緊急事態宣言に伴うリモートワーク実施下での従業員の働き方実態...

緊急事態宣言に伴うリモートワーク実施下での 従業員の働き方実態を調査

~リモートワークの継続を望む声が強い中、仕事の生産性や運動不足が課題に~

企業・健康保険組合の福利厚生代行や健康支援サービス提供、及びそれに伴うコンサルティングを行う株式会社イーウェル(所在地:東京都千代田区、代表取締役社長:二井 勝、以下「イーウェル」)は、健康経営およびウェルビーイング経営の研究を行う森永 雄太氏(武蔵大学 経済学部経営学科 教授)の監修の下、リモートワーク実施下での従業員の働き方を調査しました。



■調査概要

・企画・実施:株式会社イーウェル

・方法   :オンラインアンケート調査(福利厚生パッケージサービスWELBOX内)

・対象   :企業に勤める20代~60代の男女 3,079名

・実施日  :2020年4月27日~2020年5月2日



■調査結果

1) 要旨

(1)仕事や余暇時間へ影響:リモートワークをしている従業員は、余暇時間の質や量の満足度が向上している一方、仕事の質・量が低下している傾向が見られた。生産性の維持・改善が急務と考えられる。


(2)健康への影響:運動量が低下したと回答する従業員は75%。これは外出自粛の影響も大きいと考えられる。一方、睡眠時間が改善したとする従業員も多く、健康面での部分的な好影響も示唆された。


(3)リモートワークにおける課題:「出社しないとできない作業がある」「設備等が不十分」といった業務設計やインフラ関連の課題の他、コミュニケーション上の課題も浮き彫りとなった。


(4)リモートワークの継続への期待:今後通常通り出社できる社会情勢になった場合もリモートワークを継続したいとする従業員は約60%にのぼり、継続に否定的な従業員22%を大きく上回った。



2) 詳細

1. リモートワーク取組の実態

リモートワークを実施していると答えた従業員は55%となった。リモートワークを実施している従業

員の中でも、頻度は異なり、多様である。


あなたはリモートワークを実施していますか?


2. リモートワークによる影響

次に、リモートワークを実施している従業員に対し仕事や余暇時間、生活習慣への影響を質問した。


A) 仕事の量や質の影響

リモートワークを実施することで、仕事の量や質が下がったと回答した従業員は、40%程度となり、生産性に課題を感じている状況が明らかとなった。


仕事の生産性に関する変化


一方で、過去にリモートワークを実施したことがある従業員は、過去に実施したことがない従業員と比較し、仕事の量や質が低下していないことも分かった。リモートワークでの業務遂行を経験することで、生産性が徐々に改善される可能性が示唆されているといえる。


仕事の生産性に関する変化(過去の実施の関連性)


B) 余暇時間の満足度の変化

仕事の量や質、作業時間に対するマイナス影響を実感している一方で、どの属性で見ても余暇時間の満足度は大きく向上していることが分かった。特に、余暇時間の量的満足度があがったと回答する従業員は過半数となった。


余暇時間の満足度に関する変化


C) 生活習慣に関する変化

栄養バランスでは大きな変化はないという結果となったが、運動量が悪化したと回答する従業員は75%となり、運動習慣については大きく悪影響が出ていることが示唆された。ただし、外出自粛による影響も大きいと考えられる。一方で、睡眠時間が改善したという従業員は40%超となった。これは、移動時間の削減などが影響しているのではないかと考えられる。


生活習慣に関する変化


3. リモートワークにおける課題

リモートワークを実施する中で課題に感じることを聞くと、「出社しないとできない作業・処理が残っている」といった業務設計面、「リモートワーク時の作業設備等が不十分」「ネットワーク環境」といったインフラ面、そして「上司や同僚とのコミュニケーションが減った」といったコミュニケーション面の課題を感じている実態が明らかとなった。


リモートワークを実施する中で課題に感じること(抜粋)


さらに、年齢別にみると、20代は「集中力が続かず、労働時間が長時間化してしまう」ことを課題に掲げる割合が他の世代より多い。仮説としては、セルフマネジメント力の問題等が原因なのではないかと考えられる。


集中力が続かず、労働時間が長時間化してしまう


年齢別では、特に若手世代でコミュニケーションの量が減ったことを課題に感じている割合が多くなっている。


上司や同僚とのコミュニケーションの量が減った


また、「家庭内の子育てや介護で集中して業務に取り組めない」は、小学生未満の子どもを持つ従業員では非常に大きな課題となっていることが分かった。


家庭内の子育てや介護で集中して業務に取り組めない


さらに、過去のリモートワークの実施有無で比較をすると、「出社しないとできない業務が残っている」については、過去にリモートワークを実施したことがない従業員では70%が課題に感じているのに対し、実施したことがある従業員は57%となった。リモートワークの実施により、組織内での業務設計改善が進んだこと等が理由として考えられる。

一方で、「リモートワーク時の作業設備等が不十分」「ネットワーク環境」「上司や同僚とのコミュニケーションの量が減った」等は過去のリモートワークの実施有無によって、課題に感じる割合に差はなく、60%程度が課題に感じている状態であった。


リモートワークを実施する上で課題に感じること(抜粋)


4. リモートワークの継続意向

「今後、通常通り出社できる社会情勢になった場合、リモートワークを継続したいですか」に対し、「強くそう思う」「そう思う」を選択した従業員は回答者の60%程度となった。特に、30代では70%近くがリモートワークを継続したいと回答している。

一方で、60代以上はリモートワークの継続を望む割合が他の年代と比べて低くなっており、年代によってリモートワークの継続意向に差があることも明らかとなった。


リモートワークの継続意向


また、「リモートワークを実施してよかったと感じる点は何ですか」という問いに対しては、「移動のストレスが軽減された」に「強くそう思う」「そう思う」と答えた回答者は75%、「自分のペースで働くことができる」では62%となった。


