高い水分濃度でも前処理不要の直接測定で、高精度・高分解能を実...

高い水分濃度でも前処理不要の直接測定で、高精度・高分解能を実現  水素ガス測定装置「HyEVO」を発売  ~カーボンニュートラルの実現に向けて、 水素エネルギー分野に貢献~

株式会社堀場製作所(本社:京都市南区吉祥院宮の東町2、代表取締役社長:足立 正之、以下 当社)は、ガス中の水素濃度を連続測定する水素ガス測定装置「HyEVO(ハイエボ)」を2022年2月28日に発売します。


「HyEVO」は、水素エンジンや燃料電池などの水分を多く含むガスにおいても水分除去することなく、高精度・高分解能で測定できます。さらに、応答時間を短縮し(従来比 約1/2※1)、1秒単位で、より精緻な連続測定を実現。また、装置の暖機時間を大幅に短縮(従来比 約1/3※1)しました。エンジンやガスタービンでの水素やアンモニアの燃焼の他、燃料電池、水素製造などの水素エネルギー社会に欠かせない技術開発に貢献します。さらに、水素と発電所などから回収した二酸化炭素によってできる合成燃料の製造にも活用でき、昨今注目されるメタネーション※2にも寄与します。また、本製品は石油化学プロセスや医療用途としての展開も視野に入れています。本製品の投入によりラインアップを拡充し、「水素・カーボンニュートラルのHORIBA」としての分析ソリューション提供を加速させます。




【開発の背景・ねらい】

当社はガス分析の分野において65年以上の歴史を有し、水素ガス測定装置に関しては、2000年初頭より燃料電池・内燃機関や、水素などの製造プロセス向けに展開してきました。

昨今、カーボンニュートラルの実現に向けた次世代エネルギーとして、水素活用への投資が盛んです。水素エンジンや水素ガスタービン、燃料電池、水素製造など、水素エネルギー関連での研究開発が加速したことで高まった水素ガス測定装置の需要に応えるために、新製品「HyEVO」を開発しました。



■水素ガス測定装置「HyEVO」

測定成分 :水素

測定原理 :質量分析法※5

測定レンジ:0-1,000ppmまたは0-5%(出荷時に選択)

外形寸法 :570(W)×1,000(H)×850(D) mm


「HyEVO」1


今後は、当社既存の分析・計測機器、エンジニアリング技術と「HyEVO」を組み合わせて、水素計測のトータルソリューションを提供し、「水素・カーボンニュートラルのHORIBA」として新たな価値を創造していきます。これにより、中長期経営計画「MLMAP 2023※3」で注力する3つのフィールド※4のうち、特に「エネルギー/環境」分野でのビジネス拡大をめざします。



【製品特長】

1. 水分を含むガスでも水素濃度を高精度・高分解能での計測を実現

・水分濃度35%までのガスであれば除湿することなく水素濃度をダイレクトに計測できます。ガス中の水分を除湿してから計測する測定方式では計測値の補正が必要となりますが、「HyEVO」は、水分を含むガスでも補正することなく高精度・高分解能で水素濃度を計測できます。


2. 応答時間や暖機時間の短縮により、多様な分析ニーズに対応

・検出器内のガス置換速度の改善により、応答時間を1秒に短縮(従来比1/2※1)。燃料電池や水素燃焼における急激な濃度変化も、1秒単位で精緻に連続測定し、自動車などの技術開発用途に欠かせない性能を実現しました。

・装置の暖機時間を3時間(従来比約1/3※1)に短縮し、試験準備の短縮化・試験の省エネ化に貢献します。


3. 幅広い分析ニーズへ柔軟に対応

・当社グループの分析・計測技術を組み合わせ、幅広い分析ニーズに応えるソリューションパッケージを提案します。水素エネルギー社会に欠かせない技術開発を支援します。



【「HyEVO」の活用事例】

分野 :環境/エネルギー

活用例:以下のプロセスでの水素測定など

    ・水素ガスタービンや水素ボイラーなど水素燃焼、水電解などの水素製造

    ・水素と二酸化炭素によってできる合成燃料の製造

    ・発電装置としての燃料電池開発


分野 :モビリティ

活用例:燃料電池、水素エンジン、ガソリンエンジンでの水素測定など


分野 :医療

活用例:健康状態のモニタリングを目的とした呼気中の水素測定など



【事例】水素エンジンの分析ソリューション


水素エンジンの分析ソリューション(イメージ図)


様々な燃焼条件下で未燃水素の挙動確認や燃焼効率を算出するため、燃焼後の排ガス中の水素を「HyEVO」で測定します。また、窒素酸化物(NOx)など規制成分を測定する装置も取り揃えており、水素エンジン評価のためのトータルソリューションを提供します。ほかにも、水素エンジン試験室の新設や、既設エンジン試験室の水素エンジン対応も承ります。



【ご参考:HORIBAの水素ビジネスにおける取り組み】

当社グループは、赤外線計測や分光分析、液体計測などのコア技術をもとに、これまで数多くの分析・計測装置を世に生み出してきました。これまで培ってきた分析・計測技術は、水素サプライチェーンの「つくる・ためる・つかう」の各領域においても幅広く活用されています。

また、水素エネルギー関連の投資を積極的に行い、2018年9月に燃料電池/電解評価装置やバッテリー評価装置を製造・販売するドイツのFuelCon社(現 ホリバ・フューエルコン社)を当社グループに迎え、水素ビジネスのすそ野を拡大。2021年1月には、水素エネルギー市場に対する取り組みを強化する専任部署を設置しました。

直近では、燃料電池/電解評価装置の需要増加に対応するため、ホリバ・フューエルコン社の新工場を今春開設し、2023年を目処に生産能力を約3倍に増強します。


※1 当社従来製品(MSHA-1000)との比較

※2 メタネーション:水素と二酸化炭素を反応させ、天然ガスの主成分であるメタンを生成する技術。現在の都市ガスの原料である天然ガスをこの合成メタンに置き換えることで、ガスの脱炭素化に寄与することが期待されています。

※3 MLMAP(Mid-Long Term Management Plan):当社では中長期経営計画を「MLMAP」として社内浸透させています。

※4 「MLMAP2023」では、メガトレンドをリードする「エネルギー/環境」「バイオ/ヘルスケア」「素材/半導体」の3つのフィールドに注力することを掲げています。

※5 質量分析法:物質を原子・分子レベルの微細なイオンの状態にし、その質量を測定することにより原子量/分子量、存在量(濃度)などを明らかにする方法です。



【関連情報】

当社ウェブサイト「水素エネルギー」URL:

https://www.horiba.com/jpn/applications/energy-and-environment/hydrogen/

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