テンプレートに沿ってプレスリリースを作成したし、必要な情報も揃っている…それなのに何故か書き上げたプレスリリースに物足りなさを感じることはありませんでしょうか。
今回の記事では、そんな時によりプレスリリースの完成度を高めるために是非見直していただきたい「リード文」と「小見出し」について解説します。
目次
パッと見で全体像が掴めるか
プレスリリースを送る以上、受け手には自社のプレスリリースに興味を持ってもらい、きちんと中身を読んでもらいたいですよね。ですがメディアは時間がない中、新しい情報を求めてプレスリリースに目を通しています。そのため、一字一句すべてを読み込む時間はなく、まずはタイトルで興味があるかないかを判断し、本文まで目を通すプレスリリースを絞り込みます。
最初の関門をクリアし、本文まで読むと残されたからといって安心はできません。限られた時間の中で多くの情報を得るためにメディア編集者や記者は「斜め読み」で更にプレスリリースを絞っていきます。
短時間で要点を掴む「斜め読み」
「斜め読み」とは速読法の一種で、目を付けるポイントを絞ることで短時間で情報の全体像や方向性・要点などを掴み、素早く情報収集をするための手法です。
書籍を「斜め読み」する方法として、以下手順が紹介されています。
【斜め読みの方法】
斜め読みとは? 素早く情報収集する基本テクニックを解説
1. 目次を読む
2. 前書き・後書きを読む
3. 見出しを読む
4. 詰まったら目次に戻る
5. 3と4を繰り返す
プレスリリースに置き換えて考える際、もちろんタイトルで本題の重要ポイントが明白であることや、読み手の興味を惹くものであることなどは大前提ですが、興味惹かれいざ本文を見てみたら見出しなどが無く文章がぎっしり数ページにわたって綴られている…となると読み進める気が失せることは想像に容易いかと思います。
受け手が「斜め読み」を用いることを想定し、書籍をプレスリリースに置き換えて考えた時「リード文」と「小見出し」の2点を意識してプレスリリースを書くことをおすすめします。
「リード文」はプレスリリースのまとめ
「リード文」とは
「リード文」とは、プレスリリースの冒頭に記載する第1段落(文章にして2~3文)を指します。リード文では、プレスリリースの5W5H「5W(WHO:誰が、WHAT:何を、WHEN:いつ、WHERE:どこで、WHY:なぜ)5H(HOW:方法、HOW MUCH:金、HOW MANY:数、HOW LONG:時、HOW in FUTURE:将来)」を元に、プレスリリースの趣旨をまとめて伝えつつ、読み手に興味を持ってもらうことが目的となる重要な文章です。
いいリード文に欠かせない3つのポイント
1. 取捨選択して簡潔に
「リード文ですべてが判断されてしまうなら、情報を詰め込まないと!」とあれもこれもと情報を入れ込むと、かえって何が重要であるのか見えなくなってしまいます。また削ぎ落し過ぎても伝えたい情報が伝えられません。5W5Hの中でも、全体像を掴んでもらうために必要な情報の優先順位を設けて、取捨選択するようにしましょう。
2. 数字を用いて具体的に
「興味を惹きたい」と考えた時「すごい」「速い」「美味しい」など形容詞を用いた文章を書かれる方がいらっしゃいますが、これら表現は抽象的で読み手からすると何も具体的なイメージが湧きません。重要なプレスリリースのリード文で、具体的なイメージを読み手に与えることが出来ないのは致命的です。必ず数字を用いて、具体的にどのように「すごいのか」「速いのか」「美味しいのか」が読み手に伝わるように記載しましょう。
3. 会社の事業内容を添える
プレスリリースは「株式会社○○は、~~」と書き出すものである、と思われている方も多く見られますが、世の中の誰もが企業名だけでどういった事業を行っているどのような企業であるのかご存じでしょうか?企業名だけできちんと会社をイメージしてもらえる企業はほんの一握りだと思いますので、しっかりとどういった事業を行っている企業なのか「会社の説明」を添えるようにしましょう。
■3つのポイントを踏まえたリード文
<変更前>
株式会社ABC(所在地:東京、代表:阿井 上夫)は、従来のスピード印刷をパワーアップしたすぐに届く新サービスを提供開始します。
<変更後>
オーダーメイド制作のスピード印刷に特化したサービス「○○工場」を運営する株式会社ABC(所在地:東京港区、代表:阿井 上夫)は、従来比2.4倍のスピード印刷を××技術導入で実現し、当日発送でオーダーメイド商品をお届けする新サービス「△△△」を、2020年11月16日(月)から提供開始します。
「小見出し」はプレスリリースの目次
「小見出し」とは
「小見出し」とは、各段落の頭に付ける見出しを指し、レイアウト上で段落の区切りを分かりやすくするものです。プレスリリースにタイトルを付けるのと同じように「各段落に付けるタイトル」と考えていただくとイメージしやすいかと思います。小見出しを段落に設けることで、書籍の目次のようにプレスリリースのどの箇所にどういった内容が書かれているのかを一目で知ることが出来ます。
意外と大きな変化をもたらすその効果
上の画像は、「リード文」で用いた例文をを元に【本サービス提供背景】という項目の中で<左>は小見出しなし・<右>は小見出しありにしたレイアウトサンプルです。小見出しがない場合は読み込まなければ「提供背景」が何なのか分かりませんが、小見出しありの場合は「ユーザーからの要望があったこと」「パワーアップを実現した新技術について」が書かれていること/そしてその情報がどの段落に書かれているのか一目瞭然です。
斜め読みをするメディア編集者や記者にとって、プレスリリース内の小見出しは、一目でどこにどういった情報が書かれているのかを示し、短時間での情報収集に大いに役立つ大きな効果を持ちます。
さいごに
プレスリリースでは「タイトル」や「本文」に気を取られがちですが、受け手であるメディア編集者や記者の立場に立って「いかに要点を伝わりやすくするか」を意識した小さな工夫は意外と大きな違いを生みます。改めて「このプレスリリースを見て一目で全体像が分かるだろうか」という視点からリード文や小見出しを見直し、より目に留まる完成度の高いプレスリリースの作成にお役立てください。