プレスリリースにおいて、内容と同じといって良いほど重要なタイトル。むしろタイトルがダメだとどんなに内容が良くても読んですらもらえないことを考慮すると最も重要といっても過言ではありません。
この記事ではプレスリリースにおいて重要なタイトルについて、読まれるタイトルに共通するポイントをはじめ、タイトルを付ける上でのコツや最後に確認しておくべきポイントを解説します。
目次
読まれるかどうかはタイトル次第
まずは、プレスリリースの送り先であるメディアがどのような状況でプレスリリースに目を通してくれているのか想像をしてみましょう。取材や執筆などの業務の合間で、毎日膨大な量送られてくるプレスリリースの中からネタ探し。1件あたり数秒の間で読む価値があるか否かを判断し、興味のあるプレスリリースをピックアップしています。
繰り返しになってしまいますが、プレスリリースのタイトルは、メディアがプレスリリースを「読むか読まないか」判断する第1関門です。どんなに内容が良くとも、画像にこだわっていようとタイトルで受け手の興味を惹くことが出来なかったプレスリリースは開封されず、読まれないままとなってしまうことも少なくありません。数えきれない情報の中で、自社のプレスリリースに目を留めてもらう役目をタイトルが担っています。
読まれるタイトル:5つの共通点
文字数は1行30文字以内
「しっかりと読んで理解できる」ではなく「パッと見て理解できる」文字数は大体1行30文字程度。その文字数に収まるよう、なんでも情報を盛り込むのではなく、伝えたいことが確実に読み手に伝わるように記載する内容を絞っているタイトルであることが重要です。
また、メディアはメールでプレスリリースを受け取ることが主流になってきていますが、その場合メールの「件名」がプレスリリースのタイトルとなることが理想的です。ご自身が受け取るメールの件名を思い出してみてください。表示される文字数は限られていて、長い件名は途中で途切れてしまっていませんか?メールでの受信を想定して、長くとも30文字を1つの目安にすることを推奨します。
ニュースバリューがあるワードを含む
メディアにとって重要なことは「ニュースとして価値がある」ことです。その価値があることが確実に伝わるように時流に乗ったワードなどを入れ、メディアがこの情報は「視聴者/読者のためになる」と分かるタイトルであることが重要です。
プレスリリースを自社の宣伝・広告と混同してしまう方が一定数いますが、プレスリリースは広報であり宣伝ではありません。メディアに対して、自社が伝えたいことを宣伝するような言い回し・文句・「!」の多用などのタイトルは避けましょう。
<例>
・○○市、Go To トラベルクーポン対象街歩きマップを配布開始
・ファッション業界に学ぶSDGs「エシカル消費」セミナーを10/23開催
例はいずれも「Go To トラベル」や「SDGs」などといった社会的な話題であり、メディアも新たな情報を探しているテーマです。ニュース価値を感じられるワードを漏れなく入れることで、受け手の目に留まり本文を読んでもらうチャンスへ繋げることができます。
<参考>「ニュース性」とは
一般的には以下のような○○性を持つ情報には鮮度があり「ニュース性がある」と言えます。
・新規性
・社会性(時事性)
・希少性
・トレンド性(話題性)
・記念日・季節性
重要なキーワードはタイトル前半に
プレスリリースの受け取り方としてメールが主流になってきていることを念頭に、ニュース価値などを感じてもらいやすい「重要なキーワード」は見切れないよう、タイトルの前半に記載されていることが重要です。
せっかく目を惹くキーワードが含まれていても、相手に届かなかったら意味がありませんので、重要なキーワードは冒頭に。また、読み手への「興味・関心」喚起の観点から考えても重要なワードはタイトルの前半に入れるようにしましょう。
<NG例>
・○○市、観光に嬉しい町歩きマップを配布開始!!Go To トラベルクーポン対象店舗を掲載!!
・オンラインセミナーを10月23日に開催!「エシカル消費」をテーマにファッション業界SDGsを学ぼう!
