福島県郡山市の介護認定審査会、 ペーパーレス会議システム「SideBooksクラウド本棚」導入で、 経費と労務のコストカットを実現
その他490自治体で導入
iOS/Android/パソコン向け、ペーパーレスシステム「SideBooksクラウド本棚」を提供している東京インタープレイ株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役:米田 英輝)は、令和3年度より福島県郡山市の介護認定審査会(審査会委員90人/事務局職員数36人)に「SideBooksクラウド本棚」の提供を開始しました。
●事例概要(検討時期・理由・アクション)
要介護認定業務のDX化検討のきっかけは、高齢化の進展により要介護認定申請件数が年々増加し、職員が恒常的に超過勤務を行わなければならない状況を改善したかったためです。
「限られた職員数で、増え続ける業務量をどうこなしていくか」。令和元年4月には働き方改革関連法の施行も控えており、抜本的な業務の見直しが迫られていました。
我が国の高齢化は、直近10年間で23%→28%と5ポイントも上昇。それとは反比例するように、現役世代は減少しています。平成22年時点では4人弱で1人の高齢者を支えていたのが、令和7年には2人弱で支えることになると予想されています。
加速する高齢化の中で、求められる「業務の効率化」と「働き方改革」。この状況を打開するため、デジタル技術の活用を模索し始めました。
要介護認定業務のDXを推進するにあたり、先ず着手したのは業務全体の棚卸しでした。ひとつひとつの業務について、処理手順をフロー図化、業務量を数値化するなどして「見える化」。これにより「自動化できる業務」と「人がやるべき業務」とに選別することができ、さらには「何から着手すべきか」の優先順位をつけることができました。
●要介護認定について
要介護認定は、介護保険のサービスを受けようとする方の、介護の必要度を判断するもので、次のようなプロセスで決められていきます。
市区町村に申請をした後、認定調査員により対象者の心身の状態等の調査が行われます。この調査結果と主治医からの意見書を基にコンピュータ判定(一次判定)が行われ、その後、保健・医療・福祉の専門家によって構成された介護認定審査会(二次判定)で、対象者の介護度が審査・判定されていきます。
ちなみに認定調査員の調査結果は、(1)概況調査票(2)基本調査票(3)特記事項からなる調査票にまとめられるのですが、調査票間の整合性チェックは作業量が膨大で、職員にとって非常に負担の大きい作業でした。郡山市ではこの調査票の確認作業に、自然言語を処理できるAIシステムを全国で初めて導入、業務を効率化させることに成功しています。
一方で課題として残っていたのが、介護認定審査会のペーパーレス化でした。
郡山市の審査会委員数は全90名で、18の合議体に分かれて審議してますが、審議には膨大な書類を必要としていました。
●業務上の課題
郡山市の場合、平日の昼・夜2回「介護認定審査会」を開催。年間400回近く開催している換算となります。
1回の審査会で使用する書類は、A3両面印刷で約100枚。内訳は(1)一次判定資料(2)認定調査票(特記事項)(3)主治医意見書で、従来は審査会委員5人と事務局職員2人の計7人分を製本し、審査会委員には事前に郵送もしていました。
資料の印刷・製本・その後の郵送作業、また、資料の内容に変更が生じた際の差替えの手間など、担当職員の労務負担は大きく、紙代・コピー代・郵便料などコスト面での負担も少なくありませんでした。
●システム導入にあたり設けた選定条件
ひとつは、介護認定審査会で取り扱う情報はセンシティブであるため、セキュリティが堅牢であること。
もうひとつは、介護認定審査会の審査会委員は主に50代後半~60代前半のため、シンプルで誰もが使えるシステムであることでした。
この二つの条件を満たすものとして採用したのが「SideBooksクラウド本棚」でした。郡山市ではすでに議会や庁議で導入されており、その性能を把握していたため、選定に迷うことはありませんでした。
また、介護認定審査会については、当初はペーパーレス化のみを目標としていたのですが、コロナ禍によってオンライン開催の必要性も迫られたことから、ペーパーレス化とオンライン化を同時に実現させることができました。
●導入効果 ―経費と労務のコストカットに成功―
