「プレスリリースを配信する」まずはこの段階まで進むことが1つ目の関門かと思います。ここまで到達した人に次現れる関門は「プレスリリースを送った結果、どうだったのか」それを知るための効果測定です。
「プレスリリースの結果」を何で測るかは「プレスリリースの配信が何を目的にしていたのか」に応じて異なりますが、この記事では一般的・基本的な「プレスリリースの効果測定」について解説します。
目次
効果測定とは
効果測定とは、その言葉の通り広報活動(今回の場合、プレスリリース配信)によってどのような効果がどれだけ得られたのかを測定することを意味します。効果測定の重要性は認識されていても、プレスリリースの特性上、効果測定が難しいことから上手く活用できている企業は多くはないのが現状です。
効果測定の基礎知識
従来、プレスリリースの効果測定は配信を行った結果の「メディア掲載記事数」や「商品の売り上げ上昇率」などの数値を算出する方法が取られていることが多く見られました。しかし、昨今では売り上げなどの社内数値のみでなく、PV数・SNSでの波及数・口コミなど時代の変化に合わせて、追う数字の多様化が見られてきています。
プレスリリースの効果測定はなぜ難しいのか
効果測定が難しいとされる最大の理由は「記事になるタイミング=配信直後とは限らないため」といわれています。また、メディアが取り上げる題材は多くの場合「時勢/トレンド」などの外部環境に影響されることも大きな要因です。
例えば、メディアに取り上げられにくくなる外部環境の一例として、地震や火災などの緊急を要するニュースが突発的に入った場合、メディアは元々予定していたニュースを報道せずに緊急ニュースを発信します。また逆に、取り上げられやすくなる外部環境の一例としては、時期的に旬の情報であれば昨年配信した商品情報にたどり着き「○○特集で取り上げてもいいですか?」などの連絡が入るケースもあります。
効果測定の目的・意義
効果の確認
文字通り、プレスリリースを配信した結果の効果を知るために測定する意義があります。「効果測定は難しい」とはいえ、プレスリリースを打ちっぱなしにするのではなく、配信した結果を確認することは重要です。測定できる「効果」は様々ありますが、前述したようにプレスリリース配信が何を目的にしていたかによって、主にどの効果測定結果を確認すべきか変わってきます。よく使われる効果測定の種類は後述しますが「数値」として測定できるものが、一般的に効果を可視化する方法となります。
今後に活かす改善点・継続点の収集
「効果測定」をする目的は効果を確認すること、だけではありません。実際にどのような効果が得られたのかを把握することも大切ですが、真の目的は、これからの広報活動に活かすための改善点・継続すべき点などの情報を収集することです。
プレスリリースを配信し、掲載が得られないと「無駄になった」と思われる方が一定数いるかと思います。しかし、配信後に同時期掲載されていた記事と自社のプレスリリースとではどういった相違点があったのか等、掲載記事の確認⇒振り返りを実施することで「改善点」という大きな知識を得ることができます。メディアに掲載されていなければ「なぜ掲載されなかったのか」、掲載されていれば「どこがメディアに受けたのか」それぞれを確認⇒振り返りを実施し、「次の改善点」「今後の継続すべき点」のように成功の法則を知識として蓄積していきましょう。
効果測定の種類
メディア掲載数
比較的イメージがしやすい効果かと思いますが、プレスリリースを配信した結果としてテレビ・WEB・新聞などのメディアに取り上げられた数を効果として数値化する手法です。
精度は落ちますが、例えばWEB上の大体の掲載数をGoogle検索で確認することからでも、まずは取り掛かることが可能です。地方紙やニッチな雑誌など、どのメディアに取り上げられるか確実に把握することは出来ないため、自社で高精度な調査をすることは難しいです。もし高精度での調査を希望される場合は、調査を専門とする「クリッピングサービス」を活用されることでWEB・新聞・雑誌・テレビ・SNSなど、幅広く調査をすることも可能です。
<簡単な測定方法>
・自社でGoogleなどの検索エンジンを用いて調査
・クリッピングサービスを利用する
売上・集客数
プレスリリース配信で、直接的に売上額や集客人数がどれだけ増えるかを測定する手法です。
