国内最大のレザープロダクトコンペティション 「ジャパンレザーアワード 2021」グランプリが決定 ~審査の模様はYouTubeにて公開中~
一般社団法人日本皮革産業連合会(JLIA)(東京都台東区/会長:藤原 仁)は、日本最大規模のレザーの祭典「ジャパンレザーアワード 2021」の応募作品展を、2021年10月3日(日)に「イッツコムスタジオ&ホール 二子玉川ライズ」にて開催いたしました。
「ジャパンレザーアワード」は、「ジャパン×レザー」で世の中をもっと面白くしていきたいという思いのもと、革製品のコンペティションイベントにとどまらない総合的な「レザームーブメント」の場として2008年度より実施し、今年で14年目を迎えます。革製品ユーザーでもある消費者のために、応募作品の全てを一堂に会した一般公開展示を開催することで、つくり手とつかい手がコミュニケーションできる場を提供し、ジャパンレザーの魅力を発信しています。
2021年は、フットウェア部門・バッグ部門・ウェア&グッズ部門・フリー部門・学生部門の5部門から合計222点の作品が集まり、10月2日(土)に行われた審査会では、長濱 雅彦審査員長(東京藝術大学 教授)をはじめ、各分野で活躍する気鋭のデザイナーらで構成された審査員7名の審査と協議により、全作品の中から各部門の受賞作品が決定しました。
■審査の模様はこちらからご覧いただけます。
■受賞作品
【ジャパンレザーアワード 2021 グランプリ作品】
=フットウェア部門 ベストプロダクト賞=
益子 実佳(宮城興業株式会社)/山形県
作品名:ローカルシューズ2
<作品コンセプト>
「山形牛の皮革を特別に鞣してもらい、ヌメ革を使用しました。山形県の花、紅花染料で何度も染めております。地元を離れた方にこの靴を履いて山形を思い出して欲しい。山形産でここまでできることを知って欲しい。そして私の山形愛があふれた結果、この靴が出来上がりました。
[持続可能なデザイン]
食肉で消費される山形牛を皮革に、観賞用の紅花を染料に。そして宮城興業にて靴作り。山形県内でSDGs可能です」
<審査委員長総評>
「モノのデザインの範疇を越え、ソーシャルデザインの領域をも取り込み、履く人のモラル、教養、生き方自然観などを問う逸品である。技術力とデザイン力の融合があって初めてこうした作者の主張は届く。あの美味しい山形牛が美しく儚い紅色で再生され、日本的な美意識が審査員全員を惹きつけました。三越伊勢丹のプロのバイヤーも◎、自信を持って販売をしてください」
=フットウェア部門 フューチャーデザイン賞=
猪俣 真(個人)/埼玉県
作品名:shed sneaker
<作品コンセプト>
「脱皮するスニーカー。表面に使用した再生レザーがボロボロになって、下にあるオイル革のウイングチップデザインが、染み出したり、浮き上がって見えるように加工してあります。エコが叫ばれる現代において再生レザーもいいが、革も立派な副産物。革を使う事もエコに繋がるというメッセージを込めています」
=バッグ部門 ベストプロダクト賞=
松村 美咲(有限会社 清川商店) /東京都
作品名:Laura
<作品コンセプト>
「手仕事だからこそ扱える素材」にこだわりデザイン・制作しました。本体にはパーツごとに染色したガラスレザーを、ハンドルには土佐の黒竹を使用しました。どの部分をその向きで使用するかは地元・墨田の竹問屋に目利きをしてもらっています。デザインのアクセントにもなっている真鍮金具は、ハンドルに合わせたオリジナル。熟練した職人たちの手仕事によって生まれた素材を、1点のバッグに仕立てました」
=バッグ部門 フューチャーデザイン賞=
牛島 淳(個人)/神奈川県
作品名:寄革
<作品コンセプト>
「一枚革にしろ、ハギにしろ、厳密な色合わせをしようとすると革の選択や歩留りが悪くなります。木工では幅ハギという、目の違いや反りなどの欠点を利点に変える手法が確立されています。今回の作品は、半裁のBランク品から良好な部分を切り出していますが、基尺はA3切革2枚で採れるようにしました。下部角の張替え、ハンドルの交換も考慮して構成しています」
=ウェア&グッズ部門 ベストプロダクト賞=
Honghao Cai(CAI芸術スタジオ株式会社)/茨城県
作品名:十二支 ブローチ
<作品コンセプト>
「型を利用して、一枚の革では想像できない立体感を表現できます。また、早くて安定の品質で、革立体造形芸術品を量産することが実現できました。いろんな革の組み合わせによって、より豊かな表現力が得られます」
=ウェア&グッズ部門 フューチャーデザイン賞=
益井 隆之(TROJAN HORSE)/兵庫県
作品名:CLARICE
<作品コンセプト>
