首都圏・中京圏・関西圏の公園の利用規制に関する調査報告 首都...

首都圏・中京圏・関西圏の公園の利用規制に関する調査報告  首都圏ではほぼ100%の公園が野球やサッカーを禁止に

株式会社キャップスアソシエーション(所在地:東京都渋谷区、代表取締役:若山 聖亮)は、自社メディア育成と社会貢献を目的に、自社内に編集室を設置し、公園の利用価値を発信するWebサイト「公園のチカラLAB」にて、SNSなどでよく話題となる「公園は禁止の看板だらけで子どもが遊べる場所ではなくなっている」ことに関して真偽と実態を調べるために約300か所の公園を調査し分析・レポートいたしました。

公園の禁止看板については、新聞の社会面やビジネス誌で取り上げられることも珍しくありません。本レポートでは「本当に公園は子どもが遊べる場所ではなくなっているのか。」「公園で禁止されている事柄があることは何が問題なのか?」などにスポットを当てて分析しております。


野球・サッカーの禁止状況


調査レポートの詳細版

https://www.koen-chikara.jp/wp-content/uploads/2018/08/koenkinnsireport20180828.pdf



■調査とその結果:“遊べない公園”は都市部の問題

公園のチカラLABでは首都圏・中京圏(地方都市)・関西圏の3つのエリアから子育てに人気のある地域の公園を約100か所ずつ抽出し、公園の立地や、実際に掲げられている禁止看板の種類や文言、禁止内容を分類・集計しました。また調査対象の公園は子どもにとって身近な公園、いわゆる街区公園や児童遊園と呼ばれる公園に限定しました。


その結果、公園の禁止事項は近隣からのクレームによって生まれやすく、特に公園と住宅が隣接する都市部で起こりやすい現象だということが分かりました。調査した中でも顕著なのは、野球・サッカーができない公園が中京圏近郊の地方都市では22%にとどまるのに対し、首都圏では100%、関西圏でも62%にのぼることでした。また首都圏や関西圏では小学生がする野球・サッカーと、乳幼児が保護者と柔らかいボールを使ってする遊びがひとくくりにされ、画一的にボール遊びが禁止されているところも多くありました。



■禁止の原因:他の利用者への配慮と近隣からのクレーム

野球・サッカーが禁止される第一の理由は、都市公園法に基づく条例などで定められている「他の公園利用者の迷惑にならないように利用する」という点に触れることがあがります。確かに、公園で乳幼児を遊ばせる保護者やベンチで憩う高齢者にとって、どこから飛んでくるか分からない小中学生が遊ぶ野球やサッカーの勢いのあるボールは恐ろしく、脅威でしかありません。公園を管理する自治体はすべての利用者の安全確保はもちろん、事故があった時の訴訟リスクを避ける意味でも原則禁止にせざるを得ないポイントになります。


一方で、公園に隣接する住民からのクレームで野球・サッカーが禁止されているという側面もあり、その点でも地域差があります。例えば野球・サッカーの禁止が22%に留まった地方都市では、禁止であっても個別の公園毎に「ゲーム形式の野球・サッカーはダメ」、「キャッチボールは南北方向ですること、東西は禁止」などの子どもの遊びに配慮した言葉になっています。このようなローカルルールは、コミュニティがちゃんと機能した自治会と自治体が連名で掲げている場合が多いようです。


地方都市の禁止看板例


しかし、人口密集地に立地する首都圏や関西圏の都市部の公園では、民家や集合住宅が公園に隣接しがちです。また地方の街よりもコミュニティが機能せず、管理する自治体はクレームがあった時の“相談相手”となる自治会などもないに等しいので、苦情対応として画一的な禁止看板を掲出せざるを得ないのだと考えられます。



■野球・サッカーの禁止:都市部の身近な公園での野球・サッカー禁止はやむを得ない

たくさんの禁止事項がある公園では子どもが自由に遊べず、放課後の小学校の校庭も使用できないと子どもたちは遊び場を失います。そのような状況は、文部科学省が数十年来指摘している子どもの体力や運動能力の低下にさらに拍車をかけることになります。その点は大きな問題です。