審査会委員ひとりにつき、iPadとAndroid端末を各1台貸与。
審査書類の閲覧はiPadにダウンロードしたSideBooksクラウド本棚、遠隔での介護認定審査会開催は、Android端末にWeb会議システムを用いています。
介護認定審査会に関してはほぼ100%ペーパーレス化に成功。これにより、コピー用紙代年間約60万円、印刷コスト年間約25万円をコストカットできる見込みです。
併せて、介護認定審査会をオンライン化したことで、審査会委員に年間200万円超支給していた旅費交通費を約75%、また年間70万円かかっていた郵便料を約80%、その他食糧費などの経費も削減できる見込みです。
ペーパーレス化を実現したことで、資料の差替えや追加があっても簡単に作業が行えるなど、職員の業務負担も軽減。時間にして約300時間の削減が見込め、大幅な労務時間とコストカットが期待されています。
また注目すべき点として、急を要する審査案件が発生しても、システムに即アップロードするだけでよくなったことで余裕をもった対応が可能になったことや、「SideBooksクラウド本棚」のメモ書き機能についても「紙への書き心地と遜色ない」と審査会委員からも好評を得ていることなどが挙げられます。
●課題と解決するための方策
審査会委員に送る介護認定審査会開催通知に関しては、あえて郵送の手段をとっています。
これは、メールなどで通知すると、通信障害や受信者側の事情などで通達漏れが生じてしまうリスクを回避するため、あえて紙での対応を残しています。
当面の課題は、利用者である審査会委員のシステム操作方法習得です。
介護保険制度が始まってから20年近く続いた手法が変わることや、タブレットの操作に不慣れであることを理由に、新しい審査会運用に不安を持つ審査会委員も少なくなかったためです。
そこで移行期間を長めに設定し、独自の操作マニュアルを作成したり、窓口や電話での問い合わせに親身に対応するなどして不安の解消に努めており、令和4年3月末までには全員に操作方法を習得してもらい、完全なオンライン化への移行を目指しています。
●担当者から、これから介護認定審査事業DX化へ取り組む方へ
郡山市 保健福祉部 介護保険課認定係 主任主査兼係長 七海 満氏は次の様に語っています。
「DXとIT化は、イコールではありません。IT化は、既存プロセスの効率化を目指す『手段』であるのに対し、DXは、デジタル技術の活用によって、人々の生活のあらゆる面をより良い方向に変化させていこうという『目的』だと言えます。
進化し続けるデジタル技術を活用して、要介護認定に関わる全ての人の生活を、より良い方向に変えていけるよう、引き続き取り組んでいきたいと考えています。」
また七海氏は、これからデジタル技術を用いた業務改善に臨む全国の自治体の介護認定審査業務担当者に向けて、次の様にアドバイスしています。
・まずは業務の棚卸し(改善点の分析)
・社会環境の変化を理解する(マンパワーに依存した業務続行は困難→先進技術を用いて業務効率化)
・リスクを恐れ過ぎない。完璧を求め過ぎない。良くなる可能性の方に目を向けチャレンジしてみる。
このような先進事例の情報開示で、今現在業務改善を検討している他自治体への好影響が期待されます。
■福島県郡山市について
福島県の中央に位置し、東北地方では、仙台市、いわき市に次いで第3位の人口規模を誇る、東北の拠点都市です。
首都圏から東北新幹線で約80分というアクセスの良さに加え、鉄道や東北・磐越両自動車道が縦横に交差するなど、交通の利便性が良いことから、東日本の交通の十字路として拠点化が進み、経済・内陸工業・流通・交通の要衝として成長を続けています。
令和元年に、自治体によるSDGsの達成に向けた優れた取り組みを行う都市として、SDGs未来都市に選ばれ、“誰一人取り残さない(no one will be left behind)”社会の実現に向けた取り組みを推進しています。
■東京インタープレイ株式会社概要
会社名: 東京インタープレイ株式会社
代表者: 代表取締役 米田 英輝
設立 : 2012年8月
所在地: 東京都中央区日本橋2-10-8 日本橋日光ビル7階
資本金: 3,000,000円
URL : http://tokyo-ip.co.jp/
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