明治安田厚生事業団が“ワークスタイルのスポーツ化”で 「スポーツエールカンパニー」「スポーツ推進企業」に認定 - 立つことだってスポーツ!?研究員が解説 -
公益財団法人 明治安田厚生事業団(所在地:東京都新宿区、理事長:中熊 一仁)は、2017年12月12日にスポーツ庁から「スポーツエールカンパニー」に認定されました。また、2017年11月30日に東京都が主催する「東京都スポーツ推進企業」の認定も受けました。
当事業団は、運動を活用した健康づくりの研究とプログラム開発等を行う公益法人です。まず自らが実践することが重要と考え、「ワークスタイルのスポーツ化」と称し、職場での座りすぎを解消し、体を動かすことを推進しています。体を動かすことで、職員の健康、コミュニケーション、生産性を向上させ、健康経営を実現します。
【1. 当事業団における取り組み】
(1) 取り組みの方針:ワークスタイルのスポーツ化
(i) 体を動かしたくなる環境・風土づくり(主体性醸成)
(ii) 一緒に運動してコミュニケーションを促進(職場活性化)
(iii) 体を動かすことで仕事の質を向上(生産性向上)
(2) 具体的な取り組み:座りすぎと運動不足の解消
<職場での座りすぎの解消>
・運動でブレーク(中断)(資料(1))
1時間ごとの時計の時報を活用し、部署全員で1分間ランニング
・昇降式デスク利用(資料(2))
デスクの買い替えのタイミングで、昇降式デスクを推奨
資料(1): https://www.atpress.ne.jp/releases/145366/img_145366_1.png
資料(2): https://www.atpress.ne.jp/releases/145366/img_145366_2.png
<トレーニングルーム開放による運動環境の提供(資料(3))>
・職場または関連組織が所有するトレーニングルームをお昼休みに職員に提供
資料(3): https://www.atpress.ne.jp/releases/145366/img_145366_3.png
<昼活&夕活スポーツの推進>
・お昼休みや就業後に、職員同士が一緒に楽しむスポーツ(テニス等)を実施
<スポーツ科学の最新エビデンスの職場内共有化>
・最新の研究成果をわかりやすくまとめた記事を職場の掲示板等に掲載
・職場で開発したプログラムを体験するイベントの開催
【2. スポーツエールカンパニーおよびスポーツ推進企業について】
「スポーツエールカンパニー」は、スポーツ庁が社員の健康増進のためにスポーツの実施に向けた積極的な取り組みを行っている企業を顕彰するために、今年度より開始した認定制度です。なお、東京都が、従業員のスポーツ活動の促進に向けた取り組みやスポーツ分野における支援を実施している企業を顕彰するために、平成27年度から開始した認定制度「東京都スポーツ推進企業」と連携しており、当事業団は両方の認定を受けました。
<スポーツ庁URL>
http://www.mext.go.jp/sports/b_menu/houdou/29/08/1388827.htm
<東京都URL>
https://www.sports-tokyo.info/company/
【3. スポーツエールカンパニーの意義について】
公益財団法人 明治安田厚生事業団 体力医学研究所
主任研究員 甲斐 裕子 博士(人間環境学)
専門 :運動疫学、健康教育学、公衆衛生学
研究テーマ:企業における運動を活用した健康づくり
<立つことだってスポーツ!?>
「スポーツエールカンパニー」と聞いて、どのような企業をイメージされるでしょうか?多くの社員がサッカー等のスポーツに汗を流している“超体育会系”の企業でしょうか?しかし、スポーツ庁のホームページを見ると、立ってデスクワークすることを指す「スタンディングワークの実施」など、一見、スポーツとは関係ない活動をしている企業もスポーツエールカンパニーとして認定されています。
<スポーツの語源は「気晴らし、楽しむ」>
実は近年、スポーツのとらえ方が広がっています。例えば、スポーツ庁の調査では、散歩もスポーツとされています。スポーツ(sports)の語源は、ラテン語で「気晴らし、楽しむ」という意味の「deportare」です。つまり、スポーツとは、汗をかくような厳しい運動が必須なのではなく、「自発的に少しでも体を動かし楽しむこと」ととらえてよさそうです。仕事の合間にちょっとストレッチをする、デスクワークの途中に立ち上がるといった活動を応援する企業は、立派な「スポーツエールカンパニー」なのです。
<働き盛り世代の運動不足と座りすぎは社会的課題>
スポーツエールカンパニーができた背景には、働き盛り世代の運動不足が深刻なことがあります。スポーツ庁の調査によると、週1回以上のスポーツ実施率は20代~40代では30%台と低調です(成人全体は42.5%)。運動不足だと生活習慣病や癌などの病気になりやすく、さらに座りすぎは、運動していたとしても、死亡リスクを上げることもわかってきました。世界20カ国の比較では、日本人は最も座りすぎだそうです。このままでは、将来、日本は長寿国ではなくなるかもしれません。働き盛り世代の運動不足と座りすぎの解消は社会の緊急課題です。
<ワークスタイルのスポーツ化が働き盛り世代を救う>
忙しい働き盛り世代の運動不足と座りすぎ解消には、仕事中とその前後に少しでも体を動かす機会を作ることがカギです。例えば、デスクワーカーなら昇降式デスクを使って時々立って仕事をし、立ち会議を行うなどが考えられます。社内はできるだけ歩き、階段を使う、仕事の合間のストレッチや体操もあります。さらに通勤をアクティブ(徒歩や自転車)にし、昼休みに運動するのも有効です。我々はこれを「ワークスタイルのスポーツ化」と呼んでいます。このような取り組みは、個人の努力だけでは実現しません。企業が組織的に関与して「社員が体を動かしたくなる環境と風土」を作ることが重要です。
<スポーツエールカンパニーは健康経営の切り札>
社員の健康に積極的に投資する「健康経営※」がムーブメントになりつつあります。健康経営では、社員の健康増進により生産性向上が期待されます。しかし「具体的には何をすればいいの?」という声もききます。我々の調査では、体を動かす社員は抑うつのリスクが半分になり、生産性も落ちにくいことがわかりました。つまり、社員が体を動かすように企業がサポートすることは、健康経営の切り札になりそうです。そのような企業の社会的評価を高めるスポーツエールカンパニーは、社会的に大変意義ある制度だといえます。
【公益財団法人 明治安田厚生事業団について】
明治安田厚生事業団は、国民の健康増進と体位向上に寄与し、社会福祉に貢献することを目的に、1962年6月に設立されました。2012年8月には内閣府より公益法人の認定を受けました。公益法人として健康問題を解決するため、体力医学研究所では健康課題をテーマにした学術研究を行い、ウェルネス開発室では健康増進プログラムの開発を行っています。
※「健康経営」は特定非営利活動法人健康経営研究会の登録商標です。
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