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 エビデンスに基づく友だちづくりプログラム、PEERS®

自閉スペクトラム症の特性のある思春期の子どもたちにとって、友だちを作り、その関係を維持することは容易ではありません。社会性に何らかの課題を抱える子どもたちに対するソーシャルスキルトレーニング(SST)は広く行われていますが、長期的にその効果が持続しにくい、介入以外の場面に般化しにくいなどの問題点が指摘されています(例えば、佐藤・佐藤・岡安・高山, 2000)。
 また、最近では、SSTのワークシートが学校や療育で活用されていますが、紙面上では正解できても、うまくスキルを活用できずに、孤立した状況は変わらない…という子どもたちは少なくありません。
一方で、友だちを作ったり関係を維持したりすることが困難な思春期(多くは、中学生~高校生)の子どもたちのためのプログラムであるPEERS®(Program for Education and Enrichment of Relational Skills)は、ソーシャルスキルの知識が増えるだけではなく、自分が友だちを呼んで遊ぶ回数が増加したということが実証されています(Laugeson et al 2012.pdf (ucla.edu))。PEERS®はカリフォルニア大学ロサンゼルス校で開発されました。
『友だち作りのSST―自閉スペクトラム症と社会性に課題のある思春期のためのPEERSトレーナーマニュアル―』から、思春期の子どもたちのためのPEERS®の特徴をご紹介します。
◇効果が期待できる人
 自閉スペクトラム症の特性のある思春期の子ども
 ADHDの子ども
 友だちづくりとその関係を維持することに困難のある子ども

◇PEERS®で子どもたちが学ぶこと(例)
 適切な会話スキルの使い方
 会話で共通の興味を見つける方法
 仲間との会話に入る/抜ける方法
 適切なユーモアの使い方
 うわさやゴシップへの対応方法
 友だちと遊ぶ際のもてなし方
 自分に合う友だちを見つける方法
 スポーツマンシップ
 思いのすれ違いへの対応方法
 からかいやいじめへの対応方法 など

◇プログラムの基本的な枠組み
 全14回(1回90分)で、7~10組の親子が同じ時間に別室でセッションに参加します。
 学んだスキルを練習するために、第1~13回では、ホームワークが出されます。

◇必要とされるスタッフ
 プログラムの実施には、少なくとも3人のスタッフが必要です(親グループのリーダー、子どもグループのリーダー、子どもグループを助けるコーチ)。
 一般的にはメンタルヘルスの専門家(例:心理師(士)、精神科医、ソーシャルワーカー、夫婦や家族療法のセラピスト)が実施しますが、先生によるグループでも効果をあげています。

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<参考文献>
Erizabeth A.Laugason and Fred Frankel著 山田智子・大井学・三浦優生翻訳(2018)『友だち作りのSST――自閉スペクトラム症と社会性に課題のある思春期のためのPEERSトレーナーマニュアル――』 金剛出版
佐藤正二,佐藤容子,岡安孝弘,高山巌 (2000) 子どもの社会的スキル訓練――現況と課題―― 宮崎大学教育文化学部紀要教育科学,3,81-105
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その他
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