「NTT Communications OPEN INNOVATION PROGRAM」 の中間成果発表会を実施
NTTコミュニケーションズ(以下 NTT Com)は、自社が保有するサービス、技術、インフラ、データ、スポーツチームなどの豊富なリソースを活用し新たな価値を共創するオープンイノベーションプログラム「NTT Communications OPEN INNOVATION PROGRAM」(以下、本プログラム)の中間成果発表会を、オープンイノベーションプラットフォーム「eiicon」を運営するeiicon companyと共に2019年8月29日に開催しました。
1.概要
本プログラムでは「世界のインフラから未来のコミュニケーションを変えていく」ことを目指して、4つのテーマについて6パートナーと共に、事業化を見据えたアイデア創出や実証実験を2019年4月から取り組んできました。
2.発表内容について
中間成果発表の内容は以下の通りです。
テーマ(1) 離れた場所からでも自由自在に身体を動かす体験による、未来の遠隔操作
パートナー:東京ロボティクス株式会社(http://robotics.tokyo/ja)
今回の取り組みは、離れた場所からでも自在に身体を動かすかのような体験が可能なテレイグジスタンス※1ロボットを用いた事業創出が目的です。
各業界へのヒアリング調査を行い、データセンター内での作業などのターゲットを選定すると共に、東京ロボティクス株式会社のロボットとNTT Comの通信技術「SkyWay※2 WebRTC Gateway※3」とを組み合わせ、実際に遠隔操作で動作するシステムのプロトタイプ構築を行いました。このプロトタイプを用いることで、日本にあるロボットを米国から遠隔操作する実験や、データセンター内でのロボット作業についての実験を行いました。
今後は、実験で得られた課題をもとに、ロボットが外部から得た刺激を操縦者の感覚のように反映させる力覚フィードバック※4を持たせた操縦システムと、新型ロボットの実装を2020年までに行い、その実装を用いて事業化の検証を進めていく予定です。
<プロトタイプの実験模様>
テーマ(2) 設備運営の自動化を活用した、これまでにないデータセンター運営
パートナー:YouVR Inc.(http://youvr.io/)
今回の取り組みは、NTTグループが国内外に多数保有するデータセンターや通信局舎といった各種建物の内部を3D View化することで、建物設備の設計構築・運用業務を効率化することが目的です。
実証実験では、YouVR Inc.が持つ「空間をデジタル化する技術」とNTT Comのデータセンターなどの設備を組み合わせ、設計構築現場や既存建物における実地調査・計測作業の効率化について有効性の確認を実施しました。データセンターの一部を3D View化したことに加え、アプリケーションのUX/UI改善や情報管理機能の開発を両社で進めています。
今後は、建物のデジタルツイン※5を実現するプラットフォームサービスの先駆けとして、まず2019年度内にNTT Comの設備における利用を開始し、2020年度までに、お客さま設備における実証実験ができるよう、プロジェクトを推進していく予定です。
<3D Viewのイメージ>
パートナー:株式会社構造計画研究所(https://www.kke.co.jp/)
今回の取り組みは、建物設備利用者に負担の少ない認証方式を用いることで入館の手間を削減すると共に、鍵の紛失というセキュリティリスクを無くすことが目的です。
高度なセキュリティが求められるデータセンター内において、防犯カメラの映像を元にした顔認証やポーズ認証により、サーバーラック利用者がハンズフリーで、デモ機の解錠・施錠に成功しました。
株式会社構造計画研究所が有するスマートロックシステムと、NTT ComのデータセンターおよびAI人物検索サービス「Takumi Eyes」※6を組み合わせ、カメラさえあればすぐに生体認証を導入できるシステムの実用化に向けた実証実験を行っています。
今後は、2020年までにプロダクトのパッケージ化によるキーレス事業の水平展開を目指します。
<デモ機による実験模様>
テーマ(3) ラグビーの選手パフォーマンス向上・観戦スタイル革命
パートナー:慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科(http://www.sdm.keio.ac.jp/)
今回の取り組みは、スポーツチームや関係者がスポーツデータをより高度に利活用できる仕組みを作ることが目的です。
その第一歩として、スポーツに関するさまざまなデータを分析し、その分析結果をチーム強化や運営改善につなげるコンサルティングのニーズ調査を実施しました。
