企業のリスクマネジメントの動向に関する調査結果を2月2日に公開
東京海上日動火災保険株式会社(取締役社長:広瀬 伸一)と東京海上ディーアール株式会社(代表取締役社長:嶋倉 泰造、以下「東京海上ディーアール」)は、企業のリスクマネジメントの動向に関する調査を実施し、調査結果を2月2日に公開いたしました。
1. 調査目的
本調査は、日本企業におけるリスクマネジメントの取組みの現状について継続的に把握することを目的に、2008年から実施しています(今回の調査が8回目になります)。調査の開始から10年以上が経過し、日本企業のリスクマネジメントの実効性は大きく向上してきました。
一方で、新型コロナウイルス感染症の流行に伴う経済的・社会的影響、サイバー攻撃の増加や気候変動とその対応など企業を取り巻くリスク(不確実性)は増大しています。リスクの多様化はこれまでにないスピードで進んでおり、毎年のように新たなリスクが顕在化しています。
企業は、リスクを網羅的に特定・評価し、その対応に基づいて対応の優先順位づけを行うリスクマネジメントの取組みが欠かせません。
この度、日本企業におけるリスクマネジメントの取組みの現状を把握すると共に、取組みの進展の方向性を探るために、本調査を実施いたしました。
2. 調査結果のポイント(抜粋)
今回の調査では、これまでの調査項目に加え、新たに『人権リスクに対する対応』についての調査も実施いたしました。
◆人権リスクに対する取組み状況(New)
・人権リスク対応のファーストステップである「人権方針の作成」については42.8%の企業が実施済み・実施中と回答しています。
・「人権デュー・デリジェンス」、とりわけ「リスクの特定および影響の評価」については、サプライチェーンまで含めた範囲が必要であり企業にとって負担が大きいことから、実施済み・実施中の企業は20.2%にとどまっています。
・製造業と非製造業を比較すると、「社外申し立て受付窓口・対応手順の整備」を除いたすべての項目で製造業の方が取組みが進んでいることが明らかになりました。
・対応を実施していない理由としては「取組み時間・人員(専門家含む)の不足」(人権リスクへの取組みに「実施予定(未着手)」「実施予定なし」と回答した項目がある企業の46.9%)が最大の理由となりました。
・「自社にあまり影響がないと判断しているため」と回答した企業も一定数存在しました。
◆気候変動リスクに対する認識と対応
・気候変動への対策・対応を「実施」または「検討・実施予定」の企業は全体の86.8%となり、前回調査と比較して34.2ポイント増加しています。
・気候変動により事業活動に生じる、もしくは増加するリスクについては、「原材料コストの高騰」が全体の51.6%と最も高く、「サイクロン、洪水などの異常気象の激甚化(34.0%)」「既存製品・サービスへの義務・規制強化(28.3%)」が続いています。
・製造業では「政策および法規制強化に伴うリスク」、非製造業では「消費者の行動や嗜好の変化に関するリスク」の回答が多くなっています。
・取組みを実施していない理由としては「実施体制が構築できていないため」(気候変動対策・対応の取組みを実施していない企業の53.5%)が最も多い結果となりました。
◆事業継続計画(BCP)
・BCPを「策定済み」と回答した企業は全体の72.3%であり、前回調査から8.1ポイント増加しています。特に従業員数1,000名未満の企業において策定率増加が顕著であり、16.4ポイント増加しています。
・危機管理能力向上のための訓練を「実施している」と回答した企業の割合が、直近3回の調査で最も多くなりました。
◆今後重点的に推進したいリスクマネジメントの取組み
・今後重点的に推進したいリスクマネジメントの取組みとしては、「コンプライアンス体制の充実」(全体の61.0%)が最も多く挙げられ、「情報セキュリティ対策の充実(50.3%)」や、「コーポレートガバナンスの実効性向上へのリスクマネジメントの貢献(48.4%)が続いています。
・前回の調査に比べ、「気候変動リスクへの対応」が16.3ポイント増加、「会社法や金商法関連の内部統制充実」が4.7ポイント増加しました。
本調査の概要については、東京海上ディーアールのホームページに掲載していますので、合わせてご覧ください。
<ニュース 「リスクマネジメント動向調査2021」を実施(集計結果サマリー)>
https://www.tokiorisk.co.jp/news/2022/20220202/pdf/pdf-20220202-01.pdf
<調査概要>
1. 調査対象
上場企業(東証1部・2部、名古屋証券取引所1部・2部、札幌証券取引所、福岡証券取引所)及び従業員数規模2,000名以上の非上場企業の全数。
※純粋持株会社等の一部の業種を除く。
2. 調査期間
2021年7月~8月
3. 調査主体
東京海上ディーアール株式会社
4. 調査手法
質問紙調査(アンケート票の郵送・回収)
5. 回答企業数
159社
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