「メディア配信」「メディアキャラバン」「メディア研究」など、広報・PRに携わると耳にしないことはないと言っていいほど切っても切れない存在である「メディア」。そもそも「メディア」とは何か、聞かれて上手く説明できる人は意外にも少ないのではないでしょうか。
今回の記事では、そんな広報・PRに欠かせない「メディア」について解説します。
目次
メディアとは
意味・定義
「メディア」という言葉は、普段の生活で使い慣れていますが、和訳すると「媒体」=〔一方から他方へ伝えるための橋渡しができるもの〕。用途としては「情報の記録するモノ・手段」「情報の伝達するモノ・手段」2つの意味を持つため、幅広い物事に対して用いることの出来る言葉ですが、広報・PRとの接点から考えると「メディア」とはつまり、情報と視聴者・読者を橋渡しするもの、を指すと言えます。
「メディア(media)とは、主に「情報伝達を媒介する手段」あるいは「情報伝達の媒介者」という意味合いで用いられる語である。単に「メディア」とだけ呼ぶ場合は「マスメディア」の意味で用いられている場合が比較的多い。
weblio辞書
また、上記辞書での説明のよう「メディア=マスメディア」の意味で用いられることが多いですが、ご存知のようにインターネットやSNSなどの発展・普及によりメディアの種類は増え、やや曖昧な使われ方をされているケースも多くなってきているのが現状です。
メディアの種類
メディアは元来「マスメディア」と称される、新聞・ラジオ・テレビ・雑誌の4大メディアが主流でしたが、現在はインターネットの発展・普及で「ネットワークメディア」が新たに誕生し、大きく分けて以下2つの種類に分類することが出来ます。
詳細は後述しますが、「マスメディア」「ネットワークメディア」それぞれの種類や特徴は以下となります。
マスメディア | ネットワークメディア | |
種類 | 新聞・ラジオ・テレビ・雑誌 | ウェブメディア・ソーシャルメディア |
特徴 | 一方向で大人数へ情報発信 | 双方向で情報拡散 |
① マスメディア
マスメディア(mass media)とは「マス(mass)=大衆」の言葉通り、一般大衆に向けたメディアを意味します。一般的には4大メディアと称される、新聞・ラジオ・テレビ・雑誌を指し、各メディアからそれぞれ不特定多数の視聴者・読者へ一方向で一斉に情報を発信するという特徴を持ちます。
マスコミとはマスコミュニケーション(mass communication)の略。
マスメディア(新聞・テレビ・ラジオ)を使って情報伝達を行うことを「マスコミュニケーション(略:マスコミ)」といいます。
人が「マスメディア(mass media)」を使って情報を受信する側「マス(mass)=大衆」に情報伝達を行うことを「マスコミュニケーション(mass communication)=マスコミ」といいます。マスコミを行う“機関の名称”として用いられることもあります。
4大メディアの特徴
1.新聞
新聞はテレビなど他のメディアと比較すると、速報性では劣りますが社会的信頼性が最も高いメディアであることが特徴です。また、五大紙と呼ばれる読売新聞・朝日新聞・毎日新聞・日本経済新聞・産経新聞の「全国紙」をはじめ、各県にある「地方紙」や「県を跨いだ」ブロック紙など、地域を区分けして情報を届けられる強みがあります。
2.ラジオ
ラジオは他のメディアと比較して即時性が高いのが特徴です。他にも「固定リスナ―(ファン)」がつきやすく、地域によって番組が異なることや、視聴番組の時間帯からライフスタイルも割り出しやすいためターゲットが絞りやすい傾向にあります。また、音情報のみのメディアである一方、別作業をしながら視聴できる特徴があります。
3.テレビ
テレビはメディアの中で最も身近で、映像・音があるため他のメディアと比較して視覚性が高いのが特徴です。視覚に訴えられることが強みであるため、「絵になるか」が他メディアと比べて重要視されやすい傾向にあります。東京にある主要放送局である、TBSテレビ・テレビ朝日・日本テレビ・フジテレビ・テレビ東京の「キー局」をはじめとする地上波の民間放送や公共放送のNHKほか幅広い放送局が存在します。若年層のテレビ離れが一時期話題となりましたが、ABEMAなどインターネットテレビの登場で多様化が進んでいます。
4.雑誌
雑誌は他のメディアと比較してターゲットが明確である特徴があります。ニュース・ビジネス・金融・ファッションなどそれぞれ専門分野に特化し、年齢・性別なども細分化されています。また、週刊・月刊・隔月刊・季刊・年刊などの刊期にて定期発行されています。
② ネットワークメディア
ネットワークメディアとは、インターネットの発展・普及で生まれたマスメディアに次ぐ「第5のメディア」で、2019年にはインターネット広告費がテレビ広告費を初めて超える(※)など市場としても急成長しています。ネットワークメディアは、大きく「ウェブメディア」と「ソーシャルメディア」の2つに分けることが出来ます。