NTT Comのラグビーチーム シャイニングアークスの練習グラウンドでワークショップを開催し、ラグビー・テニス・ホッケー・陸上などの大学体育会に属する学生、ジュニアスポーツチームの指導者、シャイニングアークスのコーチ・アナリティスト・選手などが、データ利活用における現状や課題について意見交換し、多くの競技においてデータ利活用コンサルティングのニーズが高いことを確認しました。
今後、2020年までにシャイニングアークスにおいてデータ利活用の実績を蓄積すると共に、スポーツデータ活用の拡大に向けた検討や、各チームにおけるデータサイエンティストのコミュニティ運営などの事業展開を目指します。
<ワークショップの模様>
テーマ(4) 山中の無線中継所や鉄塔の新しい活用による、新たな価値創造
パートナー:株式会社フーモア(https://whomor.com/)
今回の取り組みは、鉄塔をコンテンツとした知的財産ビジネスの創出と共に、多くの方に鉄塔を好きになってもらう事が目的です。
鉄塔の擬人化によるキャラクタービジネスを目指して、東京都目黒区と水戸市において鉄塔周辺の住民に対するインタビュー調査を実施しました。その結果、キャラクターにとどまらず映画やゲームに展開できる原作ストーリーづくりを目指すこととし、ストーリーコンセプトを制作しました。
今後は2020年までに、鉄塔をテーマとした原作ストーリーによって新たな作品を生み出し、2次展開による知的財産ビジネスの実現を目指します。
<ストーリー検討の模様>
パートナー:メトロウェザー株式会社(https://www.metroweather.jp/)
今回の取り組みは、レーザーを活用した風向風速計ドップラーライダー※7によって立体的かつリアルタイムな風況データを取得・提供することが目的です。
特定エリアの風況を、視覚化されたデータによって確認するというコンセプトの検証を行いました。
メトロウェザー株式会社が有するドップラーライダーと、NTT Comの鉄塔などを組み合わせ、鉄塔に設置したドップラーライダーで取得したデータの提供に向けて実証実験を推進しています。
2020年までに、ドップラーライダーによる観測地点をさらに増やすとともに、各業界へのヒアリングに基づきデータの視覚化を確立することで、ドローンの運行管制への活用など、風況データ利活用事業の実現を目指します。
<鉄塔周辺での現地調査の模様>
3.今後について
今後、年内を目途に、各取組みの継続実施について判断を行い、継続する取り組みに関しては事業化を推進していく予定です。
※1:テレイグジスタンスとは、人間が遠隔地で自在に行動するかのような技術を活用した遠隔操作などの技術です。
※2:「SkyWay」とは、パソコン、スマートフォン、タブレット、IoT機器などの端末間で、WebRTCを使った音声・ビデオ通話に必要なサーバー群をNTT Comが運用し、ソフトウェア開発環境をお客さまに提供するサービスです。
※3:WebRTC Gatewayとは、「SkyWay」をブラウザ以外からも利用できるようにしたWebRTC通信エンジンです。
※4:力覚フィードバックとは、ロボットが実際の物体と接触した際に得られる力覚情報を、操縦者の感覚のように反映させる技術です。
※5:デジタルツインとは、現実に存在する物体の構造や動きをデジタル上で再現する技術です。
※6:「Takumi Eyes」とは、AI技術の一種であるディープラーニングを活用して、映像から特定人物を自動検出することができるAI人物検索サービスです。
※7:ドップラーライダーとは、風速や風向をレーザーによって計測する装置です。従来の風向風速計では計測できなかった上空や前方の離れた地点の計測が可能となるという特長があります。
■関連リンク
・「NTT Communications OPEN INNOVATION PROGRAM」
https://eiicon.net/about/nttcommunications-oip/
・NTT Comの豊富なリソースを活用できるオープンイノベーションプログラム
「NTT Communications OPEN INNOVATION PROGRAM」を開始(2019年1月)
https://www.ntt.com/about-us/press-releases/news/article/2019/0128.html
・「NTT Communications OPEN INNOVATION PROGRAM」のパートナーを決定(2019年4月)
https://www.ntt.com/about-us/press-releases/news/article/2019/0128.html
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