たばこ盆約80点を一堂に紹介!見どころは有名無名の職人たちの...

たばこ盆約80点を一堂に紹介!見どころは有名無名の職人たちの技  「シブい工芸 たばこ盆 ~地味な立ち位置・たしかな仕事~」  たばこと塩の博物館(東京・墨田区)で6月1日~7月4日に開催

たばこと塩の博物館では、2021年6月1日(火)から7月4日(日)まで、「シブい工芸 たばこ盆 ~地味な立ち位置・たしかな仕事~」を開催します。

たばこの伝来後、日本では喫煙に必要な道具を備えるために、たばこ盆が登場しました。たばこ盆は、単に喫煙に使うだけでなく、小間物の収納や来客へのおもてなし、商店の宣伝媒体、時には炭火を保つ生活必需品の様な役割も担いながら、人々の暮らしに寄り添ってきました。

しかし、明治以降、きせるから紙巻たばこへと徐々に喫煙形態が移り変わるのに合わせて、たばこ盆の姿も変化していき、現代では、芝居やお茶席以外の場面ではなかなか見かけないものとなってしまいました。

工芸品としても地味な存在といえるたばこ盆ですが、実は、木工、漆芸、金工など有名無名の職人たちの多彩でたしかな技を見ることができます。かつては日用品として使用されていたものでありながら、その形状や意匠など、見どころはつきません。

本展では、当館所蔵品より、たばこ盆約80点を展示します。簡素な普段遣いのものから絢爛豪華な大名道具まで、様々な素材、装飾、技法など、職人の技が光るたばこ盆の魅力をご紹介します。


Photo.01 朝顔蒔絵螺鈿手付きたばこ盆


Photo.02 夕顔蟋蟀(こおろぎ)蒔絵たばこ盆



■開催概要

名称     : 「シブい工芸 たばこ盆 ~地味な立ち位置・たしかな仕事~」

ヨミ     : シブイコウゲイ タバコボン ~ジミナタチイチ・タシカナシゴト~

会期     : 2021年6月1日(火)~7月4日(日)

主催     : たばこと塩の博物館

会場     : たばこと塩の博物館 2階特別展示室

所在地    : 東京都墨田区横川 1-16-3(とうきょうスカイツリー駅から徒歩8分)

電話     : 03-3622-8801

FAX      : 03-3622-8807

URL      : https://www.tabashio.jp

入館料    : 大人・大学生:100円/満65歳以上の方(要証明書):50円/

         小・中・高校生:50円

         ※なるべく少人数でのご来館をお願いします。

開館時間   : 午前11時~午後5時(入館は午後4時30分まで)

休館日    : 月曜日


※新型コロナウイルス感染症拡大の状況によっては、今後も臨時休館などをさせていただく場合があります。



■展示の構成と作品の紹介

たばこ盆の基本

「たばこ盆」を構成する用具や名称、「盆形」「風覆(かざおおい)形」「箱形」「長角」「升形」「鬢台(びんだい)形」といった形の分類など、今では馴染みのなくなったたばこ盆の基本について紹介します。


Photo.03 たばこ盆の構成と名称(※“きせる掛け”は便宜上の名前です)

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【「箱形」のたばこ盆】

Photo.01 朝顔蒔絵螺鈿手付きたばこ盆

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【「升形」のたばこ盆】

Photo.04 鳴子螺鈿蒔絵たばこ盆

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あちらこちらにたばこ盆

風俗画や浮世絵からは、たばこ盆がどのように使われてきたのかをうかがうことができます。

このコーナーでは、たばこ盆が登場する絵画作品と合わせ、似た形状のたばこ盆を紹介します。


Photo.05 「邸内遊楽図」(部分) 17世紀中期 紙本着色

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遊廓と思しき邸内にて、すごろくや音曲といった遊興にふける人々の傍らにたばこ盆が描かれている。


Photo.06 朱漆塗たばこ盆

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たばこ盆の名にふさわしい「丸盆形」のたばこ盆


Photo.07 「冨嶽三十六景 東海道吉田」 葛飾北斎 天保2年(1831)頃 大判錦絵

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有名な「冨嶽三十六景」シリーズの一枚。作品中央には、製材していない木をそのまま用いたたばこ盆が描かれている。当館では、作品に描かれたもの同様の、未製材の自然木に底板を当ててたばこ盆としたものを複数所蔵している。


