「なぜ?」「本当?」「どうなる?」からはじまる 算数・数学の自由研究 初等幾何学に関する研究作品を応募した中学校3年生が 「MATHコン2021」日本数学検定協会賞を受賞
算数・数学の実用的な技能を測る、実用数学技能検定「数検」(数学検定・算数検定、以下「数検」)」を実施・運営している公益財団法人日本数学検定協会(所在地:東京都台東区、理事長:清水 静海、以下「当協会」)は、一般財団法人理数教育研究所が主催している「塩野直道記念 第9回『算数・数学の自由研究』作品コンクール」(通称「MATH(マス)コン」)の優秀賞の1つである「日本数学検定協会賞」を決定し、2021年12月19日(日)に東京都内で行われた表彰式で受賞者を表彰いたしました。
塩野直道記念「算数・数学の自由研究」作品コンクール公式ホームページ
https://www.rimse.or.jp/research/
受賞したのは、「シムソン線,9点円の一般化とオイラー・ポンスレ点」という初等幾何学に関する研究作品を応募した千葉県在住の中学校3年生です。
■「なぜ?」「本当?」「どうなる?」からはじまる算数・数学の自由研究
今年2021年で第9回の開催となる塩野直道記念「算数・数学の自由研究」作品コンクールは、全国の小学生・中学生・高校生を対象に、日常生活や社会で感じたさまざまな疑問を算数・数学の力を活用して解決する、あるいは、算数・数学の学びを発展させて新たな数理的課題を探究するなかで気づいたことやわかったこと、自らの解決の方法などをレポートにまとめ、作品として応募するコンクールです。テーマは自由で、毎年さまざまなテーマの自由研究作品が集まります。なお、今年2021年の応募作品数は、合計17,429件でした(2020年は11,397件)。
■シムソン線※と9点円の一般化に関する研究作品を応募した中学校3年生が受賞
本コンクールに2016年から協賛している当協会は、すべての応募作品のなかから、とくに算数・数学の研究として優れたレポート1作品に優秀賞として「日本数学検定協会賞」を授与しています。今年2021年の「日本数学検定協会賞」は、シムソン線と9点円をオイラー・ポンスレ点を用いて一般化(さまざまな事物に共通する性質を抽象し、1つの概念にまとめること)する研究について、初等幾何学(平面図形および空間図形の性質に関する分野)の範囲でまとめた、千葉県在住の齋藤 輝(さいとう あきら/応募当時14歳、中学校3年生)さんが受賞いたしました。
齋藤さんは、中学校1年生のときに、自力で問題を解決できたときの爽快感とその美しさに魅了され、数学に強く興味をもちました。なかでも初等幾何学の研究にはもっとも力をいれているそうです。
今回の作品は、齋藤さんが昨年の同コンクールで特別賞を受賞した作品「Simsonの定理の拡張 ~4本のSimson線と大量の垂線が織りなす様々な性質~」と同様に、動的な数学ソフトウェア「GeoGebra(ジオジェブラ)」を用いて研究を進めました。
※シムソンの定理
三角形ABCと点Dがあり、Dから直線BC,CA,ABに下ろした垂線の足をそれぞれP,Q,Rとおく。A,B,C,Dが同一円周上にあるならばP,Q,Rは同一直線上にある。P,Q,Rを通る直線をDから三角形ABCに引いたシムソン線という。
また、齋藤さんは今回の研究をとおして、以下のように研究に関するものの見方について大きな変化を感じたそうです。
(1)性質の発見がよりスムーズに行えるようになってきた。
(2)一般化や拡張などの考え方が身についてきた。
(3)数学の論文の書き方を習得した。
そのうえで、今回の研究成果を生かして、競技数学や現代数学など、その他の数学の学習にも力をいれていきたいと記し、今回の研究をしめくくっています。
算数・数学の実用的な技能を測る「数検」を実施している当協会は、動的な数学ソフトウェア「GeoGebra」を用いた現代ならではの研究スタイルで、3年間にわたって同じテーマの研究を継続している姿勢と、その作品の完成度を評価して、このたびの「日本数学検定協会賞」の受賞を決定しました。
なお、齋藤さんの受賞コメントと応募作品への審査委員の講評は以下のとおりです。
<齋藤 輝(さいとう あきら)さんの受賞コメント>
僕の1年間以上にわたる研究成果について、こうした賞をいただくことができてたいへん光栄に思います。まずは、僕に研究の機会をくださった「MATHコン」の運営のみなさまや研究に助言をくださった方々に感謝申しあげます。本研究は、大学受験等ではあまり重視されることのない初等幾何に関するものでしたが、僕は初等幾何特有の美しさに魅力を感じていて、まだまだ研究の余地はあると思っています。研究では苦労した点も多々ありましたが、未知のものを探求していく過程はとても楽しく、良い経験になったと感じています。今回の受賞をきっかけにさらに飛躍し、これからも数学の勉強に熱心に取り組むとともに、将来は数学界だけでなく社会に良い影響をもたらすような研究をしていきたいと考えています。
