GSアライアンス株式会社が 全固体型リチウムイオン電池用固体電解質 ガーネット型 Li7La3Zr2O12(LLZO)をサンプル出荷開始
GSアライアンス株式会社(Green Science Alliance Co., Ltd.:環境、エネルギー分野の先端材料を研究開発、製造販売する化学会社/本社:兵庫県川西市/代表取締役社長:森 良平 工学博士)は、全固体型リチウムイオン電池用固体電解質 ガーネット型 Li7La3Zr2O12(LLZO)をサンプル出荷開始いたしました。
近年の深刻な問題である地球温暖化の主な原因はメタンや二酸化炭素(CO2)など温暖化ガスの急増によるもので、例えば自動車のCO2排出を抑制すべく、ハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車などのエコロジー化が加速度的に進んでいます。また、風力や太陽光発電システムの電力貯蔵用としてのスマートグリッドにおける電気エネルギーの二次電池能力の向上なども開発のターゲットとなっており、地球環境にやさしいリチウムイオン電池は、今後急速な普及が見込まれています。
しかしながら、現在用いられている液体電解質型のリチウムイオン電池の容量は約100 - 240 Wh/kgであり、より高エネルギー密度を持つ電池の開発が大きな課題です。また、電池として用いる上で、発火等の事故が起きないように安全かつ安定に作動する電池を追求する必要もあります。このような中、液体電解質型のリチウムイオン電池に代わる革新的な全固体電解質型リチウムイオン電池が、国内外の企業、大学、研究機関などで研究開発されています。この研究で最も重要な技術は、電極間を出入りするリチウムイオンを高速で移動できる固体電解質の開発です。固体電解質には、有機高分子(ポリマー)系と無機系があります。安全性、強度の観点から無機系固体電解質の方がより理想ですが、無機系固体電解質はポリマー系に比べてリチウムイオン電池系への適応の歴史が浅く、安定性、反応性、反応機構などの詳細についてはまだまだ不明点も多いですが、今後の発展が期待される材料です。無機系のリチウム固体電解質には、大きく分けて硫化物系と酸化物系があります。現在は硫化物系の固体電解質を使用したリチウムイオン電池の方が電池容量が大きいという研究報告が多数ありますが、硫化物系の固体電解質は大気中に暴露すると有毒な硫化水素ガスを発生するため、実際の使用には堅牢な封止加工が必要であり、生産コストの上昇にもつながるという問題があります。そこでGSアライアンスは空気中での安定性、また生産の簡易性の観点から酸化物系に注目しています。
酸化物系の固体電解質にはLi1.3Al0.3Ti1.7(PO4)3(LATP)などのNASICON型固体電解質やLa0.34Li0.51TiO3といったペロブスカイト型固体電解質、そしてガーネット構造をもつLi7La3Zr2O12(LLZO)があり、特にLLZOは理論上、室温で10-4から10-3 Scm-1の高い導電率を示します。またLLZOは酸化物系固体電解質で唯一 Li金属に対して安定な材料です。純粋なLLZOの結晶相は、室温では正方晶でイオン伝導度はそれほど高くありません。イオン伝導度をさらに高めるためには、Al、Nb、Taなどの元素を少量ドープし、高イオン伝導相である立方晶を安定化させる必要があります。当社では、この観点から少量のAlをドープ(固溶)し、高イオン伝導相である立方晶を安定化させたAl-doped LLZOを開発し、さらに高いイオン導電性を示す立方晶系が合成でき安定化させることに成功しました。
GSアライアンスでは他にも種々の電極材料などを受託合成しており、同時に社内でもリチウムイオン電池を試作し電気化学特性を測定するシステムを立ち上げ始めており、今後はこのLLZOと自社で合成する電極材料、イオン液体系の電解液なども組み合わせて全固体型リチウムイオン電池を含めた次世代型二次電池の研究開発をさらに加速する予定です。材料、作成した電池の電気化学測定、X線回折や電子顕微鏡などの手法を用いての分析も進めていきます。今回はまずLLZOの粉体、インクなどをサンプル出荷することを開始します。粉体、インクは合成時は数マイクロメートル以上の大きさですが、ナノサイズ微粒子分散技術により200 - 300nmの大きさにすることも可能であり、今後さらなるLLZOの微粒子化も目指していく予定です。
■会社概要
商号 : GSアライアンス株式会社(冨士色素株式会社グループ)
代表者 : 代表取締役社長 森 良平(工学博士)
所在地 : 〒666-0015 兵庫県川西市小花2-22-11
事業内容: 環境、エネルギー分野向けの先端材料の研究開発と製造販売
プレスリリース添付資料
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