WEF技術開発、活性酸素を利用した もみ殻シリカの短時間・低コスト抽出に成功
今後、大型・連続処理装置を製作して国内外で積極的展開予定
空気中の酸素から活性酸素を生成させる特許技術を持つWEF技術開発株式会社(所在地:滋賀県大津市、代表取締役:青山 章)は、活性酸素生成技術を利用してリサイクル困難な感染性医療廃棄物、汚れたプラスチック、ペットボトル等を消滅処理させる装置「ZEROSONIC」を今年から販売しています。その処理メカニズムを応用して、もみ殻からシリカ抽出できないかとの問い合わせが多数あったことから、このほど試験装置を製作し、もみ殻を入れて3時間でシリカ抽出することに成功しました。
■今、もみ殻シリカ(非結晶シリカ)が求められる理由
現在石英から製造される結晶シリカは石英ガラス、セメント、化粧品・医薬品・食品添加剤、乾燥剤、研磨剤等に大量に使用されています。しかし、発がん、遺伝性疾患、呼吸器・免疫系・腎臓の障害などの理由で、2016年に危険物質に指定され、非結晶シリカを使用するか、結晶シリカが関係する場合はそれなりの対策を講じる必要があります。
結晶シリカを非結晶にすることもできますが、コストを考慮すると一般的ではありません。非結晶シリカは植物に含まれており、しかも水稲が圧倒的に多いので、石英結晶シリカの代替えとしてのもみ殻シリカ利用が期待されています。
■農業でもシリカ需要高まる
水稲にとって、ケイ素(Si)は単なる有用元素というより、農業的必須元素(agronomically essential element)とも呼ぶべき性格を有しています。それほどイネの生育に対するケイ素の有益作用は大きいのですが、それ以外にも、最近下記の理由で必要性が喚起されています。
1) 天然供給量の著しい低下:水稲は1作期間中にSiO2として90kg程度のケイ酸を吸収するが、そのうち灌漑水から26kg/10aも供給されている。近年河川上流にダムが造成されたり、水路がコンクリート化されたりして灌漑水のケイ酸濃度は、大きく低下している。
2) 稲ワラや堆肥還元量の減少:水稲のケイ酸は、大部分が米以外の稲ワラや籾殻に含まれており、それらをそのままあるいは堆肥として水田に還元すると、1作期間中に還元量の10%前後が再び水稲に吸収利用される。近年これら稲わらや堆肥の水田への還元量が著しく減少している。
3) 水稲のケイ酸吸収は温度に大きく依存:稲作の主産地が東北や北陸、北海道など寒冷地に移動しているため稲体のケイ酸要求量が増加している。
4) 地球温暖化でCO2濃度上昇:高CO2環境下では、水稲茎葉のケイ酸濃度が低下し、病虫害の発生増加が指摘されている
■シリカ抽出技術・装置の概要
WEF技術開発は世界的にも他に類を見ない、空気中の酸素から活性酸素を生成する技術で特許を取得しています。生成した活性酸素を常温利用する場合と熱をかける場合の反応の違いで、2種類の処理装置を製造しています。
イネはケイ素を地上部乾燥重の10%ほど集積していて、このうち籾殻中の成分比率としては、80%弱がセルロースなどの有機物で、残り20%強が非晶質シリカで構成されています。
「ZEROSONIC」処理では、有機物が消滅し無機物が残ります。今回、もみ殻を活性酸素処理すると、セルロースが分解・消滅し、シリカのみが残ります。
【今回の処理試験】
■今までの抽出処理との比較と活性酸素処理のメリット
非結晶シリカの需要が高まる中、日本国内でも企業、大学で抽出技術開発が行われています。そのほとんどが、酸による前処理洗浄をした後乾燥させ、燃焼によって有機部分を消滅させるというもので、装置が大きくなるのと、廃棄物であるもみ殻を燃焼させるためには、実機利用の場合、設備・設置許可が必要になることがあります。
当社の活性酸素処理の場合は、もみ殻をそのまま投入して3時間で処理が終了するため、装置がシンプルで、その分イニシャル・ランニングコストが低いのが特徴です。また活性酸素処理は燃焼ではありませんので、排煙対策も水蒸気対策程度で済み、設置許可も不要です。
■今後の展開
今後は1m3/h程度処理の連続処理装置を製作し、大規模米生産企業や地域のカントリーエレベーター施設等でオンサイト処理し、出来たシリカを地域利用する地産地消システムの展開を考えています。
■会社概要
商号 : WEF技術開発株式会社
代表者 : 代表取締役 青山 章
所在地 : 滋賀県大津市堂1-19-15
設立 : 2016年7月
事業内容: 水処理、廃棄物リサイクル、Mg関連技術開発、販売
URL : https://aoyama-wefit.com
https://mgworld.aoyama-wefit.com/ (Mgワールド)
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