経済的に良好に推移しているにも関わらず依然として自国に対する...

経済的に良好に推移しているにも関わらず 依然として自国に対する不信感が根強い国、日本

~日本ブランドへの信頼は世界的に失墜~

世界のコミュニケーションズ・マーケティングをリードするエデルマンの日本法人、エデルマン・ジャパン株式会社(東京都港区、代表取締役:ロス・ローブリー) は本日、世界 28 カ国、33,000 人以上を対象に実施した第 18 回信頼度調査「2018 エデルマン・トラストバロメーター[1]」(2018 Edelman Trust Barometer) の日本の調査結果を発表しました。

 

本調査結果によると、日本の経済環境は良好に推移しているものの、依然として自国に対する「不信感」が根強いことが明らかとなりました。日本の調査対象者が抱く自国に対する信頼度(自国の政府、企業、メディア、NGOに対する信頼度の平均値)は、調査対象28カ国の中で二番目に低く、知識層[2] からの信頼度も三番目に低い結果となりました。2011年の東日本大震災後に急落した日本人の自国に対する信頼度は、回復の兆しを見せることなく、7年連続で世界ランキングの下位に留まり続けています。

  

日本をはじめとする先進国において、信頼と不正の間には高い相関性が見受けられます。日本の製造業で相次いで発覚した品質管理問題などが発覚したことにより、かつては最も高かった日本人の自動車産業への信頼度は、この5年間で18ポイントも下落しました。

 

日本ブランドに対する信頼も世界的に失墜しています。日本企業に対する信頼度は28カ国中18カ国で低下し、ロシア、ブラジル、スペインで特に大きく下がりました。反面、日本人による他国ブランドへの信頼度が下がったのは、ドイツ、インド、アメリカの3カ国のみです。

 

日本人は伝統的に自国の企業に愛着を抱いてきましたが、日本企業いわゆる「日本株式会社」を信頼する日本人は3人に2人(66%)しかいないことが明らかになっています。企業のレピュテーションを守る最大の責任者はCEOとされており、日本の回答者の72%がCEOの最も重要な仕事は自分の会社が信頼されるように努めることだと答えています。

 

エデルマン・ジャパンの代表取締役社長、ロス・ローブリーは次のように述べています。「世界的に日本企業に対する信頼が低下しているという事実が伝えるメッセージは明白です。日本株式会社は、もはや伝統的なものづくりの強みだけではレピュテーションを維持できないということです。2020年まで世界の目は日本に注がれるでしょう。これが、日本が世界の、そしてアジアのリーダーとして自らを主張できる最後のチャンスです。組織に対する信頼が、もはや経済と結びつかなくなった現在、企業に対する信頼は技術仕様よりも、組織の普遍的な価値観や信念が大きく左右します。日本のビジネスリーダーは、海外からの信頼を再び獲得するためにまずはこの大切な機会を活用して自らの声を発信すべきです」

 

本年度の調査では2年ぶりに社員による雇用主に対する信頼度を調査しました。自分が働く会社に対する信頼度は、28カ国のうち日本を含めた19カ国で上昇し、日本では2016年から17ポイントも上昇しました。しかし、それでも日本人の自社に対する信頼度は、調査対象国の中で韓国に並び最下位です。

 

世界的に信頼は極めて二極化しています。日本では、西欧の民主主義国同様に、メディアや情報源への信頼の喪失が、共通の事実や客観的真実のない世界を生み出し、たとえ世界経済が回復しても信頼度を下げています。一方、発展途上国では信頼度が高まり、従来の地政学的な想定が揺らいでいます。米国と中国では信頼は正反対の方向へ向かっており、本年度の調査結果で、中国では信頼度が極端にポジティブな方向へ変化した一方、米国では極端にネガティブな方向へと変化しています。日本は、緊密な同盟国である米国と近隣国である中国の双方とユニークな関係を持ち、両国が重要な貿易相手となっています。

 

◆信頼度の差は狭まる、最も信頼度が低いのはメディア

日本の一般層と知識層による各組織に対する信頼度の差は、前年度がこれまでで最大の15ポイントであったのに対し、今回は10ポイントに狭まりました。このように差が狭まったのは知識層による信頼度が大きく低下したためです。知識層の企業への信頼度は3ポイント、政府への信頼度は6ポイント、メディアへの信頼度は8ポイントそれぞれ低下しました。