上記の<NG例>は「ニュースバリューがあるワードを含む」で挙げたタイトル例の順番を変え、変えたタイトルを自然にするために少し情報の加筆をしたものです。基本的な内容は変わりませんが、読み手の目にまず入ってくる情報の重要度が変わることによって興味を惹けるかどうかは変わってきます。
端的にプレスリリース内容が伝わる
プレスリリースの大枠の理解と特色が分かる、「誰が」「何を」「何故」「どうした/どうするのか」などをタイトルから読み手に伝えられることが重要です。
読み手の限られた時間の中で、プレスリリース内容を端的に伝えることで少なくとも自社の活動について認識してもらうことができます。良いタイトルは「プレスリリースの書き方、基本構成やおさえるべきポイントとは」でも挙げた以下の5W5Hの中から特に伝えたい情報を上手くピックアップしてタイトルに活用しています。
- 5W(WHO:誰が、WHAT:何を、WHEN:いつ、WHERE:どこで、WHY:なぜ)
- 5H(HOW:方法、HOW MUCH:金、HOW MANY:数、HOW LONG:時、HOW in FUTURE:将来)
5W5H情報からタイトルの構成を考えると入れたい情報が多く、かえってタイトルが分かりづらくなることも。伝えたいこと・社会的ニーズなどを考慮して情報を取捨選択することも重要です。
抽象的ではなく「具体的」
「かわいい」「すごい」「おいしい」などのふわふわとした抽象的な表現ではなく、「どのような特長があるからかわいいのか」「何と比べて何倍・何がすごいのか」「何人の人がレビューでおいしいと評価しているのか」など具体性のある情報が含まれるタイトルであることが重要です。
事実を元にニュースを探すメディアにとって、上で挙げた例の「何倍」「何人」のような「具体的」な情報は重要。具体的と言われてもピンとこない場合は「数字」を意識してタイトル作りに取り組んでみましょう。
<NG例>
・すぐ届く!従来のスピード印刷をパワーアップ
<OK例>
・当日発送の○○プリント、従来2.4倍のスピード印刷を××技術導入で実現
上記の<NG例>では「すぐ」や「パワーアップ」には具体性がなく、何がどうすごいのかが全く伝わらないタイトルになってしまっています。<OK例>では「すぐ」=「当日発送」であること、「パワーアップ」=「従来の2.4倍」であること+「××技術の導入」で実現しているという背景を記載することで、具体性を持たせています。
タイトル付けのコツ
タイトルは最後に付ける
タイトルはプレスリリースの中でも最も受け手に伝えたい、そして受け手に価値を感じてもらえるような情報を詰め込んだ、いわばまとめのようなものです。まだ本文も完成していない段階で、納得のいくタイトルを付けようとするのは至難のわざ。
おすすめの方法は、プレスリリースの本文を書いている間に浮かぶ「あ、ここ伝えたいポイントだ」「この情報、今のトレンドだ」などタイトルに入れたいキーワード候補をリストアップしていくことです。伝えたいことを、プレスリリースとして分かりやすく組み立てていく過程の中で、自分の考えや頭も整理されます。整理されていく情報の中から重要と思えるキーワードを抜き出していき、最終的に書き上げた「プレスリリースのまとめ」という観点からキーワードを活用してタイトルを考えてみましょう。
ひらがな・カタカナ・漢字のバランス
ぱっとみてよみづらいなとおもうぶんしょうってどのようなものがおもいうかぶでしょうか
【パッと見て「読みづらいな」と思う文章って、どのようなものが思い浮かぶでしょうか?】
上の文章は、1行目に書いていた文章をひらがな・カタカナ・漢字を用いたり、また句読点や記号を使用して書き直したものです。一目瞭然ですが、1行目の文章は非常に読みづらく内容が頭に入ってきません。一般的には、漢字が30%前後を占めると読みやすいと感じるとされているとされています。
一般的に、漢字の文字数の割合と文章の読みやすさは以下の通りといわれています。
漢字使用率チェッカー
20%以下:締りがない文章。
30%前後:最も読みやすい文章。
40%以上:硬い感じの文章。
※参考:2010年11月27日に読売新聞の「編集手帳」掲載 - 『「大漢和辞典」を読む』(紀田順一郎編、大修館書店)
漢字の方が伝わりやすいことや一般的にカタカナ表記されていることなど、変更しづらい点はあるかと思いますが、言い換えが可能な表現はたくさんあります。類語辞典などを用いて別の表現を探すと読みやすくなるだけでなく、今後のライティングにおいて使える言葉のバリエーション・選択肢が増えていくのでオススメです。
タイトル最後の見直しポイント
タイトルに含む情報が本文内にも含まれるか
「今回のプレスリリースの注目ポイントはこれだ!」と、タイトルにその情報は入れたのはいいものの本文に詳細がないと本末転倒です。タイトルに記載した情報にきちんと本文内でも触れているか確認しておきましょう。
誇張表現が使用されていないか
目を惹く情報を入れようと「日本最大」「世界初」などの情報を根拠なしに入れてしまっていないか確認しましょう。メディアにとって情報の信頼性は非常に重要です。誇張表現を用いたプレスリリースをきっかけにメディアが誤報を出してしまった場合、社会的な信頼問題に直結しかねません。根拠情報がある場合は、しっかりとタイトルでアピールをしつつ、本文内でもその情報を裏付けるデータの記載をお忘れなく。
さいごに
タイトルは、プレスリリースの明暗を分ける非常に重要な要素です。かといって、自分の伝えたいことのみを全面に出した宣伝めいたタイトルや、アピールしたいが故の虚偽ともとれる誇張表現などはかえってメディアから敬遠されてしまいます。
メディアの視点になって「ニュース性を求めている人」はどういったワードに敏感だろうか?等、トレンドを気にしつつ、端的にプレスリリースの魅力を伝えられるようなタイトルを付けて、しっかりと読まれるプレスリリースを作成しましょう。