参加数(率)
- 会社に対する従業員の満足度
- 企業理念/経営情報の浸透数(率)
従業員の満足度や企業理念/経営情報の浸透率については、アンケートフォームを活用して実施することを推奨します。「理解」「共感」「満足度」の3つのポイントを押さえた項目を設けて従業員に回答してもらうようにしましょう。
社内広報の具体的な仕事内容
社内広報の業務内容は目的によって多岐にわたります。今回は大きく3点ご紹介します。
社内報の発行
各部署の取り組みや成果・経営陣の方針など、いわゆる“社内動向”を発信するために発行します。社内広報にとって「社内報」は会社と従業員がコミュニケーションをとるための常套手段といってもいいでしょう。
メディアからの取材報告
会社のサービス・商品・従業員がメディアに取材されるということは“世間の注目を浴びる”ことになります。取材報告を周知することで、従業員のモチベーションアップとサービス・商品の信頼に繋がるため社外広報と営業担当に貢献できます。
参考: ソーシャルワイヤー株式会社_【メディア掲載】「JobQ(ジョブキュー)」に掲載されました
社内イベントの企画・運営
社内イベントは「従業員のモチベーションアップ」「従業員同士の交流」「企業理念の浸透」を目的に実施されることが多いですが、企画ごとにテーマと開催にあたって期待される効果を想定し、かつ“従業員が参加したくなるイベント”を意識して運営していくことが重要です。会社の雰囲気に合ったイベントであれば、企画内容の大小関係なく楽しいイベントとして発信していきましょう。
「社内報」を発行するためには何をしたらいいの?
いざ「社内報」を作ることになった場合、何から始めたらいいのかをみていきましょう。
ゴール(目的)を設定
社内報を作る前に「社内報のゴール(目的)」を決めておくとテーマがブレず進めやすいです。会社によって目的は様々ですが、
- 企業理念/経営情報の浸透
- 自社サービス・商品情報の共有
- 社内コミュニケーションの促進
- 会社の「知らない」を防ぐ
などが例としてあげられます。
社内報の発行方法を決める 紙?WEB?メール?
社内報は冊子(紙)が主流でしたが、利便性や昨今のリモートワーク導入企業の増加からWEB社内報やEメール社内報も増えてきました。ここで紙、WEB、メールそれぞれのメリット・デメリットを見てみましょう。
紙
- PCを使用しない従業員にも読んでもらいやすい
- 従業員の家族に共有できる
- 配送コストが発生する
- 読了数(率)が測定できない
WEB
- SNS・動画と連携できる
- 効果測定ができる
- 閲覧するためのデバイス(スマホやPCなど)が必要
メール
- 速報性がある
- 外部閲覧ができる
- 一人ひとりに届けることができる
- 閲覧するためのデバイス(スマホやPCなど)が必要
- 業務メールに埋もれて見落とされる可能性がある
社内報の発行を検討されている広報担当者は、各媒体のメリット・デメリットを理解した上で、会社のルール・従業員の働き方を考慮した“読まれやすい方法”で発信していきましょう。
社内報の企画例
社内報は、従業員をメインにした企画が最も親しみやすく読まれやすい傾向です。
例として以下のようなコンテンツがあげられます。
- 新入社員/内定者の紹介、インタビュー
- 会社内の表彰者インタビュー
- 各部署の仕事内容に密着
- 社長/経営陣インタビュー
- 季節に合わせた取り組みや豆知識
社内広報に活用できるツール
LINE WORKS(ライン ワークス)
「 LINE WORKS(ライン ワークス) 」は、ワークスモバイルジャパン株式会社が提供する“ビジネス向け”SNSです。組織全体に情報共有できる掲示板機能、従業員の予定共有・業務の依頼機能など、ビジネスに特化したチャットツールです。プライベートのLINEアカウントとは別でビジネス用アカウントが作成可能であり、使用方法もLINEと大きく変わらないためレクチャー不要で導入できます。
Office 365(オフィス365)
「Office 365(オフィス365)」は、マイクロソフトが提供するMicrosoft Office製品ラインのサブスクリプションサービスです。 Office 365内で、ファイル共有・情報共有を目的とした企業向けサービス「 Share point (シェアポイント)」を活用すれば、社内広報の業務をより円滑に構築することが可能になります。
さいごに
社内広報は、会社と従業員を繋ぐ役割を持った重要なポジションです。しかし、従業員に「興味が無い」「社内広報は不要だと考える」「情報共有されていない」と思われたら意味がありません。従業員に自社に興味を持ってもらえるよう、会社の“色”とニーズ・時代の変化にマッチした“自分たちだけのオリジナル社内広報”を考えていきましょう。まずは社内広報を担う方が“楽しい”と思えることが大切だと筆者は考えます。
参考記事: