DXの取り組み状況を報告 5割超の企業が DXの推進・検討に着手済み、大企業では8割超
『日本企業の経営課題2020』調査結果【第2弾】
一般社団法人日本能率協会(会長:中村正己、JMA)は、企業が抱える経営課題を明らかにし、これからの経営指針となるテーマや施策の方向性を探ることを目的に、1979年から、企業経営者を対象に、「当面する企業経営課題に関する調査」を実施しています。今年度は2020年7~8月に実施し、532社からの回答を得ました。
今回は第2弾として、「DX(デジタル・トランスフォーメーション)の取り組み状況」について、ご報告します。
調査結果の主なポイントは以下の通りです。
1. 5割超の企業がDXの推進・検討に着手済み。大企業では8割超
2. DX担当役員・担当部署を設けている企業は4割。大企業では6割近く
3. DX推進の目的として重視すること「業務プロセスの効率化」が8割
「事業開発」「顧客開拓」「事業構造の変革」を重視する比率はやや低めに
4. DX推進における課題、8割超の企業が「人材不足」を挙げる
「ビジョンや戦略、ロードマップの不明確さ」「具体的な事業への展開」にも課題
※調査結果詳細は以下をご覧ください。
■「2020年度(第41回)当面する企業経営課題に関する調査」概要
調査時期 : 2020年7月20日~8月21日
調査対象 : JMAの法人会員ならびに評議員会社、
およびサンプル抽出した全国主要企業の経営者(計5,000社)
調査方法 : 郵送調査法(質問票を郵送配布し、郵送およびインターネットにより回答)
回答数・回収率: 回答数532社・回答率10.6%(回答企業の概要はページ下部に記載)
1. 5割超の企業がDXの推進・検討に着手済み。大企業では8割超。
○DXへの取り組み状況について尋ねたところ、全体では、「既に取り組みを始めている」が28.9%、「取り組みを始めるべく、検討を進めている」が28.4%となり、合わせると、DXの推進・検討に着手している企業が57.3%と、5割を超えています。
○特に、従業員数が3,000人以上の大企業においては、「既に取り組みを始めている」が51.1%と半数を超え、「検討を進めている」の32.1%と合わせると、8割超がDXの推進・検討に着手済みであるという結果が見られました。
○また、従業員数300人以上3,000人未満の中堅企業では、DXの推進・検討に着手済みとする比率が56.0%、中小企業では34.9%となっているほか、「これから検討する」が中堅企業で35.3%、中小企業で43.2%あり、多くの中堅・中小企業がDXに関心を示していることがうかがえます。
2. DX担当役員・担当部署を設けている企業は4割。大企業では6割近く
○DXの取り組みを既に始めている、もしくは検討を進めていると回答した企業(305社・全体の57.3%)に対して、DXの推進を担当する役員の任命状況を尋ねたところ、全体では、「専任で担当する役員を任命している」が7.9%、「兼務で担当する役員を任命している」が32.1%となり、合わせると、4割の企業がDX担当役員を任命しているという結果が見られました。特に、従業員数3,000人以上の大企業においては、「専任役員を任命」が13.8%、「兼務役員を任命」が45.9%と、6割近くがDX担当役員を任命していることが分かりました。【図2-1】
○また同様に、DXの推進を担当する部署の設置状況について尋ねたところ、全体では、「専任で担当する部署を設置している」が24.3%、「兼務で担当する部署を設置している」が15.4%となり、DX担当部署を設置しているとする企業が約4割となっています。一方、「組織横断的なプロジェクトチームがある」が13.8%、「IT部門内に担当者がいる」が12.1%、「経営企画部門内に担当者がいる」が8.9%など、部署は設置していないものの、プロジェクトチームや既存の部門内に担当者がいるとする割合が合計で41.0%となっています。特に、大企業においては、「専任部署を設置」が42.2%、「兼務部署を設置」が14.7%となり、DX担当部署を設置している割合が56.9%となっています。一方、従業員数300以上~3,000未満の中堅企業、300人未満の中小企業では、「担当する部署や担当者は置いていない」が2割前後となっており、組織体制に課題があることがうかがえます。【図2-2】
3.DX推進の目的として重視すること、「業務プロセスの効率化」が8割
「事業開発」「顧客開拓」「事業構造の変革」を重視する比率はやや低めに
○DXの取り組みを既に始めている、もしくは検討を進めていると回答した企業(305社・全体の57.3%)に対して、DX推進の目的として重視していることを尋ねたところ、「デジタル技術の活用による業務プロセスの効率化・生産性向上」を「非常に重視している」が34.8%、「重視している」が46.9%と、合わせて8割超(81.7%)となり、最も重視度が高い項目として挙げられました。また、「デジタル技術の活用による既存の商品・サービス・事業の付加価値向上」についても、「非常に重視している」が25.2%、「重視している」が47.5%となり、7割超(72.7%)の企業が重視しているという結果が見られました。
○一方で、「デジタル技術を活用した新規事業の開発」、「デジタル技術の活用による新規顧客の開拓」、「顧客や社会のデジタル化に対応した抜本的な事業構造の変革」については、「非常に重視している」「重視している」の合計が5割前後で、「やや重視している」の比率が多めになっており、上記の2項目に比べて重視度がやや低めであることがうかがえます。新たな企業成長に向けたDXの推進という観点では、さらなる検討の余地があるものと思われます。
4.DX推進における課題、8割超の企業が「人材不足」を挙げる
「ビジョンや戦略、ロードマップの不明確さ」「具体的な事業への展開」にも課題
○DXの取り組みを既に始めている、もしくは検討を進めていると回答した企業(305社・全体の57.3%)に対して、DX推進の課題を尋ねたところ、「DX推進に関わる人材が不足している」ことについて、「おおいに課題である」「課題である」「やや課題である」の合計が8割超(86.5%)に達し、「人材不足」がDX推進における最大の課題となっていることが分かりました。
○また、「DXに対するビジョンや経営戦略、ロードマップが明確に描けていない」、「具体的な事業への展開が進まない」について、「課題である」の合計がそれぞれ77.7%、76.0%となっています。
○DXへの関心、取り組みが広がっている一方で、その具現化に向けて、多くの企業が様々な課題に直面しているという実態が浮かびあがりました。
【調査結果を受けてのコメント】
一般社団法人日本能率協会 KAIKA 研究所 所長 近田 高志
○今回の調査結果から、DXへの取り組みが、特に大企業を中心に広がるとともに、中小企業においても関心が高まっていることがうかがえました。
○推進体制として、大企業では担当役員の任命や担当部署の設置が進んでいる一方、中堅・中小企業では社内体制づくりに課題が見られます。
○DX推進の目的としては、業務プロセスの効率化や既存事業の付加価値向上の比率が高めとなっており、目に見える成果を期待する傾向がうかがえます。一方で、デジタル技術を活用した新事業開発や、抜本的な事業構造の変革への重視度は相対的に低めとなっています。
○DX推進の課題において、人材不足とともに、DXに対するビジョンや経営戦略、ロードマップが明確に描けていないという課題が浮かび上がっていますが、あらためて、中長期的な視点からデジタル技術の活用、DXの推進を検討する必要があるのではないでしょうか。
【回答企業の概要】
所在地
https://www.atpress.ne.jp/releases/226114/img_226114_14.png?20200923013745
業種分類
https://www.atpress.ne.jp/releases/226114/img_226114_15.png?20200923013745
従業員数・売上高
https://www.atpress.ne.jp/releases/226114/img_226114_16.png?20200923013745
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