しかしながら、体格・体力差がある乳幼児から小学生までが「子ども」とひとくくりにされて、ひとつの公園で同時に遊ぶのは安全面で無理があります。小学生が遊ぶ午後は避けて、なるべく午前中に乳幼児を遊ばせる保護者の方も多いですが、すべての保護者がそうできるわけではないので、特に面積の小さい都市部の公園は乳幼児が安心して遊べる環境も必要と考えられます。その点から考えると、都市部の公園の野球・サッカー禁止に関しては、キャッチボールやゲーム形式で遊ぶ時は、運動公園や野球場を利用することで、乳幼児と公園のすみ分けをする必要があるかもしません。

公園での身体を動かす遊びは、脳や身体を刺激しさまざまな能力を育みスポーツへの関心を生みます。「野球・サッカー禁止=遊べない」ということではないため、しっかり点検・整備された安全に遊べる遊具があれば、充分に身体を動かすことができます。


公園でのサッカーイメージ


すべての公園で自由に好きなことができるのは子どもにとって理想ですが、野球・サッカーに関して言えば、野球・サッカーはできないが身体を動かし遊んでスポーツへの関心を生む公園、キャッチボールやパス回しなどの練習を通じて関心を好きに変える公園、本格的にスポーツとして楽しむ公園、などと利用者側ですみ分けていくことが重要になります。



■行政の動向:すでに始まっているキャッチボールができる公園の解禁とすみ分け

こうしたすみ分けについては国や自治体でもすでに推進していく動きがあります。国レベルでは、改正された都市公園法(2018年4月施行)に基づいた国土交通省の資料でボール遊びなどを一律に禁止するのではなく、地域住民とルールを決めていく協議会設置などの仕組みづくりが提言されています(詳細は調査レポートの20ページをご覧ください)。


自治体レベルでは乳幼児と保護者のボール遊びは禁止から除外していると看板が出ているところがあります。また、小中学生がキャッチボールやパス回しなどのボール遊びができる公園を設定し、使える時間帯などをホームページで告知している市町村も多数存在します。さらに、一部の公園では見守り役や子どもたちへのボールの貸し出し、プレイリーダーとして一緒に遊ぶ大人のボランティアが協力をしている例もあるくらいです(詳細は調査レポートの21~22ページをご覧ください)。


公園での野球イメージ



■最後に:皆さんはどう思われますか?

今回の調査では、さまざまな禁止事項や注意書きが公園にあることを改めて実感しました。特に、「騒がないように」とする禁止事項が掲げられ、子どもが遊んでいて楽しくなってあげる歓声や話し声も含まれる点については改めて議論を深める必要があると考えています。

皆さんは、公園の禁止事項について、どう思われますか?公園のチカラLABでは、多くの方の意見や感想、体験談を聞くアンケートを実施して、この問題をさらに考えていきたいと思います。


公園の禁止事項に関するアンケート

https://questant.jp/q/I4780CDQ

調査レポートの詳細版

https://www.koen-chikara.jp/wp-content/uploads/2018/08/koenkinnsireport20180828.pdf



■Webサイト「公園のチカラLAB」について

公園のチカラLABでは、少子高齢化社会における公園の存在意義や利用価値を皆さまと一緒に改めて考え発信しています。具体的には、まず子どもの遊び場や子育ての場としての公園の価値を、「遊び」や「公園育ち」をキーワードに検証・提言しています。将来的にはすべての年代を対象にした健康づくりや憩いに関する情報を発信していく予定です。

特別アドバイザーに児童教育や安全教育の専門家を配し、子どもが公園で外遊びすることによる発育・発達面での効果や、公園での遊び方などの情報を乳幼児や小学生の子どもを育てていらっしゃるお母さんお父さんに向けて発信しています。



■企業概要

社名  : 株式会社キャップスアソシエーション(CAPS ASSOCIATION, INC.)

所在地 : 〒151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷1-20-12

代表者 : 代表取締役 若山 聖亮

設立  : 1986年1月21日

事業目的: ・ブランドおよびコミュニケーション戦略・制作・実施

      ・Webサイトおよびデジタルコンテンツの企画制作運営 など

URL   : https://www.caps-association.co.jp/

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