リモートワークを実施してよかったこと(抜粋)



3) 本調査結果に対する森永 雄太氏(武蔵大学 経済学部経営学科 教授)のコメント

今回の調査は、新型コロナウイルス感染症の大流行とそれに伴う緊急事態宣言の発令により多くの企業がリモートワークを急遽導入せざるを得なくなった状況で実施したものです。そのため結果の解釈には慎重を期す必要がありますが、リモートワークに初めて取り組んだ従業員の戸惑いが表れており、組織にとって有益な示唆を得ることもできそうです。

調査結果は、組織がリモートワークをうまく導入することで、従業員の生活習慣やウェルビーイングに良い影響を与えられる可能性を示しています。例えばリモートワークの導入で従業員の余暇時間に対する満足度が質・量の両側面で上昇していることが分かりました。また、睡眠時間や栄養バランスの良い食事などの生活習慣も若い世代を中心に改善していることが分かりました。(なお、運動習慣はどの世代においても低下しており、これは外出自粛の影響も大きいと考えられます)。

一方、問題点も明らかになりました。初めてリモートワークを経験する人たちの間で特に、仕事の生産性が低下していると感じていることがわかりました。これは、リモートワークに適した役割分担や業務フローの構築などの事前準備が不十分だったことも原因の1つだと考えられます。また仕事の設備面(作業設備やネットワーク環境)の不備を課題に感じる人の割合も多いことが分かりました。そして、この課題認識はテレワーク経験の有無別の集計でも結果に大きな変化はみられないことがわかりました。今後は、オフィス外の仕事設備の整備をいかにすすめるのかについて、組織側がこれまで以上に積極的に検討する余地があるかもしれません。

テレワークの課題は、他にもありそうです。上司や同僚とのコミュニケーションが減ることについて課題を感じる人の割合が多いことが示されました。これは、リモートワークでは従業員が抱える問題が組織側から見えづらくなることを意味しています。そのため「困った時に助けを求めにくい」ことに課題を感じるという回答が高い割合で得られました。さらに注意したいのは、一部の人だけが直面する深刻な課題への対応です。例えば「家庭内の子育てや介護で集中して仕事に取り組めない」という問題は、全体ではそれほど大きな問題としては認識されていませんが、「小学生未満の子どもがいる従業員」のみにおいて「非常に課題に感じる」の割合が20%を超えています。このような少数派の課題は組織側からは見逃されやすく、一部の人のウェルビーイングを大きく損なう要因となり得ます。上司部下間はもとより同僚間のコミュニケーションを活性化し、相互の支援を引き出しやすい仕組みの導入や風土づくりが一層求められるでしょう。



4) 調査結果から導き出される結論

リモートワークを実施する中で、仕事の生産性に関しては全体的に課題があり、特に若手世代においてその度合いが強くなっていることが分かる。組織の管理者ではない従業員は、特にリモートワーク中に仕事の上の課題を抱えやすいことに配慮することが求められているのではないかと考えられる。

さらに、健康経営の観点では、運動量の低下が非常に大きな課題となるため、従業員の運動習慣の支援がより重要になってくると言える。

様々な課題があるものの、全体としてはリモートワークを望む声が強く、リモートワークの実施により、従業員の働き方や意識に大きな変化が起きている可能性が示唆された。外出自粛要請の緩和後も、リモートワークの実施によって生じている変化をとらえ、対応していくことが企業には求められているだろう。



■森永 雄太氏 プロフィール

武蔵大学 経済学部経営学科 教授

【略歴】

・神戸大学大学院 経営学研究科博士後期課程修了 博士(経営学)

・専門は組織行動論・経営管理論

【主要業績】

「ウェルビーイング経営の考え方と進め方:健康経営の新展開」

「職場のポジティブメンタルヘルス(共著)」等

日本労務学会研究奨励賞、経営行動科学学会発表論文優秀賞 等



■イーウェルが提供する関連サービス

1) 従業員調査サービス

イーウェルでは、森永 雄太氏の監修の下、ウェルネスの観点から見た組織の課題や強みを可視化する従業員調査サービスをご提供しています。本サービスの一環として、他社と比較した各社のリモートワーク実施実態の可視化・各社ごとの課題分析・実施施策を推奨する機能をご提供しています。

本サービスのご提供を通じ、企業で働く従業員がより生き生きと輝ける社会の実現を目指してまいります。


2) インセンティブ・プラス

ポイントを用いたコミュニケーション施策を簡単に実行できるWEBサービスです。

リモートワーク実施下でのスタッフのモチベーションをアップさせるとともに、職場内のコミュニケーションを活性化させることで、会社や職場に対するエンゲージメントを向上させることを狙いとしています。

https://www.ewel.co.jp/info_incentive-plus/


2020年6月~9月の間、各企業様のリモートワーク支援として、導入費用並びに3ヶ月間の運用費を無償とさせて頂きます。ポイント費用に関しては、別途費用がかかります。



【株式会社イーウェルについて】

所在地 : 〒102-0094 東京都千代田区紀尾井町3番6号 紀尾井町パークビル

設立  : 2000年10月2日

資本金 : 499,992,500円

株主  : 東急不動産株式会社、住友商事株式会社、豊田通商システムズ株式会社

従業員数: 1,238名(2020年4月現在)

事業内容: 福利厚生パッケージサービス「WELBOX」、カフェテリアプラン、

      健康支援サービス、会員向け付加価値向上サービス「CRM WELBOX」等の

      コンサルティング及びサービス提供

URL   : https://www.ewel.co.jp/

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