<審査委員の講評>
初等幾何であるシムソンの定理の拡張を行った研究です。動的な数学ソフトウェア「GeoGebra」を用いた考察が、現代ならではといえます。考察の様子からも「GeoGebra」を使いこなしていることが伺えます。数式組版システムである「LaTeX(ラテフ)」を用いたレポート作成および数学論文の書き方を踏襲した内容構成から、数学にかける並々ならぬ思いが読み取れます。一昨年から続けて行った研究の完成度が評価できます。
当協会は、MATHコンのような理数教育の充実に向けた普及推進イベントなどに積極的に関わることで、今後も広く国民のみなさまに算数・数学を学習する大切さや、楽しさを伝える普及啓発事業を充実させてまいります。
◆開催概要
名称 :塩野直道記念 第9回「算数・数学の自由研究」作品コンクール(2021年度)
主催 :一般財団法人 理数教育研究所
協賛 :株式会社 内田洋行/株式会社 学研ホールディングス/公益財団法人 日本数学検定協会
応募資格:小学生、中学生、高校生
※海外の日本人学校も含む。
※グループで応募する場合は、同じ学校の同学年の応募に限る。
審査 :1. 小学校の部 … 低学年の部(1~3年)、高学年の部(4~6年)に分けて審査。
2. 中学校の部
3. 高等学校の部(高等専門学校3年次までを含む)
※くわしくは、公式ホームページをご覧ください。
公式ホームページ: https://www.rimse.or.jp/research/
【「数検」について】
実用数学技能検定「数検」(後援=文部科学省。対象:1~11級)は、数学・算数の実用的な技能(計算・作図・表現・測定・整理・統計・証明)を測り、論理構成力をみる記述式の検定で、公益財団法人日本数学検定協会が実施している全国レベルの実力・絶対評価システムです。おもに、数学領域である1級から5級までを「数学検定」と呼び、算数領域である6級から11級、かず・かたち検定までを「算数検定」と呼びます。第1回を実施した1992年には5,500人だった年間志願者数は、2006年以降は30万人を超え、また、数検を実施する学校や教育機関も16,000団体を超え、公費での活用も広がっています。以来、累計志願者数は600万人を突破しており、いまや数学・算数に関する検定のスタンダードとして進学・就職に必須の検定となっています。日本国内はもちろん、フィリピンやカンボジア、インドネシア、タイなどでも実施され(累計志願者数は40,000人以上)、海外でも高い評価を得ています。※志願者数・実施校数はのべ数です。
【ビジネス数学検定について】(当協会の行うその他のおもな公益事業)
「ビジネス数学検定」は、ビジネスの現場で必要となる実用的な数学力・数学技能を測定する検定です。実務に即した数学力を5つの力(把握力・分析力・選択力・予測力・表現力)に分類し、ビジネスのシチュエーションを想定した問題で、これらの力の習熟度を測定します。インターネット上で受検できるWBT(Web Based Testing)方式を採用。2006年に第1回を実施し、現在では企業の採用試験や新人研修、管理職登用試験などに活用する事例も増加しています。
【法人概要】
法人名 : 公益財団法人 日本数学検定協会
所在地 : 〒110-0005 東京都台東区上野5-1-1 文昌堂ビル6階
理事長 : 清水 静海(帝京大学大学院 教職研究科長・教授、公益社団法人日本数学教育学会名誉会長)
会長 : 甘利 俊一(帝京大学 先端総合研究機構 特任教授、理化学研究所 栄誉研究員、東京大学名誉教授)
設立 : 1999年7月15日
事業内容: (1)数学に関する技能検定の実施、技能度の顕彰及びその証明書の発行
(2)ビジネスにおける数学の検定及び研修等の実施
(3)数学に関する出版物の刊行及び情報の提供
(4)数学の普及啓発に関する事業
(5)数学や学習数学に関する学術研究
(6)その他この法人の目的を達成するために必要な事業
URL : https://www.su-gaku.net/
※「数検」「数検/数学検定」「数検/Suken」は当協会に専用使用権が認められています。
※「ビジネス数学検定」は当協会の登録商標です。
プレスリリース添付資料
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