 

日本で最も信頼されていない組織はメディアであり、全回答者の32%、知識層の37%しかメディアを信頼していません。また、米国、中国、韓国の回答者の約7割が、フェイクニュースが武器として使われることを危惧しており、日本でも62%が懸念しています。

 

ローブリーは次のように述べています。「信頼を取り巻く環境は激しく変化しています。企業は突然の変化に対応できるよう準備しておく必要があります。昨年度の調査結果では、ソーシャルメディアが信頼を構築する次の偉大なツールとなることが予想されましたが、ブレグジットや2016年の米大統領選でソーシャルネットワーク上に広まったフェイクニュースが、既にその影響力に歯止めをかけ、『自分のような人』への信頼度が低下する一方、専門家に対する信頼が回復しています。柔軟性と即応性のあるコミュニケーション戦略が今後の成功の鍵となります」


◆信頼を構築するためにすべきこと

「2018 エデルマン・トラストバロメーター」は調査史上初めて、組織に対する信頼度だけでなく、各組織が社会において負うべき責任は何か、また、各組織に対して国民が何を期待しているかについて調査しました。これらの責務は、極めて懐疑的になっている日本の国民から、日本の企業、政府、NGO、メディアが、再び信頼を得るために応えなければならない重要なものです。


企業は日本人の間で依然として最も信頼されている組織です。「プライバシーの保護」「雇用への投資」「イノベーション」が、企業にとって信頼を構築するためにすべき上位3項目です。    

政府は最も破綻している組織であると同時に、より良い未来へと導いてくれると期待されています。「生活の質の向上」「インフラの整備」「汚職や腐敗の調査」が、政府にとって信頼を構築するためにすべきことの上位3項目となっています。         


NGOは唯一信頼度が上昇した組織で、全回答者において6ポイント上昇しました。「汚職や腐敗の調査」「差別の防止」「プライバシーの保護」が、NGOにとって信頼を構築するためにすべきことの上位3項目となっています。    


メディアは現在の日本で最も信頼度が低い組織となっていますが、「情報の質の維持」「生活に関する正しい判断に役立つ情報の提供」「他の組織の監視」が、メディアにとって信頼を構築するためにすべきことの上位3項目となっています。    



エデルマン・トラストバロメーターについて

「2018 エデルマン・トラストバロメーター」は、今年で18年目となるグローバルな信頼度調査です。本調査は調査会社Edelman Intelligenceが、2017年10月28日から11月20日にかけて、一人当たり30分のオンラインインタビューを28カ国で実施したものです。調査対象は、18歳以上の各国1,150人の全回答者と、各国200人(米国と中国においては500人)の知識層(調査対象の15%)を含む33,000人です。知識層とは、25歳から64歳で、学歴が大卒以上、世帯収入が各国の同世代と比較して上位25%以内、少なくとも週に数回はビジネスや公共政策に関するニュースを見たり読んだりしているか、そうした情報に関心を持っている層を指します。


エデルマン・ジャパンについて

世界のPRをリードするエデルマンは、目まぐるしく変化する状況に対して常に新しいアプローチでクライアントのニーズにこたえています。現在、PRコミュニケーションは、マーケティング全体の戦略として、メディアリレーションだけにとどまらず、デジタルの有効活用を含めた複合的な活動が不可欠となっています。エデルマン・ジャパンは、世界最大のPR会社の日本支社として、グローバルな独自調査などに基づいた効果的なサービスを提供しています。世界65都市に拠点を構える世界最大級のネットワークを活かし、日本国内におけるコミュニケーションズ・マーケティングのみならず、日本企業の海外におけるコミュニケーション活動支援も展開しています。詳細はhttp://www.edelman.jp をご覧ください。          

    

[1] 「2018 エデルマン・トラストバロメーター」はエデルマンによる18回目の信頼度調査です。調査は、世界28カ国33,000人以上を対象に2017年10月28日から11月20日にかけて実施されています。    


[2] 知識層:25~64歳、学歴が大卒以上、同世代と比較して世帯収入が上位25%以内、メディアに日常的に触れビジネスに関するニュースに関心を持っている。

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