Photo.08 自然木利用のたばこ盆

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見どころいろいろたばこ盆

たばこ盆は登場以来、日用品として使用されてきたものですが、工芸品としてみると、漆塗りや蒔絵によって加飾された本体はもちろん、火屋(火入れの蓋)や金具の彫金にも高い技術が反映されています。このコーナーでは、「工芸の宝庫」としてのたばこ盆を様々な切り口で紹介します。



【素材を活かしたたばこ盆】

Photo.09 桶形たばこ盆

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竹や桑、黒檀など様々な素材の板を寄せ、竹の箍(たが)でまとめている。木地の見本のような桶形のたばこ盆。


Photo.02 夕顔蟋蟀(こおろぎ)蒔絵たばこ盆

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夕顔の実に大きな葉をあしらい、虫食い穴から、蟋蟀が顔を出している。

蒔絵は白山松哉(しらやましょうさい)の弟子・柳沢一抱(やなぎさわいっぽう)によるもの。



【大名家のたばこ盆】

Photo.10 牡丹蒔絵手付きたばこ盆

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紀州徳川家14代藩主夫人の旧蔵品。三方を銀製の御簾が覆い、本体四面にわたって金銀色の牡丹が咲き誇るという豪勢な意匠のたばこ盆。



【良家のものと思しきたばこ盆】

Photo.11 葵蒔絵手付きたばこ盆

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三方に風よけがある「風覆形」のたばこ盆。本体には、葵と唐草が蒔絵で丁寧に描かれており、風覆に桐鳳凰文様の布を用いるなど見どころが多い。



【植物を描いたたばこ盆】

Photo.01 朝顔蒔絵螺鈿手付きたばこ盆

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本体のみならず、火屋や提げ手の留具、引出しのつまみにまで朝顔の花や葉をあしらったたばこ盆。花は螺鈿と金貝、蒔絵で表している。金貝とは、金銀箔を文様の形に切り抜き貼り付けたもの。



【目をひく形のたばこ盆】

Photo.12 縄暖簾蒔絵提げたばこ盆

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火屋を茅葺屋根に見立て、火入れ周りの造形に工夫が見られるたばこ盆。本体を覆う縄暖簾の蒔絵も見事で、縄の縒り一つ一つを描いており、細かな仕事に圧倒される。


時の流れとたばこ盆

幕末に外国からもたらされた紙巻たばこは、その手軽さから徐々に広まり、昭和初期にはきせるにかわって主要な喫煙形態となりました。着火方法も、火入れで種火を保つスタイルにかわって、マッチやライターなどの便利な道具が主流となっていきました。その流れを受け、たばこ盆にも紙巻たばこのための新しい形態として「たばこ箱」や「たばこセット」が登場しました。このコーナーでは、時代の移り変わりによるたばこ盆の変化について紹介します。


Photo.13 「女礼式之内 客を座敷へ入る火鉢煙草盆進め様」

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楊洲周延 明治26年(1893) 大判錦絵三枚続き

明治中期以降に、女性向けの礼法教育が盛んになり、来客へのたばこ盆と火鉢の勧め方も礼法の一つとされた。この時代にはまだ従来のたばこ盆が用いられ、身近な存在であったことがうかがえる。


Photo.14 やしゃぶし蒔絵たばこ壺

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刻みたばこ用のたばこ壺。金属と見紛うような青銅塗の本体にやしゃぶしを描き、蓋には桐が使われている。青銅塗を得意とした柴田是真の銘がある。


Photo.15 水草に貝蒔絵台付巻たばこ箱

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柴田是真の孫・成真による紙巻用のたばこ箱。箱も台も祖父譲りの青銅塗の地で仕上げられている。


Photo.16 流水蒔絵たばこセット

https://www.atpress.ne.jp/releases/261526/img_261526_16.jpg

紙巻たばこを入れる「たばこ箱」と「灰皿」で構成された「たばこセット」。このたばこセットには、指物師として名高い前田南斎の銘がある。

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