例えば、既存商品のキャンペーンに関するプレスリリースや、イベント集客、コンテストへの参加者募集などのプレスリリースを配信した場合「メディア掲載数」よりも社内的な数字である売上・集客数などの数字がより測定したい「結果」であるケースに用いられることが多いです。
<簡単な測定方法>
・単純にプレスリリースの配信前後での数値変動
・URLにパラメータを追加し、Google Analyticsなどを用いて数値をカウント
PV・自社サイトへのアクセス数
プレスリリース配信で、検索された結果サイトPVが増えた・動画の再生回数が伸びたなど、人の目に触れた回数を測定する手法です。
最近は、プレスリリースを単純に「メディアへ限定した情報発信」と捉えず一般消費者への情報発信の機会と考えることも増えてきています。そのため、メディアが記事を掲載した場合はもちろん、取り扱わなかったとしても直接消費者からのアクセスを期待する場合などに測定したい数値です。
<簡単な測定方法>
・Google Analytics、Google Search Consoleなどを用いて、配信以降とそれ以前の数値の比較や、参照元などを確認
SNS波及・エンゲージメント数
プレスリリース配信で、SNSでその内容が話題になっているか/その内容に関する投稿への反応(いいねやRT、コメントや返信など)を測定する手法です。
SNSの普及により、自社のSNSアカウントを持つ企業も増えてきました。また、認知度拡大に大きな影響を持つ「口コミ」も以前のように直接的な人づてのみでなく、SNSで話題になり「バズる」ことも。プレスリリースを配信した後、自社サイトのお知らせを更新するだけでなくSNSで新しく発表したお知らせを発信した場合や、記事の投稿への反応などを見たい場合に測定したい数値です。
<簡単な測定方法>
・それぞれのSNS投稿からエンゲージメントをチェック
・特定のキーワードで投稿数に変動があるかをチェック
広告換算値
広告換算値とは
広告換算値とは、掲載された記事を同じ枠で広告として出稿する場合、いくら広告費が掛かるのかを算出し「金額」として記事の価値を評価する、という広報・PRにおける一般的な効果測定の手法です。
算出方法
広告換算値を算出する方法として、シンプルなのは「広告/CM出稿料金」が存在するメディアである新聞・雑誌やテレビの場合。新聞や雑誌には、媒体ごとに「広告出稿料金=広告レート」があるため、記事の面積から広告換算値を算出するのが一般的です。また、テレビにおいてはCMの出稿料金を元に「放送された時間帯(朝・昼・夜など)」と「放送された時間(分秒)」を考慮して算出します。
一方、WEBの広告換算値の算出方法は「面積」「時間」などから算出できる新聞やTVなどと異なり複雑です。そのため、業界標準の換算方式はなく、PR会社やサービスによって異なります。サービスを利用する場合、どのような方法で算出されているのか、確認しておくといいでしょう。
なお、本サイト「PRHACK」を運営するプレスリリース配信サービスの「@Press」ではWEBの広告換算値の算出を以下の基準で実施していますので、ぜひ参考にしてみてください。
参考:広告換算とは
先述したよう、広告換算値以外にも「掲載数」「売上」「PV」など、プレスリリース配信の目的によって確認したい効果測定数値は様々あります。ただし、それらの数値はプレスリリース配信だけで変動するのではなく他にも数多くの要因があるため、一概に「広報活動の成果」として扱うのは難しいのが実情です。それを考慮した効果測定が「広告換算値」です。
PRHACKでは「WEBニュースサイトの広告換算手法」に関する算出方法を解説した資料(無料)をご用意しています。ぜひ、あわせてチェックしてみてくださいね!
さいごに
今回は広告換算値について、またその他にいくつかの効果測定をまとめてみましたが、繰り返し記載をしているように「何を目的にプレスリリースを配信したのか」によって、効果を測定する上で見るべき数値は異なってきます。
広報活動を続けるに連れて「量」(たくさん露出されることを優先)⇒「質」(例えば、1件であったとしても掲載を狙ったメディアにきちんと掲載されることを優先)へと、掲載に求める内容も変化していくこともあるように、その時々で自社の求めることが何であるのか・その結果を正しく測定するためにはどのような情報を得たいのか意識して、常にこれからの広報活動の改善・向上に繋げていけると良いですね。