「極薄に漉きをかけたホースハイドを使用したこのレザージャケットの特徴は、「セーターより軽い重量」と「ポーチに収納できる携帯性」です。デザインはクラシックなスタイルですが、小さくたたんでポーチに入れて持ち運ぶ事ができます。レザージャケットは格好いいと思うけど、重くて固くて着心地が悪いというイメージで敬遠している方に着て頂きたいジャケットです」
=フリー部門 ベストプロダクト賞=
高張 創太(SOTA LEATHER PRODUCTS)/東京都
作品名:バランスボール
<作品コンセプト>
「コロナ禍、家の中で気軽に行える運動が注目されています。中でも、バランスボールは体幹を鍛えたり、ストレッチが気軽にできると人気です。ただ、一般的にバランスボールはゴム素材でピンクやブルーといったものがほとんど。部屋の雰囲気を台無しにしてしまいます。応募作品は、オブジェとしても部屋に置きたくなるような遊び心と高級感を兼ね備えた家具をコンセプトに、レトロなサッカーボールをモチーフにしてデザインしました」
=フリー部門 フューチャーデザイン賞=
中山 智介(銀職庵水主)/長崎県
作品名:播州白鞣牛革 半筒茶碗
<作品コンセプト>
「皮革の新たな可能性を示した『革の食器』。これまで不可能だった播州白鞣の床革のみでの成形を実現し、極地とも言える環境性能を備えました。優れた保温性。割れず欠けずの強靭性。陶磁器やガラスよりも軽い。使う洗うといった食器としての基本性能は勿論、安全性や耐久性も両立させております。抹茶碗としてのデザインにも注力し、茶陶に習い実用と審美的観点にも強く拘りました。美しき日本文化と皮革の邂逅です」
=学生部門 最優秀賞=
若井田 健太(多摩美術大学)/神奈川県
作品名:THL
<作品コンセプト>
「“THL”は床革と膠を用いた撓め革のスツール。日本の約千年前、武具の製造時に皮を膠液に浸し槌で打ち固めた撓め革が存在した。撓め革は時代が進み必要性を失ったが、硬質な材として見ることで新たな用途で利用できる。撓める加工法は古典的だが、生物から獲れる材を余す事なく活用することはエシカルである。武具から家具へと革に内在する意味の更新が用途を拡張すると共に、資源の使用法の再考を暗示させるだろう」
=審査員長特別賞(持続可能なデザイン)=
椎名 賢(Ken Shiina Design Laboratory)/兵庫県
作品名:One Leather One Cord
<作品コンセプト>
「革 100%のバックパック。1枚の革から、ミシンも金具も接着剤も一切使用せず1本の革紐のみでまとめてバックパックをつくりました。革さえあればつくることできるバックパックです。型紙も1枚、革紐も接ぐことなく1本のみでしあげることを目指しました。機材に頼らない、石油由来の製品に頼らない、革と人間の手のみでつくることが可能なバックパックです」
=ジャパンレザーアワード2021 特選一覧=
ウェア&グッズ部門 フューチャーデザイン
野沢 浩道(個人)/栃木県
コバノコモノイレ
フリー部門 フューチャーデザイン
小森 匠(Masksmith)/東京都
般若
フリー部門 フューチャーデザイン
菅野 龍雄(個人)/兵庫県
いやされます
フットウェア部門 ベストプロダクト
佐藤 克己(有限会社丸越商事)/東京都
地球履優【ちきゅうりゆう】
フットウェア部門 ベストプロダクト
三浦 隆(株式会社ストウ)/茨城県
Shoe steaming bye-bye
フットウェア部門 ベストプロダクト
中井 匡志(株式会社ハートビート)/兵庫県
トラッドショートブーツ神戸タータンスタイル
バッグ部門 ベストプロダクト
佐藤 周平(エース株式会社)/東京都
レザーPCケース ※写真7
■受賞作品の詳細は以下にてご覧いただけます。
https://award.jlia.or.jp/2021/winner/index.html
【ジャパンレザーアワードとは】
ジャパンレザーアワードは、国産の天然皮革素材を生かした作品で競う日本最大規模のレザープロダクトコンペティションです。5つの部門(フットウェア部門/バッグ部門/ウェア&グッズ部門/フリー部門/学生部門)に分かれ、部門毎にベストプロダクト賞とフューチャーデザイン賞の2賞が用意されています(※学生部門は「最優秀賞」の1賞のみ)。審査は、7名の審査員によって行われ、上記10賞の中で最も優れた作品にグランプリが与えられます。
今年は、審査により選ばれた全ての受賞作品を、12月1日から翌年1月8日までの間、体験型店舗「b8ta(ベータ)新宿マルイ」の特設ブースにて展示を行います。
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