※出典:電通│2019年 日本の広告費
インターネット広告費が2兆1048億円(前年比119.6%)、テレビ広告費 1兆8,612億円(前年比97.3%)を初めて抜いた。
ウェブメディア
ウェブメディア(web media)とは今でこそ当たり前となりましたが、インターネット上のメディアを指します。その中でも広報・PRとして認識しておくべきは、情報発信の経路が異なる「一次メディア」と「二次メディア」があること。
一次メディアは、様々な二次メディアへの情報提供を行っているため、多くのメディアへの露出を狙うためには一次メディアでの掲載獲得を狙う必要があります。
- 一次メディア
取材・寄稿記事などを独自で執筆したオリジナル記事を掲載する発信元となるメディア - 二次メディア
一次メディアが掲載した記事を二次掲載するメディア
ソーシャルメディア
ソーシャルメディア(social media)とは「ソーシャル(social)=社会的・社交的」の言葉通り、人と人とがコミュニケーションを取り合い社会的に交流していくメディアを意味します。一方向の情報発信である「マスメディア」と異なり、「ソーシャルメディア」は誰もが情報を発信出来るだけでなく、反応することが可能なため双方向で情報発信するメディアであることが大きな特徴です。
また、
- 情報発信を目的としていること
- 双方向で交流できること
これら2つの特徴により情報が広まりやすく「拡散・波及」に強いメディアです。
また「ソーシャルメディア」=「SNS」と誤認されている方が多いですが、SNS(social networking service)はソーシャルネットワークサービスの略称であり、会員登録などを行い提供される「サービス」であることがポイントです。下の図のようにSNSはあくまでもソーシャルメディアの一部で、同一のものではなく別の意味を持ちます。
③ミドルメディア
ミドルメディアとは、日本ジャーナリスト「藤代 裕之氏」が定義した「マスメディア」と「ソーシャルメディア」の“中間”にあるメディアを指します。
インターネットが普及したことで膨大な情報が流れ込んでくるようになり、本当に必要な情報が埋もれてしまう…といった状況が生じました。結果、膨大な情報の中から価値のある情報だけを抜き出したまとめサイト(メディア)が見出されるようになり誕生したのが「ミドルメディア」となります。
ネットで話題になった情報や反応を取り上げるニュースサイトや、まとめサイトが代表例としてあげられます。
藤代 裕之氏は2018年にメディアの動きについて以下のように話しておりました。
実は結構マスメディアの責任も大きいと思っていて。去年書いた本(『ネットメディア覇権戦争』)にミドルメディアっていう概念を書いているんです。ミドルメディアとは、マスメディアとソーシャルメディアの間に位置するメディアのことで、J-CASTニュースのようなニュースサイトやまとめサイト、有名ブロガーを指します。
引用:山里亮太【1】「文字起こしニュース」を根絶やしにしたい
ここで取り上げた話題が、テレビが取り上げると、今度はそれをツイッターユーザーが拡散し、またミドルメディアが「ツイッターで●●が炎上」と、ぐるぐるまわっていると。いまはこういう仕組みです。(図2)
(ネットニュースに明日はあるのか 藤代裕之先生に聞く/全7回)
画像引用:(図2)ネットメディア覇権戦争 偽ニュースはなぜ生まれたか (光文社新書)
ミドルメディアは大きく分けて以下2つに分類されます。
- プラットフォーム型
一般ユーザーが記事やサイトのランキング・重要度などを評価するタイプです。
オンラインブックマークサービス「ソーシャルブックマーク」や、一般ユーザーが記者となって情報を伝達する「ソーシャルニュース」などが該当します。
- 編集型
編集者が価値があると判断した情報をユーザーに紹介するタイプです。
キュレーションサイトやまとめサイト、また有名「J-CASTニュース」が代表であげられます。
メディアの種類<相関図>
上記にて紹介したメディアの種類を相関図にしました。
時代の流れとともにメディアの形・動きも大きく変わってきました。今後も「Netflix」や「Amazon Prime」などの動画配信サービスを視聴できる「スマートテレビ」の積極的な参入により、更なるメディアの形態変動を見せつつあります。
さいごに
広報・PRにとって非常に重要な「メディア」。今回は改めてメディアとは何か、どういった種類のメディアが存在するのか等を簡単に解説しました。ブランディング・認知度向上などの目的に応じて、各メディアの特徴などを考慮し、上手く情報発信に活かせると良いですね。